便名 : JAL/JL0308
日付 : 2023/12/xx
機材 : B767-300ER(767/A25)
区間 : 福岡(FUK)10:10→福岡(FUK)11:40
所要時間 : 01:30
区間マイル : 567
搭乗クラス : クラスJ
運航 : JAL(日本航空)
九州での用事を終えて東京へ戻る。当初この便には国際線仕様のB777-300ERが使用される予定だったのだが、どうやら同機が海外で故障した?らしく、数日前に何の前触れもなく国内線仕様のB767型機に変更された。便の変更をしてもよかったのだが、どの便も割と混雑していたので予定通り帰ることに。
この日は天気がだいぶ不安定で、青空が見えたと思えば数分後には雪がちらつくなど、目まぐるしく状況が変わっていた。この雪がのちにこの飛行機の運航へも影響を与えることになる。
飛行機は定刻より少し遅れて出発したが、誘導路にプッシュバックされたところで暫く停止。積もるような雪には見えなかったが、止まっているうちに雪が強くなり、誘導路はところどころ白く染まりはじめた。
なかなかエンジンが点火されないなと思ったら、コックピットから「除氷作業のために一旦このまま駐機場に戻る」とのアナウンスがあり、そのまま牽引されて駐機場へ逆戻りすることに。
窓の外を見てみると、窓の下辺には氷の塊が形成されていた。窓が凍るくらいならあまり影響はないんだろうが、翼に雪が積もったり凍ったりするというのは飛行機にとっては大問題で、揚力が得られず、失速してしまう危険があるんだとか。そのため、お湯や専用の薬液を飛行機に噴射することで取り除く作業が必要になる。
隣の駐機場には次発となる310便の機材が出発準備中。福岡空港はそれほど積雪の多い空港ではないから除雪機材はそれほど充実していないようで、搭乗機の作業が始まるまでは約30分を要するということで暫く待機。このタイミングで機内では飴の配布サービスがあった。
間の悪いことにこの30分ほどの待機の間に天候が回復し、順番が廻ってきた頃には機体に積もった雪はほぼ溶けてしまっていた。「間も無く機材が到着する」とのことでしばらく翼の様子を見ていたが、もはやこの状況では作業をする必要もないのか、特に何か薬液が噴射されるというようなこともなさそうに見えた。
(除雪作業が行われた便の様子はこちら)
最終的に出発時刻から約70分ほど経ったところで駐機場を離れ出発。天候起因とはいえ、久しぶりに大規模な遅延に巻き込まれたような気がする。飛行機であれば電車のように座る場所もなく立ち尽くすと言うことはないから、特に疲れたと言うこともなかったが。
出発が遅れたが、当日は北風運用で10分ほど地上滑走して滑走路端へ到着。ちょうどこのタイミングは到着機が連続していて、数機の着陸を見送った後滑走路へ入った。なお、遠回りになるのは離陸機だけではなく、着陸機も通常は空港近くを旋回しながら着陸進入するところ、この日は久留米辺りまで南下してから直線に進入する経路になっていた。
(通常の着陸経路はこちら)
滑走路端で10分弱待機してようやく進入許可が出たらしく、滑走路内へ。滑走路の南側、大野城市や太宰府市方面は薄日が射しているところもあれば明らかに雪の降っていそうなところがあったりと、狭いエリアの中で目まぐるしく天気が変わっている様子が見てとれた。
離陸すると国際線ターミナル側には現在敷設中の新滑走路の工事現場が見えてくる。2024年秋に完成ということで、搭乗時点でもう1年を切っているのだが、本当に1年後には完成しているんだろうか。それにしても滑走路の間隔が狭いから、誤着陸が起きやしないかと少し心配になってしまう。ここ20年くらいの間に、誤って誘導路に着陸した航空会社があったような。
離陸するとすぐに進行方向左手下方にJR博多駅が見えてくる。中央下にある三角形の建物が高速バスも発着する「博多バスターミナル」で、その手前側にあるのが最近しばしば利用し、定宿になりつつある「西鉄ホテルクルーム博多」。それにしても、土地がないのはわかるが、もう少しバスターミナルは大きく作っても良かったのにと思ってしまう。
(「西鉄ホテルクルーム博多」についてはこちら)
博多湾に出るか出ないかというところまで真っ直ぐ進んでから右旋回し、空港の東側をしばらく南下したのち、今度は左に旋回して東京に向かって進んでいくことになる。写真左手上方に見えているのが大濠公園で、中央上の辺りには福岡ドーム(福岡PayPayドーム)の姿も見える。
今回とは逆の南風の場合、空港上空に戻ってくることなく上昇しながらそのまま大分方面へ進んでいくので、地上滑走と離陸後のルートの二重でタイムロスが生じている。ちなみに着陸機も一度空港北側に集められるような着陸経路になっているため、北風運用の時には空港の周りを低速で飛び続けることになり、少し余分に時間がかかりがち。それゆえ、どちらでも運用できるような天候の時には南風運用が優先されているイメージ。
ともあれ、この日は雪が降るような天候ということで福岡空港周辺は雲が厚く、博多湾に出た頃には地上が見えなくなり、そのまま大分県の別府市あたりから九州を後にした。
九州を離れて四国の上空を進んでいくと、進行方向左手には少し遠いところにしまなみ海道が見えてきた。ここは2024年現在では本州と四国を結ぶ3つの橋の中で唯一、人道橋が設置されていて、本州側の尾道から四国側の今治まで(もしくはその逆ルートで)自転車で走っていくことができる。ここでは記事にしていないのだが、私も2010年の春に自転車でここを通って四国へ向かったことがある。
その後3分ほどで見えてくるのが3つの橋の中で真ん中に位置する瀬戸大橋。これは岡山の児島と香川の坂出の間を結んでいる、トータル10個の橋を総称したもので、各橋の合計の長さは約12kmほど。余談だが以前歩いた福井県の九頭竜湖あたりには、この瀬戸大橋の試作として建設された「箱ヶ瀬橋」という吊り橋が架かっているのだそう。
(九頭竜湖付近を歩いた際の記録がこちら)
さらに5分ほど進むと、今度は最も東側にある「大鳴門橋」が現れる。こちらは兵庫県と徳島県を結ぶ神戸淡路鳴門自動車道の橋で、兵庫県の淡路島と徳島県の鳴門市の間を全長1,600mほどの吊り橋で結んでいる。現在は自動車専用橋になっているが、単線ならば列車が通せるような構造になっているとか。また、そのスペースを活用して自転車専用道路を敷設する計画が直近で検討されている。
15分弱で四国を横断すると、次に現れるのは大阪の街並み。飛行機がほぼ関西空港の上空を通過したから大阪市までは少し距離があるが、この距離であっても大阪城は視認することができるほか、大阪南部にはところどころ古墳があるのが分かる。また、写真で言うと中央上部に伊丹空港の姿も確認できるはず。
そこから1分ほどで見えてきた街を私はてっきり奈良市辺りだと思っていたのだが、後から確認するとどうやら和歌山県の橋本市だった模様。この辺りは難波から高野山方面へ向かう南海の高野線が、橋本駅から次の紀伊清水駅にかけて180度向きを変える、すごいルートで走っているのが特徴的。
関西空港上空から5分ほどで飛行機は伊勢湾に到達。Dの字型の中部国際空港が見えてくるが、大阪から東京に向かう便で見るそれよりも随分高いところにいるのが目視でも分かる。
(大阪から東京へ向かった際の記録がこちら)
名古屋を過ぎて約10分、静岡市を越えた辺りから飛行機は徐々に降下を始める。関西以東は雲が少なく、駿河湾からは富士山が綺麗に一望できた。富士山は雪が多くも少なくもなく、ちょうどいいバランスの仕上がり。
そういえばこの便では久しぶりに従来型のクラスJのシートに搭乗したのだが、流石に座席が少しヘタってきていて、操作してもいないのにリクライニングが動いてしまっていた。徐々にB767型機も後継機を検討すべき時期が近づいてきているが、何が選ばれるだろうか。
個人的にはあまりB787型機が好きではない*1のだが、他に選択肢もないような。事業化されなかった797があれば、それが選ばれていたような気もするのだが、いずれにしても現状の同社にゼロから新機材を設計する能力は存在しないようにも見えてしまう。
伊豆半島の南側を通過する頃にはある程度高度も下がってきて、地上の様子もだいぶ見やすくなった。写真中央右下にある黄色味がかった山は大室山で、リフトで山頂に上がってお鉢周りができるようになっている観光地。
伊豆半島を離れると伊豆大島の上空を通過して羽田空港の着陸機の列に加わる。この日はどうやら波がだいぶ高かったようで、島の周りに白波が高く立っている様子が見える。かつては羽田までのANA便が就航していた伊豆大島だが、現在は調布飛行場への新中央航空のみ路線がある。また、右上には先日熱海から高速船で訪れた際に利用した岡田港がある。
(伊豆大島にも就航する新中央航空についてはこちら)
(ジェット船についてはこちら)
この日は比較的視程が良好だったことから、房総半島の上空を通過せずに東京湾上を旋回しながら進む着陸経路。伊豆大島から東京湾の湾口に近づいて行く途中の左手では三浦半島が見えるのだが、この角度からは描画に失敗した3Dマップかと思うくらい平面に見えた。
三浦半島と房総半島の間を進んでいくと、三浦半島を挟んで奥側には陸繋島の江ノ島が見える。また、手前側が横須賀辺りで、自衛隊と米軍の船が多数並んでいる様子も確認できる。
天候が良い日の着陸進入では空港ぎりぎりまで海上を飛ぶから、進行方向左手の機窓に羽田空港が見えていて、目を凝らすと先行機の姿を視認できることも。それにしても、この角度から見ると羽田空港がいかに大きいかが分かる。
最後の左旋回を終えた後は一直線に降下して、川崎辺りの工業地帯を左手に見ながらA滑走路34Lに着陸。冬場で空気が澄んでいるからか、お昼のこの時間でも羽田空港から富士山が見えている。
比較的ゆっくり減速したため滑走路を長めに走り、滑走路を抜けて第1ターミナルに向かうために右折するタイミングでは、C滑走路側に東京スカイツリーの姿が見えた。流石に東京とはいえ高さ600mの建物は他になく、圧倒的な存在感を示している。
2023年の秋頃から、A滑走路側の30番台駐機場の一部が閉鎖され、クレーン車が多数入って工事が始まった。聞くところによるとここにターミナルを増設するそうで、完成した際には第2ターミナルと同様に国際線の一部のフライトがここに移管してくる計画があるとか。なお、その関係で搭乗橋の数が不足しており、便によっては第2ターミナル側の沖留めというケースも発生している。
(第2ターミナル側から搭乗した際の記録がこちら)
この日は1時間以上遅延したことで駐機場の運用が狂ったらしく、着陸してしばらく誘導路上で待機して駐機場の開くのを待つことに。そうこうしているうちに、後ろを追ってきた、出発時刻が定刻ベースで約1時間ほど遅い310便が着陸。こちらがもたついている間に空いているスポットにそのまま到着し、あっさり追い抜かれてしまった。A350型機の方が巡航速度が速いから追いつかれる可能性はあったのだが、追い抜かれてしまうと何ともやるせない。
その後こちらの便の利用する駐機場も空いたようで、数分遅れて8番搭乗口に到着。遅れは出発時以上は拡大せずに約70分遅れのままで済んだ。いずれにしても、普段それほど雪の降らない地域で雪が降った際には、飛行機は遅れるものだと思っておいた方が良いかもしれない。
と言うお話。