日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】ほくほく線•超快速(越後湯沢/直江津)


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便名 : ほくほく線•超快速
日付 : 2023/03/xx
区間 : 越後湯沢(09:14)→直江津(10:15) 
所要時間 : 01:01
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : -(企画乗車券利用)
運行 : JR東日本北越急行

2023年というのは中々鉄道業界の苦しい年で、各社で減便•スピードダウンのダイヤ修正が相次いだ。その中でも特徴的だったのが今回乗車したほくほく線

かつて同社は特急「はくたか」の運行があったことによって第3セクターの優等生的存在だったのだが、2014年の北陸新幹線延伸に伴ってほくほく線を特急列車が通過しなくなったことにより、徐々に経営環境が悪化していっている。2020年にはそれに追い打ちをかけるようにCOVID-19の爆発的感染があり、将来に備えて蓄えておいた剰余金を予想よりも早期に切り崩すような運営になってしまっている。その兼ね合いもあって、2023年3月のダイヤ改正では快速列車の運転を取りやめることになったそうで、その前に乗車しにいくことに。

この日は東京方面から新幹線で越後湯沢駅に到着し、在来線ホームへ乗換え。余談ながら駅名標の右手方向が二手に分かれているのは、上越新幹線の他に在来線•上越線の支線扱いでガーラ湯沢駅までの路線が走っているから。通常越後湯沢駅行きの「たにがわ」号はスキーシーズンのみガーラ湯沢まで延長運転される。

JR越後湯沢駅 新幹線ホームの駅名標

JR越後湯沢駅/ 一部「たにがわ」号はガーラ湯沢へ向かう

駅構内に掲出されている案内看板は一見国鉄時代からそのままのようなレトロなデザインながら、しっかり複数言語対応になっている上、ほくほく線も表示されている。

JR越後湯沢駅 乗換案内看板

JR越後湯沢駅/ 時代に合わせてUpdateされている案内看板

新幹線のコンコースには列車編成の案内図が掲示されていたが、ここに表示されている5種類の編成のうち、訪問した2023年3月の時点で現存していたのは上から3つ目と4つ目の2種類のみ。そのうちE2系は直後の3月ダイヤ改正上越新幹線から引退したから、殆ど現存していない列車の案内になってしまっていた。

JR越後湯沢駅 乗車口案内看板

JR越後湯沢駅/ 殆どが引退済列車の案内

近頃JR東日本の駅では異様なペースで「みどりの窓口」の閉鎖が続いており、ここ越後湯沢駅も2023年3月の訪問時で既に自動券売機のみ。同社の経営戦略は「脱鉄道」だなんだと話題になっているが、意図的に不便を強いて自ら乗客を減らしているようにしか見えず、もう少し各方面に気を遣うような運営をしてもいいのにと思ってしまう。

経営環境がよろしくないのは事実かもしれないが、せめて自動券売機で窓口と同等の手続ができれば良いのだが。「話せる指定席券売機」で対応できると言われても、仮に従来よりも時間が倍以上かかるのでは使い物にならない。

JR越後湯沢駅 自動券売機前

JR越後湯沢駅/ もう少し乗客の利便性も配慮が欲しいところ

さて、今回乗車するほくほく線の「超快速」は同線普通列車専用のホーム0番線からの出発。それにしても、列車種別で「超」がつくのは妙な感じ。これほどくだけた列車種別はしばらく出てこなさそう。以前は越後湯沢を出ると直江津までの間に十日町駅しか停車しない列車もあったが、今回乗車するのは途中六日町、十日町、まつだい、虫川大杉に停車するタイプ。

列車の行き先は「新井」行きで、直江津駅から先、えちごトキめき鉄道に直通する。首都圏以外の地域ではそもそもあまり混みいった相互直通運転が実施されるケースが多くない中で、JR上越線ほくほく線、JR信越本線えちごトキめき鉄道と3社4路線にまたがって運転される珍しい列車。なお、「超快速」が運転を終了した2023年3月のダイヤ改正を以てほくほく線車両のえちごトキめき鉄道への乗り入れも一旦終了している。

JR越後湯沢駅 コンコースの電光掲示板

JR越後湯沢駅/ 超快速の中では停車駅の多い列車

列車は2両編成で、1両目が転換クロスシートの「ゆめぞら」号、2両目は一般車両でボックスシートの座席配置。車両側面にはLED式の行先幕があり、超快速の「超」に"Cho"のルビが振られていた。

JR越後湯沢駅 ほくほく線の行先幕

JR越後湯沢駅/ 速達感を前面に出したデザインの方向幕

列車の正面には網のようなパーツが設置されているが、これはトンネル内に氷柱(つらら)が発生するため、前面ガラスの破損防止のために装着されているんだとか。ちなみにこの「ゆめぞら」号の塗り分けはかつて走っていた「はくたか」号の車両とほぼ同じパターン。

JR越後湯沢駅 ほくほく線超快速の車両

JR越後湯沢駅/ 先頭車両は特別仕様の「ゆめぞら」号

2014年頃の越後湯沢駅 特急はくたか

(参考)かつて走っていた在来線特急はくたか

2両目の車両の前面には雪で汚れているが「25th」のヘッドマークが掲げられていた。開業25周年ということはこの車両も古いものでは25年目な訳で、まだ新しそうな車両に見えるもののそろそろ代替更新の必要になってくる頃合い。しなの鉄道同様に、JRの新型車両と同様になるんだろうか。

越後湯沢駅 ほくほく線 HK-100型 25周年

越後湯沢駅/ 冬場は積雪で車両が汚れがち

2023年の冬は比較的暖かかったこともあり、3月の時点ではそれほど積もってはいなかった。ちなみに前述のガーラ湯沢駅越後湯沢駅から北へ約2kmほどの場所で、正面に見えている山の麓に開設されている。

JR越後湯沢駅 在来線ホームの六日町方

JR越後湯沢駅/ 正面の山の麓にガーラ湯沢駅がある

列車はだいぶ早くから入線していたようで、ホームに下りた出発40分前の時点で既に乗車できる状況。廃止が目前に迫った列車ということもあってか、既にこの時点で1両目の転換クロスシートは半分以上の座席が埋まっていた。幸い前から2列目に空席を見つけて着席。

JR越後湯沢駅 ほくほく線超快速の車内

JR越後湯沢駅/ 出発時にはデッキ部分に立ち客が多数いた

その後も続々と乗客が集まり、最終的に立客多数の状態で出発。越後湯沢駅周辺では線路周辺に殆ど雪がなかったが、六日町までのJR上越線区間はところどころかなり雪深いところも見られた。

ほくほく線超快速 六日町駅付近

JR上越線/ 雪深い地域を進んでいく

六日町駅を出るとJR上越線を離れ、犀潟(さいがた)駅まで約60kmのほくほく線区間に入る。当時は最高速度130km/hとして整備がされていて、関越自動車道をオーバークロスする頃にはほぼトップスピードに。ただ、線路規格が良い上トンネルが多く、また外に出れば一面の大雪原という状況ではあまり速度が出ているような感覚はない。

ほくほく線超快速 六日町駅付近

六日町駅付近/ 関越自動車道を越えるとトンネル区間

「電車でgo」では運転区間終着駅にもなっていたうらがわら駅を出てトンネルに入ったのち、しばらく走ると頸城平野に出る。先ほどまでの一面の大雪原はどこへやら、こちら側は初春の様相で一面の畑が広がっていた。この辺りは日本海に近いからだろうか。

ほくほく線超快速 くびき駅付近

くびき駅付近/ 日本海が近づくと雪は無くなった

犀潟駅でJR信越本線に入ると10分弱で直江津駅に到着。前述の通り列車はここからえちごトキめき鉄道に直通するが、今回はここで下車。JR•えちごトキめき鉄道の路線が乗り入れる同駅だが、下りたホームの駅名標はえちごトキめき鉄道仕様のものになっていた。

JR直江津駅 駅名標

JR直江津駅/ 駅名標はえちごトキめき鉄道仕様

ここからはJR信越本線に乗換えて長岡方面を目指す予定だったが、掛かってきた電話に対応していると予定していた列車に乗り遅れ、急遽予定を変更することに。こういう柔軟な予定変更ができるのは企画乗車券の大きな強み。

なお、2023年3月のダイヤ改正でこの「超快速」列車は運転を終了し、ほくほく線を定期運行する列車は普通列車のみになっている。また、これまで最高速度130km/h対応の設備になっていたところを、現在では95km/h対応の設備に変更しているとか。これでもまだ地方の第3セクター会社では速い方だが、徐々に過去の栄光が失われていく様を見るのはなんとも悲しい。

というお話。