日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】A特急 スノーモンキー(長野/湯田中)


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便名 : 便名なし
日付 : 2022/08/xx
区間 : 長野(15:32)→湯田中(16:17)
所要時間 : 00:45
乗車クラス : 個室指定席
運行 : 長野電鉄

長野から東京へは夜の高速バスで戻る予定で、しばらく時間がある。空いた時間で出来ることを探すと長野電鉄湯田中まで往復できそう、ということで行ってみた。

という訳で、やって来たのはJR長野駅前地下にある長野電鉄長野駅。「長野電鉄」のロゴはフォントに色合いが相まってどことなくレトロ。

長野電鉄長野駅 駅名標

(@長野駅)青地に赤文字というロゴは最近見かけない組み合わせ

乗車する15:32発の「スノーモンキー」号の先頭車には個室が設置されており、人数に関わらず1室1,200円で利用することが出来る。ネットで検索すると出発直前でも空室があったから、今回は個室を確保してみた。

(以下のサイトでネット予約が可能)

nagaden-reserve.jp

なお、個室料金とは別に、1名200円の特急料金が必要。これはネット予約には含まれていないので、乗車前に自動券売機で購入するのをお忘れなく。

長野電鉄長野駅 ホーム

(@長野駅)改札が地下1階、一段下りたところにホーム

地方の中小私鉄らしく長野電鉄の車両は基本的に他社からの払い下げで、乗車する「スノーモンキー」号は元「成田エクスプレス」の車両。

ちなみに2本導入された「スノーモンキー」用車両のうち1本は殆ど元の塗装のまま、もう一本は少し模様替えがされている。このうち、今回乗車する車両は後者のほう。そういえば、前回1駅だけ乗車したときも同じ車両だったような。

(前回の乗車記がこちら)

biketourist.hatenablog.com

長野電鉄長野駅 スノーモンキー

(@長野電鉄長野駅)前回と同じような光景

ドア横のスペースには列車名にもなった「スノーモンキー」こと、地獄谷野猿公苑の猿のイラストが掲げられている。

長野電鉄長野駅 スノーモンキー

1年前にも殆ど同じ写真を撮っていたらしい

先頭車両から乗り込むと、デッキには路線図が掲出されていた。かつては須坂駅からの屋代線、信州長野駅からの河東線(木島線)といくつかの分岐があったそうだが、いずれも2000年以降に廃止され、現在では長野駅から湯田中駅までの一本道。種別はA特急、B特急、普通列車の3種類で、今回乗車するのは最も停車駅が少ないA特急。

長野電鉄 スノーモンキー 路線図

A特急とB特急は長野近辺の停車駅に差異がある

今回利用する個室は先頭車両の運転席直後。この車両、それほど眺望が優れているイメージはなかったが、正面の乗務員室に設置されている小窓からの全面展望は比較的良好。

長野電鉄 スノーモンキー 個室

先頭車両運転席直後に個室がある

個室には列車名よろしく「Spa猿~ん」の名称が付されている。だからといって特に個室内に猿にまつわる装飾がされているという訳ではなかった。

長野電鉄 スノーモンキー 個室

手作り感のある「個室指定席」の表札

個室は最大4名での利用が可能。座席は経年劣化でちょっとやつれているものの、元々グリーン個室だった設備は1時間弱の乗車時間であれば十分快適。リクライニングは電動で、座面が前にせり出すような動きかたをする。

長野電鉄 スノーモンキー 個室

個室は定員4名

出入口側の扉はガラス戸だが液晶ガラスになっていて、スイッチを入れることで気持ち透過度を下げることが出来る。ONにすると、中に人が座っていることは分かるかな、という感じ。

長野電鉄 スノーモンキー 個室

スイッチを入れると液晶ガラスが半透明に

なお、座席頭上には飛行機のハットラックよろしく、扉のついた荷物棚が用意されている。個室を4人で利用するような場合には活用することになるかもしれない。

長野電鉄 スノーモンキー 個室

今回は利用しなかったが、両側に設置されている

列車は長野駅を出発するとしばらく地下区間を走行したのち地上へ出る。地上に出るとほどなくして千曲川を渡るが、このとき進行方向左手遠景には飯山、妙高方面の山々が見える。

長野電鉄 スノーモンキー 車窓

遠目からも山がちな地形が分かる

列車は長野駅から20分弱で須坂駅に到着。同駅には車庫が隣接していて、前述のもう1本の「スノーモンキー」号が車庫で休憩中。それほど広くない車庫だからだろうか、えらく線路の末端ギリギリまで車両が近づいている。

長野電鉄 スノーモンキー 車窓

こちらが元々の塗装のままのスノーモンキー

駅停車中に近くに見えていたのは、元営団地下鉄(現 : 東京メトロ)日比谷線3500系車両。長らく同線で活躍してきたものの、日比谷線の後継車両だった3000系車両に再度追い出される形で2023年1月を以て引退するのだとか。日比谷線で約20-30年、長野電鉄で30年の計60年近く活躍したようで、鉄道車両としては十分過ぎるほど活躍したという感じだろうか。

長野電鉄 3500系

まもなくの1月19日で完全引退とのこと

須坂駅を過ぎると沿線にはリンゴ畑が増えてくる。まだ8月で収穫には早い時期なんじゃないかと思われるが、場所によっては赤い実が実っている木もちらほら見られた。

長野電鉄 スノーモンキー 車窓

沿線左右にリンゴ畑が広がっている

須坂駅の次の停車駅、小布施(おぶせ)駅では対向列車の待ち合わせで少々停車。同駅のホーム脇には既に引退した長野電鉄の車両が展示されている「ながでん電車の広場」があり、2012年に引退した2000系車両が展示されている。須坂駅にいた3500系同様、この車両も同線で55年活躍したそうで、昔から物持ちの良い会社というイメージがある。

長野電鉄 スノーモンキー 車窓

(@小布施駅)のんびり余生を過ごす旧型車両

しばらくすると逆方向から「ゆけむり」号が到着し、出発。「ゆけむり」号は元小田急ロマンスカーの展望席つきの車両で、これもなかなか特徴的な見た目をしている。

列車は最後の停車駅、信州長野駅を出ると徐々に上り坂を進み始める。気づくと先ほどまで遠目に見えていた山が目前に迫っていて、前面を眺めるまでもなく勾配がきつい様子が見てとれる。

長野電鉄 スノーモンキー 車窓

列車は右に左にカーブしながら山を上っていく

信州長野駅を出て10分ちょっとした頃に車内放送が入り、終点の湯田中駅に到着。ちなみに前述の乗務員室の小窓からは前方がこのように見えていた。

長野電鉄 スノーモンキー 車窓

(@湯田中駅)徐行しながら終点湯田中駅に到着

上り坂を上りきってすぐ駅がある関係で以前は少し特徴的な入線方法だったという終点の湯田中駅だが、2022年現在は改修がなされてシンプルな行き止まり駅になっている。須坂駅の車庫や長野駅と同様、この駅も停車位置から車止めまでの距離が極めて短い。

長野電鉄湯田中駅 スノーモンキー

(@湯田中駅)停止位置から線路の終端までは5mもない

比較的大きな駅舎の駅だが、この時間帯は無人駅。ただ、駅舎に隣接してバスターミナルがあり、こちらにはいくらか人がいそうな雰囲気だった。また、列車の到着に合わせて近隣の温泉旅館の送迎車が多数待ち受けていたから、駅前は比較的賑やかな雰囲気。

長野電鉄湯田中駅 駅舎

(@湯田中駅)列車到着から5分もせず誰もいなくなった

なお、湯田中駅からは京都・大阪方面行きの夜行高速バスが発着しているほか、夏場限定だが渋峠でバスを乗換えて草津温泉方面に抜けるルートも存在する。単純往復は面白くない、という場合にはこのようなルートも面白いかもしれない。

長野電鉄湯田中駅 スノーモンキー

(@湯田中駅)旧ホーム跡も残存している

湯田中駅からは約1時間後の列車に乗って長野駅へ戻る予定。せっかくなのでちょっと駅周辺を散策してみることに。