便名 : ANA/NH3846
日付 : 2023/11/xx
機材 : A320-251N(32S)
区間 : 福岡(FUK)13:00→東京羽田(HND)14:40
所要時間 : 01:40
区間マイル : 567
搭乗クラス : 普通席
運航 : SFJ(スターフライヤー)
沖縄那覇から福岡空港を経由して東京へ帰る旅程。普段ならJALを利用するところだが、調べてみると割と乗継ぎのいい時間にSFJ(スターフライヤー)の新機材が充当される便があり、これに乗ってみることに。
という訳でやってきたのは福岡空港。時刻表通りであれば30分の乗継ぎだったのだが、この日は天候が不安定で福岡空港の発着が乱れており、殆どの便に到着•出発遅延が生じているような状態。今回搭乗する便も例外ではなく、20分遅れの13:20発となった。
今回搭乗するA320-251NはA320neo(New engine option)と呼ばれるとおり、新型のエンジンを搭載しているタイプ。「PW1100G-JM」というエンジンを搭載しているANAの同型機は部品に問題が生じて2024年1月以降に点検が始まるそうだが、ANA以外の国内航空会社の機材は別のエンジン(LEAP-1A)を搭載しているので今のところは影響がない見込み。こうもANAが所有するエンジンタイプのみ連続して問題が起こるというのはどういうことなんだろうか。
余談ながら、今回は珍しくANAの有償チケットでの搭乗。年間の搭乗がゼロ回になってしまうとアップグレードポイントが付与されず、いずれにしても毎年1回は有償で搭乗しているので、今回はちょうど良い機会だったかもしれない。
ともあれ、事前搭乗の後、グループ1としてSFJの上級会員(STARLINK VEGA)、ANAのダイヤモンド会員の優先搭乗が始まり、その後グループ2で搭乗。
今回は結果的に窓側席を確保できたのだが、SFJ便をANA側から予約すると座席指定の可能なエリアはかなり絞られている。それゆえ、当初は窓側に空きがなく、通路側座席を指定していた。ただ、どうやら一定のタイミングで若干解放されるようで、搭乗前日に座席指定画面を見にいった際、ちょうど空いていた窓側席に変更することができた。
SFJの機材の特徴は普通席でも圧倒的なシートピッチの広さ。JALのクラスJには若干劣るが、前方の2列目から7列目までは35インチ(約890mm)間隔と、普通席として異例の座席配置になっている。若干の差であれば違いが体感できないこともあるが、SFJに関しては従来機材を含めて明らかに座席間隔が広い。
(例えばLCCではこんな様子)
SFJの飛行機といえば各座席に液晶モニタが設置されているのが特徴だったが、今回登場した新機材はモニタが取り払われている。その代わり今まで未設置だったWi-Fiが設置され、各自の携帯端末を使う形に変わった。これに対応して前座席背面にはタブレットホルダー、コンセント電源、USB-A、USB-Cの端子が用意されている。
この他、少し変わっているのは前座席フレームの側面にコート掛けが設置されているところ。便利ではあるが、これは他の航空会社ではまだ見たことがない設備。
窓ガラスには「AIRSPACE」のロゴが彫り込まれているが、これはエアバス社が2017年から展開し始めた新しいキャビンコンセプト。乗客にも分かるところとしては荷物棚の大きさが拡大され、機内持ち込みサイズのスーツケースは縦に収納できるようになり、また客室側の窓が少し大きくなるなどの変化が生じている。
この日は搭乗開始前に「フレックス•トラベラー」を募集するくらいに混雑していて、満席での出発。この「フレックス•トラベラー」、何度か搭乗便が対象になったことがあるのだが、予定が詰まっている日に限って遭遇するから、一度も応募できたことがない。
時々調整がうまくいかずに出発が遅延することもあるが、便数の多い福岡から羽田に向かう便、かつ日中ともなると調整はすぐにできたようで、搭乗開始前に募集を締め切っていた。これが沖縄から羽田に向かう最終便なんかだと代替が利かず、過去には結構待たされたことがある。
飛行機は定刻よりも約25分ほど遅れて出発。トーイング車によって誘導路に押し出されると、こちらが動き出すよりも前に、開けたばかりの駐機場に次の飛行機が入ってきた。各便ともに遅れているせいで駐機場繰りはなかなか混乱していて、頻繁に搭乗口変更の案内が流れていたような状況。
この日は南から北へ向けての離陸滑走で、空港内を約3km走って滑走路端に到着。出発機、着陸機共に混雑していて、先行機に続いて滑走路に入った時点で既に13:50になっていた。
福岡空港を利用するたびに記している気がするが、同空港の特徴は圧倒的な看板の多さ。看板の中身そのものはアップデートされている気がするが、個人的にはこれが「福岡といえば」の風景。
国内線ターミナルから立体駐車場を挟んで奥側には新施設が建設中。現在処理能力不足が問題になっている保安検査場の能力強化のほか、新たに商業施設•ホテルやバスターミナルなどが設置されるんだとか。
現在は一部の高速バス路線が国際線ターミナル側に立ち寄るのみだが、もしかするとこれが開業した後は福岡空港始発、もしくは福岡空港経由になる路線が出てくるかもしれない。空港はバスターミナルとしてもポテンシャルが高い訳で、高速バス同士の乗換えなんかでももっと活用されて良いのに、なんて思ってしまう。
だいぶ急上昇したようで、香椎上空で180°旋回して空港近くに戻ってきた時には結構な高さ。うっすらではあるが、現在整備中の新滑走路の様子も見てとれる。計画通りとはいえ両滑走路の間がえらく近いが、どういった使い方になるんだろうか。
2本の滑走路を同時に運用するとなれば離陸専用と着陸専用といった形になり、ともするとどちらかがターミナルから遠い滑走路を利用することになると思われ、結果として横断待ちで今よりも時間がかかってしまう、ということもあるかもしれない。
しばらく南に進んだのち、左旋回して東へ進路をとる。大分県あたりで進行方向右手に見える山々は山頂付近に雪を纏っている。温暖なイメージのある九州ではあるが、山間部は案外雪が降ったり積もったりすることがある。
離陸から約15分で大分県大分市上空に到達。眼下に見える大分市街地から国東半島にある大分空港までは2024年春頃にホバークラフトが運航開始するというから、開業すれば一度くらい乗って見たいところ。
そういえば、この辺りで機内Wi-Fiが稼働し始め、インターネットに接続できるように。ただ、通信速度はあまり速いとは言い難く、あるだけマシ、くらいのイメージ。Wi-Fiに関してはJAL系の方が通信速度が速く、ANA系はあまり使い物にならないイメージ。加えてJAL系の一部機材では地上滑走中から通信できる一方で、ANA系ではそうした動きも聞いたことがない。
その後10分ほどで高知県は高知市上空に到達。中央奥には南国市にある高知龍馬空港の姿も確認できる。陸路では果てしなく遠い博多から高知への道のりだが、飛行機では約50分で移動することができる。
(過去、福岡から高知への移動はこちら)
この辺りでベルトサインが消灯し、飲み物のサービスが始まった。飲み物の種類はそれほど多くないが、コーヒーはタリーズ、お茶は八女茶とこだわりが感じられるラインナップ。
(公式サイトの案内についてはこちら)
この日は比較的追い風が強く対地速度は600ktを超えていて、地上の景色がすぐに後方へ流れていく。前述の高知市通過から30分ほど経過した頃にはもう伊豆半島までやってきていた。眼下に見えるのはおそらく利島の辺りで、先日ジェット船で通過したところ。
(その際の記録についてはこちら)
その後房総半島上空に差し掛かった辺りで飛行機が旋回を始めた。どうやら新ルートが利用できる15時のタイミングで着陸経路を整理し始めたようで、自機はしばらく房総半島上で旋回待機することに。
旋回待機のタイミングでは外房に広がる九十九里浜を一望することができた。普段羽田へ帰ってくるとなると日没後が多いから、なかなかこのような景色を目にする機会というのは多くない。地図に照らして見るに、中央の出っ張ったところは九十九里町、右奥の先端あたりが銚子市辺りになるはず。
飛行機は比較的小さな四角形をぐるぐると回り続けるのだが、勿論この飛行機だけが待機している訳ではない。窓の外に目を凝らすと、同様に待機飛行している飛行機が近くを飛んでいるのが見えた。
福岡空港を出発する時点では滑走路22を使用していたが、15時を過ぎたことで東京都心を通過する着陸コースも選択できるように。
久しぶりに都心を見物するのも面白いと思っていたのだが、運悪く?この時間帯の羽田空港はほぼ無風で、東京湾上を降下していく北風運用に切り替わった。先ほど見かけたほぼ同高度で飛んでいた飛行機は、一足先に羽田空港に向けて待機経路を離脱して出発していった。
(新着陸ルートから見える景色についてはこちら)
見渡す限り広がる関東平野を眺めていると飛行機は徐々に高度を下げ、木更津市付近から東京湾に出た。すると羽田空港は目と鼻の先で、もう5分も待たずに着陸することになる。
木更津の自衛隊駐屯地を過ぎて東京湾に出ようかという頃、地上にはちょっと変わった形の池?が見えてきたのだが、これは新日鐵が高度経済成長期に研究していた「浸透実験池」。工業用水を干潟に貯めておくことができるかどうかを研究していたらしい。
また、この辺りの海岸にはかつて陸地から海上にかけて電柱が設置されていたが、一部はどこかのタイミングで取り払われてしまった模様。
東京湾アクアラインに沿って進んでいき、海ほたるサービスエリアが見えてくるとすぐに着陸。大きな船のように見える建物は独特かつ大規模ということもあって、羽田空港の着陸時には目印としても利用されているとか。ちなみに川崎から、千葉からいずれから来た場合でも同サービスエリアで折り返して元来た方向へ戻ることができるようになっている。
半分浮島、半分埋立のD滑走路が見えてくると30秒ほどで羽田空港のA滑走路へ到着。ここまで遅れてしまえばゴーアラウンドでもう1周というのも面白いなんて思っていたが、勿論そんなことは起こるはずもなく無事着陸。
この日は第1ターミナルの最果て、1番駐機場に到着。出発が遅延したことに加え上空での旋回待機もあり、最終的に羽田空港に到着した時点では35分遅れまで拡大していた。ちなみに向こうには第2ターミナルが見えるが、将来的には第1ターミナルと第2ターミナルは連結することも視野に入っているとか。
それにしても、一頃は路線によって第1ターミナル発、第2ターミナル発と分かれていてややこしかった羽田空港のSFJだが、2020年10月以降は全ての便が第1ターミナル発着となり、その意味では分かりやすくなった。
空港からはリムジンバスで次の目的地へ向かう予定だったが、当初予定していた便には間に合わず、1本遅い便に乗って目的地へ向かった。
プレミアムクラスへのアップグレードを考慮するなら選択肢には入りづらいかもしれないが、単に普通席に搭乗するのであれば、ANA直営便よりも圧倒的にSFJ便の方が快適。願わくばJALとコードシェアでもしてくれればもっと利用するのだが。
というお話。