日本の迷い方

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【乗車記】三島羽田シャトルWN8803便(新木場駅/三島駅南口)


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便名 : 三島羽田シャトルWN8803便
日付 : 2023/09/xx
区間 : 新木場駅(18:15)→三島駅南口(22:05)
所要時間 : 03:50
乗車クラス : 普通席(座席指定制)
運賃 : 2,800円(事前クレジット決済)
運行 : WILLER EXPRESS

2022年秋に羽田空港第3ターミナルのそばに開業した「羽田エアポートガーデン」。同施設にはバスターミナルが開設されたこともあり、従来羽田空港に乗り入れていなかった事業者や路線がいくつか開設され始めた。その一つが今回乗車する「三島羽田シャトル」。

2023年7月の開業時点では1日3往復が運行されていて、伊豆箱根バス東海バスWILLER EXPRESSの3社共同運行。今回乗車するのは都心側発の最終便で、始発の新木場駅を18:15に出発するWN8803便。

(事業者公式サイトはこちら)

travel.willer.co.jp

という訳でやってきたのが新木場駅。同駅が始発となっている理由は東京ディズニーリゾートのある舞浜駅から電車で2駅ということもあると思うが、最大の理由は駅の目と鼻の先にWILLERの車庫があることが大きい。

新木場駅 駅舎外観

新木場駅/ 同駅にはJR•りんかい線東京メトロが乗入れる

同駅にはJR系の高速バスも一部発着していて、ロータリーには専用のバス停が設置されている。2023年9月現在、JRの便は静岡•名古屋方面に3便と大阪•神戸方面に1便の計4便体制。JR系の高速バスが2010年代に東京ディズニーランドに直接乗り入れられるようになったこともあって、かつてよりは便数が減少傾向と見える。

新木場駅 JR系高速バス乗り場

新木場駅/ JR系高速バスも数路線が乗り入れる

WILLERのバスはJR系高速バスと少し離れたところにある、いわゆる「新高速乗合バス」グループの共同バス停からの発着。このバス停は「VIP LINER」の面積が広く、例えばこの路線を乗車しようとした場合、とりわけ伊豆箱根バス東海バスの便に乗車しようとした場合は手がかりが少なく、見つけづらいかもしれない。

新木場駅 WILLER高速バス乗り場

新木場駅/ 新乗合高速バスの共同バス停

ちなみに新木場駅周辺というのは大型国道と工業地帯といった感じで、ほとんど人家は存在しない。それゆえ、駅から少し離れた場所にある事業所との送迎のバスがひっきりなしに発着しており、ロータリーはかなり忙しない。

そばに停車していた京成バスはどうやら東京メトロの訓練センター行きのようで、1台出るとまた1台とかなりの便数が運行されている模様。また、そのバスの前方にはバス停標柱が立っているが、これは東京空港交通のもの。現在同駅発着の路線は存在しないと思うが、かつては路線があったのだろうか。

新木場駅 WILLER高速バス乗り場

新木場駅/ 東京メトロの訓練センターも駅の近くにある

そうこうしているうちにバスが乗り場に到着。車庫から近いのと、ロータリーが混雑しているのとで着車は出発5分前を切って到着した。車両は現行型の三菱ふそうエアロエース」。

新木場駅 WILLER高速バス乗り場 三島羽田シャトル

新木場駅/ 出発5分ほど前にバスが到着

座席は2列+2列の横4列配置でお手洗いは設置されていない。WILLERは休憩回数を多く確保するかわりにお手洗いを設置せず、その分シートピッチを大きく取った車両が多いイメージがある。なお、緊急の場合には頭上の降車ボタンを押下することによって最寄りのサービスエリア等に立ち寄る旨の案内があった。

座席はWILLER独自の「リラックス」タイプで、中でも座席間の間仕切りが大型化されたタイプ。隣席が殆ど気にならない代わりに、少し圧迫感があるような。ちなみにさらに改良が施された「Prime」というタイプもあるそうで、これは東京-名古屋、大阪路線などで運用されているのだとか。

三島羽田シャトルWN8803便 車内

三島羽田シャトル車内/ 「リラックス」タイプの座席

ちなみに座席上部の幌のようなパーツを同社では「カノピー」と呼んでおり、完全に下ろすと顔が隠れるような構造。この座席は夜行路線でも使用されるため、座席のリクライニングはそれなりに深く倒れる。

三島羽田シャトルWN8803便 車内

三島羽田シャトル車内/ 空席が多いと間仕切りは少し邪魔

各座席、もしくは車両側壁にUSB電源が設置されているので、携帯端末等の充電はこれを使ってすることができる。

三島羽田シャトルWN8803便 座席のUSB座席のUSB電源

三島羽田シャトル車内/ 各座席にUSB電源完備

18:15に乗客1名で新木場駅を出発すると、19:10に羽田エアポートガーデン、19:50に横浜駅(YCAT)と立ち寄って三島駅方面へ向かうスケジュール。そういえば、この便を担当するのは長野営業所の運転士さんだそうだが、どのような勤務になっているのだろうか。

新木場駅から羽田空港までは55分も所要時間があるから一般道経由かと思いきや、新木場駅を出発すると新木場入口から首都高速湾岸線に入り、東海ジャンクションから1号羽田線、空港西出口から一般道のルートで進んでいった。

空港西出口を経由する空港ターミナル発着のバスは環八通りに入ると多摩川スカイブリッジの手前で空港ターミナルに向けて左折するが、このバスはそのまま環八通りを直進し、18:45に羽田エアポートガーデンの南側にある高速バス用ターミナルに到着。これは先日乗車した「ガーデンシャトル」の発着する貸切バス用バスターミナルとは建物を挟んで反対側の乗り場。


(「ガーデンシャトル」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

同バス停出発時刻までは約25分の時間があるが、近い時間に出発するバスもおらずそのままバス停に据え付けられ、エンジンを停止して待機。首都高を60km/h程度で走ってこれだから、もう少し余裕時間を削ってもいいような。


(乗り場のある「羽田エアポートガーデン」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

三島羽田シャトルWN8803便 羽田エアポートガーデンバス停

羽田エアポートガーデン/ バス停は環八通り側に出入口がある

出発直前に1名乗車し、総勢2名で羽田空港を出発。道なりに進んだ先にある湾岸環八入口から首都高速湾岸線に入った。

羽田空港から次のYCATまで、同時間帯の他社空港連絡バスは同じ区間を約30分で設定している一方で、この路線ではも40分の所要時間が確保されている。遅れないように余裕を持っているというのは理解できるものの、総じて余裕が多く、新木場駅から横浜駅まで1時間35分というのは少し長いなという印象。通常高速バスに乗り遅れると在来線で追いつくケースはそう多くないが、新木場駅で18:15発のバスに乗り遅れても、35分後の18:50過ぎの電車に乗れば横浜駅で追いついてしまうほど。

バスは引き続き制限速度を下回るかなりのんびりした速度で湾岸線を進むと、本牧ジャンクションから神奈川3号狩場線、石川町ジャンクションから神奈川1号横羽線のルートでみなとみらい出口から一般道に戻って横浜駅近くのYCATへ向かう。

横浜駅では東口駅前の側道を進むと地下道に入り、地下道を抜ければ横浜シティエアターミナル(YCAT)に到着。ちなみに乗り場への入口こそばらばらの場所にあるが、ターミナルとしては東京湾アクアライン経由の高速バスなどが発着する横浜駅東口バスターミナルと一体の構造。

三島羽田シャトルWN8803便 横浜駅YCAT

横浜駅(YCAT)/ 同バス停からの乗車はなかった

この日YCATでの乗車はなく、乗客は総勢2名で確定。まだ開業間もない路線とはいえ、この程度の乗車率で大丈夫なんだろうか。ちなみに「成田アクセス」など他の空港路線と同様に、WILLERの公式ホームページから予約した場合、都心発のみ乗り遅れた場合は無料でキャンセルされるような運用になっているのだそう。

YCATを出発すると目の前にある横浜駅東口入口から再び首都高速に入り、横羽線、狩場線経由で狩場ジャンクションへ進み、横浜新道、保土ヶ谷バイパス経由で横浜町田インターチェンジ、そこから東名高速道路のルート。保土ヶ谷バイパスでは故障車だか事故だかでちょっとした渋滞があってしばらく低速走行が続き、そこから速度が回復しないまま横浜町田インターチェンジから東名高速道路に入った。

東名に入ると間も無く、YCAT出発から40分ほどで休憩の海老名サービスエリアに到着し、ここで約20分の休憩。先の羽田空港での待機時間は休憩ではないとはいえ、全長150kmほどの路線で所要時間4時間、そのうち1時間近くの少し停車時間というのは少し多いような気がする。規制上仕方ないのかもしれないが。

三島羽田シャトルWN8803便 海老名サービスエリア

海老名SA/ 20分の休憩時間が設定されている

海老名サービスエリアは飲食や物販で有名だが、この時間帯は半数を超える店舗がすでに店仕舞い後で、それほど買い物ができるお店も多くない状況。他社を含め高速バスの到着が集中したこともあり店内は割に混雑していて、少し見物しただけでバスに戻ってきた。

そういえば、このとき数レーン離れて同社の出雲大社行きが停車していたため、誤ってこちらのバスに乗り込んでくる乗客が複数名いた。あまりに乗客の数が少なく雰囲気が異なるから、すぐに気づいて降りて行ったが。

三島羽田シャトルWN8803便 海老名サービスエリア

海老名SA/ 他にも数便の高速バスが休憩していた

20分の休憩ののちもバスはかなりのんびりとした速度で、3車線あるうちの最も左側のレーンを進んでいく。すると件の出雲大社行きのバスが追い越し車線に現れ、あっという間に姿が見えなくなった。あちらは約12時間後、翌朝9時頃の出雲大社到着までまだ700km近くあると思われ、まだ行程序盤といったところ。

バスは大井松田インターチェンジの先で本線が分岐するところでは左ルートを選択。合流してしばらくすると御殿場ジャンクションに到達し、ここから新東名高速道路に入った。相変わらずの速度でほんの少し新東名を走ると、長泉沼津インターチェンジで高速走行を終了し、一般道で三島駅へ向かう。

この路線、三島駅では北口、南口と駅の両側に停車するのが特徴。首都圏側から見れば先に到着するのは新幹線側の北口で、その後駅の東側を時計回りに廻って在来線側の南口に到着。ちなみに同じ乗り場からは新宿行き「三島エクスプレス」号や河口湖駅行き「三島河口湖ライナー」なども発着している。

三島羽田シャトルWN8803便 三島駅南口

三島駅南口/ 新宿行きや河口湖駅行きも同じバス停から発着

なお、この日はここで降車したが、バスは終点の三島大場バス停(伊豆箱根バス三島営業所)まで向かう。ただしこの日は同バス停までに全ての乗客(といっても2名だが)が降車したため、ここで回送表示に切り替え、バスは車庫へ向かって走って行った。

三島羽田シャトルWN8803便 三島駅南口

三島駅南口/ ここで全員降車し、車庫へ回送されていった

かなりゆっくり走っていたにも関わらず定刻通りの到着だったから、全体としてダイヤにはかなりの余裕時分が含まれていると見受けられる。新木場駅から乗車すると、電車で行けば最速50分ほどの横浜駅までを1時間半程度を要するとあって、始発からの乗車はあまり想定されていなさそう、というのがこの日乗車した実感。その意味では、逆方向は各停留所での待ち時間なく直行するから有用かもしれない。

次の停留所、羽田エアポートガーデンはせっかくバスターミナルを整備したのだから、ここを発着する路線が充実し、長続きしてくれるといいなとは思うが、この路線に関していえば、運賃が在来線より安い訳でもなく、所要時間は在来線利用の場合より約1時間余計に掛かる、それも国内線の第1/第2ターミナルに立ち寄らず第3ターミナルのみで、ターミナル本体からバス乗り場までは徒歩15分弱を要する*1、ということを考慮すると、現状ではなかなかチャレンジングな路線という印象。

横浜駅(YCAT)にしても三島駅まで1本というメリットはあるが、在来線よりも500円高く、所要時間は30分余計に掛かるとなると、少しインパクトに欠けるような。ターゲットを色々定めた結果、総じてぼやっとしてしまっているような感じがする。

上り便も乗車しないと適正な評価に行き着かないかもしれないが、現状においては中々使い所を選びそうな路線といった感じ。そのうちてこ入れがあるだろうか。

というお話。

*1:第3ターミナルから第1/第2ターミナルまでは連絡バスに乗れば10分程度。