日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】軽井沢リゾート2号(長野/軽井沢)


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便名 : 軽井沢リゾート2号
日付 : 2023/03/xx
区間 : 長野(09:10)→軽井沢(10:12)
所要時間 : 01:02
乗車クラス : 普通車指定席
運賃 : 2,170円(現金決済+クレジットカード決済)
運行 : しなの鉄道

ほくほく線で「超快速」に乗った数日後のお話。

(「超快速」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

続けてやってきたのは長野駅で、ここからはしなの鉄道の有料快速列車「軽井沢リゾート」号で軽井沢へ向かう。同線も北越急行と時を同じくして最高速度を100km/hから85km/hへ引き下げると聞いて、その前に現在の最速列車に乗ってみるというのが目的。

JR長野駅 駅舎外観

JR長野駅/ 比較的大規模な駅舎

列車は朝9時過ぎに長野駅発なので、頑張れば東京から当日の朝にやって来ることもできたが、移動続きで少し疲れていたこともあって前夜から長野駅近くの「JALシティ」に宿泊、ぎりぎりまで寝て駅へやってきた。

駅前のロータリーを見ていると、見慣れたような見慣れないような塗装のバスが到着。これはどうやら長野電鉄のバスなのだが、東急バスの塗装を纏っている。調べてみれば、2021年に東京と長野を結ぶ長距離バスの開業から60年が経過したことを記念した塗装なんだとか。

JR長野駅 特別塗装の長野電鉄バス

JR長野駅/ 特別塗装のバスがやって来た

駅構内に入ると、在来線の改札口あたりには大きな長野オリンピックのポスターが掲げられていた。流石につい最近、というとそれよりも少し昔にも思えるが、それでも四半世紀前のイベントというとどうにも違和感がある。

JR長野駅 長野オリンピックの記念碑

JR長野駅/ もう25年以上も前の大会

ちなみに2024年現在、長野エリアではJR•しなの鉄道のいずれも交通系ICカードが利用できないのだが、2025年春以降ではあるものの、同駅から松本方面はようやく利用できるようになるらしい。

プレスリリースを見るとどうやら「首都圏エリア」に含まれるようで、新宿から中央線、松本経由で長野まで来れば、そのまま交通系ICカードで出場できるようになるのかもしれない。ただ、現状は流石に「首都圏近郊区間」が広すぎるような気がする。当日中に移動しきれないような区間を有効期間1日で販売するのは流石にやりすぎなような。一応、一部新幹線経由にするだとか、逃げ道はあるようではあるが。

JR長野駅 改札口

JR長野駅/ 2024年時点ではまだSuicaは使えない

ともあれ自動券売機で乗車券を購入して改札を抜けると、駅構内の柱は善光寺の参道にある「八幡屋礒五郎」の七味の容器模様に飾り付けされている。なぜ長野で七味唐辛子?と思えば、どうやら長野から麻と和紙を江戸に運んだついでに仕入れてきた食料品を善光寺近辺で売り捌いていたのが起こりなんだとか。

JR長野駅 コンコースの七味装飾

JR長野駅/ 善光寺の参道でお馴染みの七味屋さん

ホームに下りると、列車の出発する3番線はホームを2つに分割した篠ノ井側。山形新幹線新庄駅なんかと同様に、ホームの真ん中で線路が2つに分断されている。ただ、新庄駅は軌道幅が違うから物理的に直通できないのに対し、こちらの駅は同じ軌道幅のものを分割している点が異なっている。

JR長野駅 しなの鉄道のホーム

JR長野駅/ ホームが2つに分断されている

長野駅近辺は路線が入り組んでいて、長野から北方向へ向かうJR飯山線の列車は分岐する豊野駅までしばらくしなの鉄道の線路を走るのに対し、南方向へ向かうしなの鉄道の列車は篠ノ井駅までJR篠ノ井線の線路を走っていく、というのが少しややこしい。

JR長野駅 駅名標

JR長野駅/ 妙に入り組んでいる長野付近の在来線

ホームに下りたのが出発の10分ほど前で、列車はすでにホームに停車中。電光掲示板は列車名の表示バランスがあまり良くなさそうに見受けられるが、均等配置みたいなことはできなかったんだろうか。

JR長野駅 電光掲示板

JR長野駅/ 乗車するのは全車指定席の快速列車

列車は2両編成で、全席指定席。直前で予約したから座席のみ予約になっているが、どうやら軽食を提供するコースがあるようで、一部の座席は向かい合わせにセットされたうえで車内で飲食ができるような机が用意されていた。この日は見る限り利用者はいなさそうな雰囲気。

JR長野駅 軽井沢リゾート号の車両

JR長野駅/ 特別仕様の車両で運転

座席は近鉄が最初に導入し、首都圏のライナー列車で続々と導入されている、ロングシートクロスシートのどちらも対応できるタイプの座席。最近京王線で導入された最新のものはリクライニングもできるようになったようだが、こちらは背もたれが固定されている。

しなの鉄道 軽井沢リゾート号の座席

軽井沢リゾート号の車内/ ロング-クロス転換可能な座席

座席の表地は近づいてよく見てみると信州らしくりんご模様。ぱっと見は後日別の機会に訪れた、沖縄•那覇のモノレールの座席とよく似ている。もしかすると、ベースになっている生地は一緒なのかもしれない。

(その那覇のモノレールについてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

しなの鉄道 軽井沢リゾート号の座席

軽井沢リゾート号の座席/ よくよく見るとりんご模様

今回、この列車の座席指定券は同社公式サイトからオンラインで購入。座席に腰掛けると、前座席のフレーム部分にコンセントが2口用意されている。長くとも1時間程度の乗車時間ではそれほど充電できるわけではないものの、あると便利な設備。

しなの鉄道 軽井沢リゾート号の座席設備

軽井沢リゾート号の座席/ 各座席列にコンセント2口

この列車、停車駅はかつての特急「あさま」に負けず劣らず停車駅が少なく、09:11に長野駅を出発すると、屋代、上田、中軽井沢のみ停車して軽井沢まで向かう。長野から軽井沢までは約75kmほどあるから、表定速度は70km/h強。平均速度だけでみれば末端区間も含めたベースの関西圏の新快速と同じくらいのスピード。

さて、列車は篠ノ井駅まではJR篠ノ井線を進む。この辺りはしばらく北陸新幹線の高架下を並走する区間。新幹線の線路に沿っているくらいだから線形はそれなりに良く、列車は速度を上げて走っていく。ただ、車両の性能が高いからだろうか、あまり能力いっぱいという感じもせず、どちらかといえば流して走っているような感覚。

しなの鉄道 長野駅から篠ノ井駅間

長野駅から篠ノ井駅間/ 北陸新幹線の高架下を並走

列車はかつて長野電鉄屋代線が連絡していた屋代駅に停車し、次の停車駅は上田駅。途中通過駅の戸倉駅では留置線に古参の115系電車の姿が見られた。ずいぶん長い間活躍してきた同車両だが、2028年までに引退させる方針が先日プレスリリースされた。ともすると、最後まで活躍を続けるのは長野なのか、中国地方なのか、どちらになるだろうか。

 

しなの鉄道 戸倉駅

戸倉駅/ 2028年頃に引退予定の115系

戸倉を過ぎてしばらくすると、列車は少しひらけたところに出てくるが、これは上田盆地。山がちな地形の中で比較的平らな場所が続いていく。「テクノさかき」などといった少し変わった駅名があるのもこの辺り。

しなの鉄道 上田駅付近

上田駅付近/ 上田駅手前でちょっとした盆地に出た

列車は長野駅から30分ほどで上田駅に到着。在来線全盛期の特急列車はここまでもう5分ほど速い約25分ほどで走っていたというから、結構なスピードで走っていたことになるだろうか。

上田駅では到着直前の進行方向右手に上田電鉄のホームが見えてくる。同駅からは別所温泉駅まで所要時間約30分ほどの別所線が発着している。ここ10年ほどの間に上田駅を出てすぐのところにある鉄橋が大雨で流出などの被害も受けているが、なんとか立ち直って今に至っている。

しなの鉄道 上田駅付近

上田駅付近/ 別所温泉へ向かう上田電鉄は高架ホーム発着

区間を通じてそれほどスピード感はなかったが、1時間ほどで無事軽井沢駅へ到着。到着した同じホームの向かい側にはイベント列車「ろくもん」が停車していた。この列車も見ればわかるように、工業デザイナーの水戸岡鋭二氏が手がけた作品。

しなの鉄道 軽井沢駅 ろくもん号

軽井沢駅/ 対向ホームにはろくもん号が停車中

訪れた2023年3月の時点では駅から横川方向に少し線路が延びていたのだが、その直後に工事が始まり、現在この辺りは更地化してしまったらしい。今や線路を残しておく意味はないとはいえ、かつてあったものが無くなっていくのを見るのはなんとも悲しい。

しなの鉄道 軽井沢駅

軽井沢駅/ この1ヶ月ほど後に線路が剥がされてしまった

乗ってきた列車が引上線に入ると、代わりに通常仕様の普通列車が入ってきた。同じ車体なのに、色合いが変わると全くイメージが変わるのも不思議。こちらのカラーリングは先ほど戸倉駅で見かけた先代の車両のイメージを引き継いでいる。

しなの鉄道 軽井沢駅 普通列車

軽井沢駅/ 一般車両は赤色ベース

そういえば、駅のホーム脇に立っている「お〜いお茶」の看板は日本人向けというよりは海外観光客向けのようで、英語でのみ説明書きが入っている。このほかの看板も同様で、なんとも不思議な雰囲気。

しなの鉄道 軽井沢駅 駅構内の広告

軽井沢駅/ 駅構内の広告も海外仕様

現役のホームは1面2線だが、その隣にはかつて横川-軽井沢間で活躍した機関車が2台展示されている。そのホームに掲げられている駅名標は当時のものだと思われるが、どことなく私鉄っぽい書体。どこが、と言われれば難しいのだが。

しなの鉄道 軽井沢駅 駅名標

軽井沢駅/ どこか私鉄っぽい駅名標

しなの鉄道軽井沢駅は改札口がふたつで、通常の改札口のほかに北口ロータリーに面している「旧駅舎口」がある。どうやらこの建物は元々この場所に建っていたわけではなく、1997年の北陸新幹線開通に伴っていったん取り壊されたのち、現在の場所に移築されて今に至っているのだとか。

しばらく「駅舎記念館」として活用されたのち、2017年に改札口として現役復帰した経緯を持っている。内装はリニューアルされているそうで、以前別の機会に訪れた肥薩おれんじ鉄道阿久根駅と似た雰囲気。リニューアルを同じ人物が手がけているから当然かもしれない。

(肥薩おれんじ鉄道阿久根駅についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

しなの鉄道 軽井沢駅の駅舎

軽井沢駅の駅舎/ 1997年までJRで活躍していた駅舎

軽井沢駅では同じようなタイミングで東京から新幹線でやってきた知人と合流し、駅に隣接するアウトレットへ向かった。しなの鉄道はCOVID-19からの苦境が続き、複線で敷設されている線路を単線化するだなんだという噂が取り沙汰されている。何が最適なのかは分からないが、公共交通機関として今後も活躍していてほしいところ。

というお話。