便名 : ジェット船1220便
日付 : 2023/09/xx
区間 : 伊豆大島岡田港(10:45)→ 新島港(11:40)
所要時間 : 00:55
乗車クラス : 普通席(座席指定制)
運賃 : 2,560円(事前クレジット決済)
運行 : 東海汽船
ジェットフォイル「セブンアイランド友」に乗って熱海港から伊豆大島の岡田港までやって来た。ここでは50分後に出発する別の船を乗り換えて、新島を目指す。
(ここまでの移動はこちら)
それほど長い待ち時間ではないから遠くに行くわけにもいかず、待ち時間は岡田港のターミナルビル屋上の展望台で辺りを眺めてみることに。
奥に停まっている船は「さるびあ丸」で、東京から大島、利島、新島、式根島、神津島を結んでいるが、推進システムに不具合が生じたようで、2023年の夏シーズンは大島止まりで、その先の島へは臨時ジェット船に乗換える形で運航されている。
ここから見えるのは東京湾に出入りする船だろうか、大型の貨物船が行き交っている様子をぼーっと眺めていると、10:20頃に右手(東)側からものすごい白波を立てながら1隻の船がやって来た。
船は減速しつつもまだ翼走を続け、岸壁から200mほどのところで着水。ここまで乗ってきた船でも思ったが、かなりギリギリまで船体が浮いたまま走ってくる。
やって来た船は「セブンアイランド大漁」号。正面から見ると大漁旗?のようなデザインになっているが、部分部分を切り取ると東北新幹線のE5系のような色をしている。
船のダイヤは日毎に異なっていて、当日の時刻表上ではこの時間に発着する船は1便しかない。ちなみに熱海港で手に入れた乗船券にはセブンアイランド「愛」と記載があった。
一方、やって来たのは前述の通り「大漁」で、ともすると船が変わったのかと思ったが、どうやらこの日は東京港から伊豆大島まで同時刻で2便が運航されていたようで、この「大漁」は伊豆大島止まりとして運航されていたらしい。
「大漁」の方はほぼ満員だったようで、いつまでも途切れない乗客の列を眺めていると、5分ほど経って次の船が到着。こちらが乗船券に書いてあった「セブンアイランド愛」号。この船はLCCのPeach のような色をしている。
(Peachの飛行機というのはこちら)
現在東海汽船では4隻のジェット船を運航しているが、今回乗船する「愛」が最も古く、1980年竣工。2000年までは大阪港から神戸港、小豆島経由で高松まで結ぶ「ジェット7」なる航路で活躍していた船なんだとか。もう40年を超えているが、この手の高速船はどの程度使用することができるものだろうか。
このように老朽化が進んでいるのは同社に限った話ではなく、国内で運航する他社でも問題となっているようだが、ジェットフォイルは1隻が50億円ほどする上、建造するには最小ロットが5隻程度となることで船の更新はなかなか進んでいない状況。そんな中2020年に竣工した「結」はスペアパーツを使用して建造されたようだが、今後はどうなるんだろうか。
そういえば、熱海港から伊豆大島までの船は乗船券を手渡すのみで乗船できたが、伊豆大島から新島に向かう船では乗船券の半券に氏名と住所の記載が求められた。どうやら乗船時間が概ね1時間を超えると記載が必要になるらしい。なお、今回の旅程はインターネット公式サイトで予約、決済したため、所定運賃から何やら自動で謎の割引がかかっている。
ともあれ船に乗り込むと、先ほどは右舷側だったが今回は左舷側。座席カバーの色が先ほど乗船した「友」が青系統だったのに対しこちらは紫系統で、それだけで船内の雰囲気は結構異なっている。そういえばこの船、釣りの餌かなんかだろうか、えらく生臭い匂いがしていた。
後になってよくよく写真を見比べると、車内の衝撃防止のクッションが「友」は青色、「愛」はピンク色になっていて、それもあって雰囲気が違っていたのかもしれない。
船は時間通り出発したが、乗客の1人がお手洗いから出て来ず翼走出来ないとのアナウンス。しばらく徐行で進んだ後、乗客の着席とシートベルトを確認すると飛行機のようにエンジンの回転が上がり、加速して離水。
伊豆大島の岡田港は島の北側に位置するため、次の利島までは伊豆大島を反時計回りに廻りながら向かう。島から少し距離を取るために西に進んでいるタイミングでは、遠方に利島、新島の島影を確認することができた。
ぼーっと外を眺めていると、進行方向左手を現状最新鋭のジェットフォイル「セブンアイランド結」が走っていった。随分島に近いところだが、どこまで島に近づいて走れるのか気になるところ。
伊豆大島を出て30分ほどすると目の前に大きな山が現れ、利島の利島港に到着。国勢調査のあった2010年時点で204世帯、341人が居住していたというが、現在はどうなっているんだろうか。
ちなみにこの利島のある東京都利島村は東京都内の市区町村の中で最も小さく、4.12㎢しかないのだそう。面積の大半は標高508メートルの宮塚山が占めていて、島内に平地は殆どない。余談が続くが、同島は「郡」に属しておらず「東京都利島村」というのが正式な住所で、また住所に大字が存在しないため、全て「東京都利島村xx番地」なんだとか。
利島を出ると30分で目的地の新島。それにしてもこの日はびっくりするくらいのベタ凪で、海面には殆ど波が立たず湖を走っているように錯覚するほど。そうでなくとも揺れないジェットフォイルだが、この日は停まっているのかと思うくらいに揺れなかった。そういえば、過去宗谷岬の近くでこれよりも穏やかな海を一度見たことがある。
(宗谷岬近くの水鏡についてはこちら)
そうこうしているうちに船は新島に近づき減速。ほぼとんぼ返りの八丈島を数に含めなければ、伊豆諸島を訪れるのは今回が初めて。「海がきれい」というのは先に訪れた知人から聞いていたものの、実際に見てみれば予想していたより遥かに海が綺麗で驚いた。
新島港では謎の屋根だけの構造物の前の岸壁に着岸。今回はここで下船したが、船は目の前に見える式根島を経由し、終着の神津島まで向かう。
この日は新島港から30分ほど歩いて新島空港まで移動し、14時過ぎの新中央航空の定期便で調布飛行場へ戻るスケジュール。あまり時間はないが、その中で訪れられる景勝地へ向かってみることに。
(新島から調布飛行場への飛行機はこちら)
というお話。