日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗船記】スーパージェット広島・呉-松山航路(松山観光港/呉港)


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便名 : スーパージェット6便
日付 : 2023/02/xx
区間 : 松山観光港(15:40)→呉港(16:37)
所要時間 : 00:57
乗車クラス : 普通席
運賃 : 6,300円(窓口クレジット決済)
運行 : 瀬戸内海汽船

愛媛と広島を一度に廻る旅程で、愛媛先廻りのルート。前回はクルーズフェリー「シーパセオ」を利用したが、今回は時間を買って高速船「スーパージェット」を利用することに。所要時間は半分になるが、料金は1.5倍になる。料金が倍にならないだけ良心的かもしれない。

(公式サイトはこちら)

setonaikaikisen.co.jp

(前回の記録はこちら)

biketourist.hatenablog.com

出発地は松山市郊外にある松山観光港。近頃は日本各地の港が順次更新されていて、2000年にオープンしたというこちら松山観光港の現ターミナルも空港のような雰囲気。同港からは今回利用する広島行き(一部呉経由)のほか、夜行の小倉行き、近隣の睦月島、野忽那(のぐつな)島経由中島行きなどが発着している。

松山観光港 ターミナル

(別日撮影)空港のような松山観光港ターミナル

この日は特に予約をしておらず、出発直前にチケットを購入。長距離のフェリーだと乗船台帳に記載してチケットを購入するが、広島松山航路は短距離だからか、窓口で氏名と電話番号を告げるのみで手続きが完了。運賃は交通系ICカードでも支払いが可能。ただし片道6,300円(呉まで)もしくは8,000円(広島港まで)とそれなりの残高が必要。

出発15分ほど前に乗船する「スーパージェット」が到着。この「スーパージェット」というのは東京大学日立造船、瀬戸内クラフトが共同開発した国産の船で、トータル9隻しか存在しないのだとか。

ちなみにこちらの航路は石崎汽船瀬戸内海汽船の共同運航だが、乗船する便は瀬戸内海汽船の「宮島」がやって来た。調べてみると、瀬戸内海汽船が広島側の事業者で、石崎汽船が愛媛側の事業者とのこと。

松山観光港 スーパージェット

(@松山観光港) この便は瀬戸内海汽船の運航

乗船時にチケットがもぎられ、半券を持って乗船。客室は2クラスあるが、上級席「スーパーシート」を利用する場合は船内売店で追加料金(800円/大人1名)を払う必要がある。どういった背景かはわからないが、船の上級座席は船内で支払うケースが割と多い。普通席の座席は新幹線の普通席と同じような座席幅、シートピッチで、リクライニングもそこそこ。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」 普通席

(@「宮島」船内) 普通席

この「宮島」、就航は1994年だそうでもうすぐ30年といった頃合い。割に綺麗にされていて、設備に明らかにくたびれているとかいった箇所は見かけなかったが、正面に掲げられている船名「宮島」の文字は少しレトロ。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」 普通席

前方の掲示だけちょっとレトロ

なお、波の穏やかな瀬戸内海ではあるものの、航行中はそれなりに揺れが激しい。それゆえ、船酔いが心配なお客様への案内として、中央・後方座席への着席を推奨していた。今回なにも考えずに前方座席に座ってしまったが、確かに携帯電話の画面を眺めていると酔ってしまいそうな程度には揺れていた。ただし、過去乗船したなかで最も揺れた石垣-波照間航路と比べると「揺れていない」に入りそうな感じ*1

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」 普通席

天候のよい日の飛行機よりは揺れる

中途半端な時間の便ということもあり、座席はちらほら埋まっている程度で出港。ちなみに件の上級客室料金を支払う船内売店は1階客室の中央部にある。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」 普通席

(@「宮島」船内) 普通席

港を出ると程なくして全速航行が始まった。船はあまりよく分からないが、航海速力は32.0ノットだそうで、時速に直すと約60km/hくらいだろうか。フェリーのような大きな揺れではなく、飛行機が離陸滑走している時のような小さなガタガタとした揺れが続くイメージ。

出発して20分ほどすると、進行方向左手に松山観光港15:20発の「シーパセオ」が現れ、あっという間に後方へ消えていった。まもなくして反対方向のフェリー、スーパージェットともすれ違ったから、後に通過する「音戸の瀬戸」で行き違いや追い越しが起こらないよう、上下便ともにこの辺りでやり過ごすようなダイヤが組まれている模様。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」から「シーパセオ」

20分前に出港したフェリーを出港20分後に追い越した

松山観光港出発から45分ほどで航路上の難所、「音戸の瀬戸」を通過。航路上最狭部で幅が80mほどしかないため、スーパージェットといえども最徐行で通過する。これを通過したころに案内放送が流れ、約10分ほどで今回の目的地となる呉港に入港。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」航行中

(@呉港付近) 大きなクレーンが立ち並ぶ

呉は造船業の盛んな街で、港の周辺には大きな造船所がちらほら見られる。港に近いところでは大型貨物船の建造中だったようで、「ONE」のマークの入った船体が建造されている様子が見られた。調べてみると、どうやらこれは世界最大級のコンテナ船なのだそう。

「TEU」という見慣れない単語が出てきたので調べてみると、20フィートコンテナ1つが1TEUだそうで、この船は24,000TEU超クラスなのだそう。JRの貨車には1両に2つ積めるそうなので、貨物列車で言えば12,000両分の輸送力ということになるんだろうか。あまりに輸送力が桁違いすぎてピンと来ない。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」航行中

(@呉港) 世界最大級24,000TEUクラスの貨物船

ともあれ下船口に移動して到着を待つ。デッキには後付けと思われる多目的トイレと、元々ある通常のトイレが設置されているので、1時間程度の航路ではあるがお手洗いも特段心配不要。

瀬戸内海汽船  広島・呉~松山航路「宮島」航行中

(@「宮島」船内) 多目的トイレも完備

そんなこんなで呉港に到着。四国-本州間が1時間で移動できるというのはなかなか捨てがたいが、「シーパセオ」が割に快適なので、こちらもこちらで捨てがたい。いずれにしても、ここは今のところ日本国内では珍しく陸路より海路のほうが利便性が高い区間

下船したのち、この日は呉市内に宿泊。

*1:同航路は年配のかたは座っていたとしても骨折することがある、といった注意書があった気がする。