日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【搭乗記】CUK/NCA0206(新島/調布)


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便名 : CUK/NCA0206
日付 : 2023/09/xx
機材 : Do228NG
区間 : 新島(14:25)→調布(15:05)
所要時間 : 00:40
区間マイル : 不明
搭乗クラス : 普通席
運航 : NCA(新中央航空)

これまで日本国内のJALANAの定期便が就航している空港には一通り訪れているのだが、それ以外の航空会社の就航する空港については訪れたことがなかった。今回1日自由に使える時間ができたので、とりあえず一つ訪れてみることに。

そんな訳でやってきたのが、本土から約150kmほど離れた新島(にいじま)。往路は高速船(ジェットフォイル)を利用し、港からは観光をしながら徒歩で空港までやってきた。空港は公民館くらいのサイズだが、奄美群島の空港よりは立派かもしれない。

新島空港 新中央航空 カウンター

新島空港/ 日に4往復が運行されている

今回搭乗する便を運行するのは新中央航空。19人乗りのドルニエ228型機5機で東京都調布市にある調布飛行場と大島、新島、神津島、三宅島を結ぶ路線を運航している。便数は日によって異なるが、各島ともに2便-4便/日が運航されている。

(公式サイトはこちら)

www.central-air.co.jp

ご覧の通り飛行機が小さいことから大手の航空会社とは異なる点がいくつかあり、例えば搭乗時に体重の告知が必要である上座席の指定ができないほか、手荷物の制限が厳しく、5kgを超える部分については超過料金が発生する点が挙げられる。この日は荷物が重くいくらか超過してしまい、超過料金についてはクレジットカードで支払った。

新島空港 新中央航空 ドルニエ228NG

新島空港/ 大手航空会社は運用していない機材

保安検査は他の空港と同様に実施し、搭乗待合室へ移動。そもそも飛行機が19人乗りということもあって、待合室はちょっとした会議室と同じくらいの広さ。ちなみに客室にはモニタどころか客室乗務員さんもいないので、この部屋で救命胴衣の説明が実施される。と言ってもラジカセから音声が流れているだけで、どれほど聞いている人がいたかは怪しいところ。

新島空港 搭乗待合室

新島空港/ ギリギリ全員入れるくらいの搭乗待合室

暫くすると奥の扉が開き機側へ移動。この時点ではまだ座席番号は知らされておらず、先頭の座席から順に呼び出されて乗り込んでいくような仕組み。

新島空港 NCA206便 ドルニエ228NG

新島空港/ 座席は機側で発表される

今回搭乗するドルニエ228NGは前述の通り19人乗り、観光バスより5mほど長い、全長約17mほどの小型機。かつてはJAC(日本エアコミューター)でも運用されていたそうで、何だかんだ日本に縁の深い飛行機。

それほど高い高度を飛ばないため与圧されておらず、客室は四角形になっている。横幅は1.5mほどで、室内寸法が1,695mmというトヨタハイエース(非ワイド車)より少し細いくらいのサイズ。以前搭乗したことのある「アイランダー」よりは大きいが、国内を飛ぶ定期便の飛行機にしてはかなり小さい部類。

(「アイランダー」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

NCA206便 ドルニエ228NG 機内

ドルニエ228NGの機内/ 飛行機では珍しい真四角の内装

エンジン停止中は空調が停止していて機内はかなり蒸し暑い。それゆえ各座席には「団扇」が用意されている。なお、電子機器の使用は大型機よりもルールが厳しくなっていて、ドア閉鎖中は電波を発するBluetooth通信のイヤフォンなどは使用できないルール。

ちなみにエンジンが廻りはじめてもそれほど空調は効いていなかったが、離陸してしばらく経って突然頭上のスポットクーラーから水蒸気と共に冷気が出てきた。予め「白い煙が出る」旨はアナウンスされていたが、それにしても豪快に出るもんだからちょっとびっくりした。

NCA206便 ドルニエ228NG 機内

ドルニエ228NGの機内/ 冷房が効くまではしばらく掛かる

滑走路長800mの新島空港をあっさり離陸するとしばらく海上を飛び、進行方向左手に利島、その後右手に伊豆大島が見えてくる。左手の様子はあまり鮮明には見えないものの、横幅が1.5m程度なので隣の座席越しに何となく様子は分かる。

以下の写真で見えているのは伊豆大島の南端、初見では全く読めない波浮港(はぶみなと)の辺り。機は島の西側を掠めるように飛んでいくから、島の西半分の様子がかなりはっきりと見て取れる。

NCA206便 伊豆大島上空

伊豆大島上空/ 写真上部が波浮港(はぶみなと)

こちらは島の中央に位置する三原山。標高758mの活火山で現在は平穏な状況を維持しているものの、前回1986年の噴火の際には島民が東京都内や静岡県内に約1ヶ月避難を余儀なくされるほどだったそう。現在はトレッキングコースとして人気なんだとか。

NCA206便 伊豆大島上空

三原山山頂付近/ トレッキングコースとして人気

その後、往路に利用した岡田港の上空を通過。堤防が長いことに加え、半月型のターミナルがあるから比較的容易に把握することができた。この高さであれば、ジェットフォイルが停泊している様子も見てとれる。ちなみに伊豆大島には元町港、岡田港の2つがあるが、その日の天候に合わせて入港する港が変わるのだそう。

NCA206便 伊豆大島上空

岡田港上空/ ジェットフォイルは日によって入港する港が異なる

その後洋上を少し飛ぶと、進行方向左手には富士山と江ノ島、右手には三浦半島が見えてきた。三浦半島の先端にあるのは「城ヶ島」で、記事にはしていないが以前「みさきまぐろきっぷ」で訪れたことがある。

NCA206便 三浦半島上空 城ヶ島

三浦半島上空/ 三浦半島の突端を通過

東京湾の湾口はかなり窄まった形をしていて、最も狭いところ(神奈川県の観音崎/千葉県の富津岬の間)では6kmしかないのだとか。それゆえ、神奈川県側から向こうを見ると、かなり近いところに房総半島があるのが見て取れる。

NCA206便 三浦半島上空 城ヶ島

三浦半島上空/ 奥に見えているのが千葉県の房総半島

飛行機は調布飛行場に向け北北西に一直線に飛んでいると、進行方向右手には横須賀の港や金沢文庫京急線の車庫なんかが見えてくる。船は見ても何が何やら全くわからないが、灰色の船が並ぶ姿はなかなか壮観。

余談だが、写真右上に見えているのが無人島の「猿島」で、横須賀中央駅から徒歩15分ほどのところにある「三笠ターミナル」から島まで日に8往復便が運航されている。島の人気が高まったことにより、現在新造船を建造中で、2024年4月頃に就航するんだとか。イメージ図を見るに、以前松山と広島の間で乗船した「シーパセオ」とどこか似た雰囲気があるような。

(瀬戸内海のフェリー「シーパセオ」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

NCA206便 横須賀市付近

横須賀市付近/ 米軍や自衛隊の船が多数停泊中

その後目の前にはみなとみらい、遠方には東京都心が見えてくる。横浜の街並みはしばしば羽田からの出発便で目にすることがあるが、この角度からというのは過去なかったはず。それにしても、画像が少し粗いせいでどことなくGoogle Earthっぽさがある。

(より高い高度からの横浜市街地の様子はこちら)

biketourist.hatenablog.com

NCA206便 横浜•みなとみらい付近

横浜•みなとみらい付近/ ランドマークタワーは抜群の存在感

飛行機はそのまま北上を続け、小田急線の新百合ヶ丘駅の西側を通過。この辺りでは一段と高度が低くなり、車一台一台を確認できるくらいの高度。程なくして操縦席から「最終着陸態勢に入る」旨のアナウンスが入った。

NCA206便 よみうりランド付近

よみうりランド付近/ 1つ1つのアトラクションが見える距離

そのアナウンスと同時に比較的気流の悪いエリアに入ったようで、機体が揺れ始めた。と言っても驚くほど揺れるでもなく、思ったほど揺れないな、という感じ。飛行機は一旦空港西側を通過し、中央線の手前で大きく右旋回しながら降下するような進入経路で進んでいく。

NCA206便 飛田給(味の素スタジアム)付近

飛田給(味の素スタジアム)付近/ 滑走路は短く800mしかない

進行方向右手広大な多摩霊園、その奥に調布飛行場の滑走路が見えてくると間も無く着陸。滑走路は800mしかないが、思ったより余裕を持って滑走路の半分も使わずに減速を終え、そのまま駐機場へ到着した。滑走路には並行誘導路が取り付けられていて、滑走路が短いほかは下手な地方空港よりも設備が充実しているように見える。

NCA206便 調布飛行場付近

調布飛行場付近/ 北から南に向けて着陸

そんなこんなで調布飛行場に到着。この日は少し大きめの荷物を持っていて、座席の下に置くには少し心許無く預入れ手荷物にしたのだが、荷物は3分と待たずに返ってきた。なお、飛行場からは調布駅行き、もしくは本数の少ない三鷹駅行きのバスで鉄道駅へ移動することができる。

NCA206便 調布飛行場 ドルニエ228NG

調布飛行場/ 燃料を補給してまた飛び立って行った

本土に戻ってきたばかりではあるが、この日は羽田発の最終便で大阪へ移動する旅程。少し飛行場を散策したのち調布駅へ向かい、バスで羽田空港へ向かうことに。

座席が選べないのが珠にキズだが、普段とは違う高さから街を眺めるというのもなかなか新鮮な体験だった。そして何より伊豆大島は驚くほど海が綺麗だったから、是非天気の良い日に島を訪れてみることをお勧めする。個人的にはまだ乗ったことのないヘリコプターに一度乗ってみたいと思っている。

というお話。