便名 : 0003便
日付 : 2020/11/xx
区間 : 松山観光港(09:35)→広島港(12:15)
乗車クラス : 普通席
運航 : 瀬戸内海汽船
本州-四国間は橋が3つ架かっており移動は自動車か鉄道が一般的だが、松山-広島間に関しては、例外的に船での移動が盛んな地域。しまなみ海峡大橋が今治から尾道につながっており、遠回りになるのだ。そのため、平時であれば1日12往復の高速船、フェリーが10往復と、結構な頻度で運航されているうちの、フェリーを利用した時のお話。
この日は早朝の松山市街地からスタート。若干霞がかってはいるものの、秋らしく、高い感じのする青空。
船の発着する松山観光港は、松山市街地から北西方向に10kmちょっとの場所。アクセス手段は伊予鉄(郊外線)+バスか、市街地からのシャトルバスの主に2種類で、今回は前者、つまり大手町駅から伊予鉄で高浜駅、そこから連絡バスで向かった。所要時間はだいたい25分ほどの道のり。
近頃のフェリーターミナルというとどこも小綺麗なイメージがあるが、ここ松山観光港のターミナルも2000年に開業したそうで、割と近代的な建物。窓口では出発1時間前頃からチケット販売が開始され、広島港までのチケットを購入。運賃は徒歩乗船の場合、大人が4,000円/人(2021年5月現在)。
高速船は正面から、フェリーは少し離れた乗船口からの乗船。待合室から、外には出ないものの徒歩5分くらいのところ。
この航路、旧来、早いけれど追加料金の掛かる高速船と、安くて遅い(そして少し古い)フェリーといった住み分けが(結果的に)されていたところ、2019年の夏に就航した、この「シーパセオ」がその状況を一変させた。
その船のコンセプトは「瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園」だそうで、後に紹介するが、確かに移動を楽しむべく色々な設備が用意されている。
(公式サイトはこちら)
その後2隻目の「シーパセオ2」も就航して、現在新型船は2隻体制で就航している(便によっては昔ながらのレトロな船も就航しているので要注意)。
乗船の列に並んでしばらくすると、広島からの便が到着。乗客と車を下ろし終わると、特に大々的なアナウンスもなく順次乗船開始。
前述のコンセプト通り、この船は「移動を楽しむ」ために、様々な席が用意されている。通常のシートはもちろんのこと、展望席に桟敷席なんかの用意も。今回は天気がよかったこともあり、前方最前列を確保した。
飛行機なんかと比べると、かなり短い折り返し時間での出発作業。たくさんの車が並んでいて、よく時間通りに出発できるものだと感心しているうち、ほどなくして出発。松山から広島までは2時間40分ほどの船旅。
船は瀬戸内海を北方向に航行するようなイメージ。島の多いエリアゆえ、常にどこかの島の横を走っている。ただ、元々波の少ない海域なので、天気も相まって非常に穏やかな航海。
出発して1時間少し経つと、船は航行の難所、音戸の瀬戸に近づいてくる。ここは最も狭いところで幅80mほどしかないのだそう。
船は徐行しながら慎重に通過していくが、目の前を悠々と横切るのは地元の渡船。双方慣れたものなのだろうけれど、素人目にはなかなか冷や冷やもの。
音戸の瀬戸を抜けて15分ほどすると、途中の呉港に到着。目の前には潜水艦の展示がある「鉄のくじら館」と「大和ミュージアム」。
ちなみに、松山から広島駅に向かう場合、終着の広島港から広電に乗るよりも、時間によってはここからJRに乗り換えたほうが早い場合もあるので要注意(特に夜の遅い時間は、広島港からの最終電車が既に出ている場合もある)。
呉港を出発してから、デッキに上がってみた。デッキは曲線が多用されており、他の船とは明らかに異質な雰囲気。屋上デッキには一部人工芝が張られており、「しお風のガゼボ」と名付けられた、ちいさなあずまやのような場所も。
そんなこんなでのんびり3時間弱の時間を過ごして広島港へ到着。
広島と愛媛、普段あまりセットで観光するプランが組まれないルートではあるものの、例えば自転車でしまなみ海道を走破して、帰りはフェリーなんていうのも面白い。気候が穏やかな秋なんかは、きっと素敵な時間を過ごせるのでおすすめ。