日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】宗谷(札幌/稚内)


■Sponsored Link

便名 : 宗谷(下り列車)
日付 : 2022/06/xx
区間 : 札幌(07:30)→稚内(12:42)
所要時間 : 05:12
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : -(企画乗車券利用)
運行 : JR北海道

「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を利用して道内各地を転々とする旅程で、前日に釧路から到着してまだ間もないが、翌朝は早々に稚内へ向かう。乗車するのは走行距離396km、所要時間5時間を超える長距離特急の「宗谷」号。

(前日の移動についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

この日は札幌駅近辺のホテルに宿泊しており、7時少し前に宿を出発。列車の出発は07:30なので少し早いようにも思えるが、前述の企画乗車券期間中は便数の少ない稚内行きの特急列車の指定席はそもそも確保できず、また自由席競争が壮絶ということで、少し余裕を見ておいた。

JR札幌駅 駅舎外観

JR札幌駅/ 新幹線開業に向けて大規模な工事中

駅改札口上部に掲げられている液晶画面には通常運行状況なんかが表示されていたように記憶しているが、この日はデスクトップ画面の表示。時おりとんでもなく古いOSを使用しているケースを目にするが、これはまだ比較的新しいほうだろうか。

JR札幌駅 改札口前

JR札幌駅/ デスクトップ画面が表示されていた

6時台初頭から7時台にかけては函館、釧路、網走と道内各地へ向かう長距離特急が続々と出発していく時間帯。当時は旭川行きの「ライラック」「カムイ」が間引かれていたが、2023年7月時点ではこれが戻り、更に便数が増加している。

JR札幌駅 改札口前

JR札幌駅/ 「宗谷」は8番線からの出発

列車が出発する8番線の頭上には乗車口案内の札が掲げられていて、ここに並んで待機。この日の「宗谷」は4両編成で、そのうち自由席は最後尾の1両のみ。07:00過ぎに並び始めた時点では誰もいなかったが、数分としないうちに続々と列が長くなっていった。

最終的に行列は直線では収まらないほど長くなっていったが、直前の普通列車が07:15に出発することもあり、列車は割と出発時刻ぎりぎりになって入線してくる。

JR札幌駅 乗車口札

JR札幌駅/ 昔ながらの表示方法

乗車開始とともにたちまち満席になり、いくらか立席も出るような状態で札幌駅を出発。出発してしばらくの間は千歳線を走る「すずらん2号」を右手に見ながら、厚別駅の手前で両線が別れていくまでの約10kmほど並走していた。

札幌を出ると旭川までは函館本線で、約25分で岩見沢、そこから約10分おきに美唄、砂川、滝川、深川と停車していく。前述の通り当時は札幌-旭川間を結ぶ「ライラック」「カムイ」が間引かれていたこともあり、この「宗谷」がその役割を一部担っていたため、各停車駅ではちらほら乗降があった。

JR函館本線 美唄駅 特急宗谷

JR美唄駅/ 「やきとり」の有名な街

08:58に旭川に到着し、ここからは宗谷本線に入る。混雑状況には引き続き変わりなく、全席が埋まったままの状況。道中にまとまった乗降のある駅というものも多くないから、下手すれば5時間立ちっぱなしというのは中々厳しい。つくづく少し早く駅に到着しておいて良かったと思った。

旭川から名寄までは高速化工事が入っているので、引き続き120km/hで走行可能な区間。気持ち速度は落ちた気もするが、そこそこの速度で走り続けて1時間ほどで名寄に到着。

JR宗谷本線 名寄駅 特急宗谷

JR名寄駅/ こちらは「ひまわり」が有名

名寄までは公的な補助を受けて高速化が図られている一方で、名寄から先は存続が議論されているような区間に入り、大分速度が落ちてのんびりとした走りに。

この頃、車内の電光掲示板を見ていると、「次の停車駅まであと10km」の表示が現れた。「10km」というのが長距離特急らしいというか、何とも北海道らしいところ。

JR宗谷本線 特急宗谷 261系

特急宗谷車内/ 次の停車駅までの距離が表示されていた

出発から3時間ほどで難読地名でお馴染みの音威子府(おといねっぷ)駅に到着。かつては駅そば「常盤軒」が有名だった同駅だったが、残念ながら2021年2月に閉業してしまった。なお、個人的には未訪だが、どうやら東京に同地のそばを使ったお店があるようなので、近いうちにどこかのタイミングで訪れてみたいところ。

(その店舗がこちら)

tabelog.com

JR宗谷本線 音威子府駅 特急宗谷

JR音威子府駅/ かつて駅舎内にそば屋があった

音威子府辺りで数席空いて、少し車内に空きが生じた。この辺りでは進行方向右手の方が気持ち車窓が優れているように見えたが、隣席が埋まっていて移動することもできず。

JR宗谷本線 特急宗谷 261系

特急宗谷車内/ 音威子府を過ぎようやく車内は落ち着き始めた

音威子府から30分ほどで天塩中川(てしおなかがわ)駅に到着。やたらレトロな駅舎に見えるが、現駅舎は1953年竣工だそうで、築70年なんだとか。

JR宗谷本線 天塩中川駅 特急宗谷

JR天塩中川駅/ 駅舎は築70年

旭川駅以北では天塩川と付かず離れずの距離を保っているが、時おりとても接近している箇所がある。乗車した日の近辺では低気圧の接近に伴い大雨が降ったことで、流れは緩やかなものの川は濁り濁流のようになっていた。

JR宗谷本線 特急宗谷 車窓

天塩川/ 旭川以北はつかず離れずで並走

この辺りになると進行方向左手には牧草地帯が広がり始めた。草原に牧草ロールが転々と置かれている様子を見ると、改めて北海道らしさを感じる瞬間。

JR宗谷本線 特急宗谷 車窓

天塩中川-幌延/ 稚内が近づくと平野が増えてきた

音威子府駅から30分で天塩中川駅、そこから更に30分ほどで幌延駅に到着。かつては同駅まで留萌からの国鉄羽幌線が通じていたそうだが、それももう35年ほど前の話になってしまった。加えて今では留萌に通じる鉄道そのものがなくなってしまった訳で、北海道の公共交通は引き続き中々厳しい状況にある。

JR宗谷本線 幌延駅 特急宗谷

JR幌延駅/ ここから稚内まであと1時間

その幌延駅を過ぎてしばらくすると、進行方向左手遠方には利尻島利尻富士こと利尻山が見えてきた。この利尻山、北海道銘菓として有名な石屋製菓の「白い恋人」パッケージイラストにも用いられている。

JR宗谷本線 特急宗谷 利尻富士

豊富-南稚内/ 利尻富士が見えてきた

列車は若干の遅れで運行していたが、抜海駅を出てしばらくしたところ、道中で最も利尻富士が綺麗に望めるポイントでアナウンスのうえ最徐行。定期列車ではあるものの、この辺りでは観光列車としての色合いも強い。

ちなみにこの辺りの崖の下、海沿いには「オロロンライン」というドライブコースがあり、右手に利尻富士、見渡す限り一直線の道路というなかなかの絶景ポイントがある。オホーツク海側の「エサヌカ線」とともに車旅行であればセットで廻りたいポイント。

(「オロロンライン」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

(「エサヌカ線」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

JR宗谷本線 特急宗谷 利尻富士

豊富-南稚内/ 崖下をオロロンラインが走っている

この辺りの車窓の荒涼とした様子がいかにも道北という感じ。同じ北海道でも道南、道東、道北と全く風土も景色も異なっている。

尤も、例えば稚内から函館では東京から大阪とほぼ同程度の550kmほどある訳で、同じ都道府県だからといって一つにくくる方が間違っているかもしれない。

JR宗谷本線 特急宗谷 車窓

豊富-南稚内/ この辺りで一旦徐行運転に

そうこうしているうちに列車は最後の途中停車駅、南稚内に到着。稚内駅前も街になってはいるが、市内中心部というとこちらの方かもしれない。また、稚内駅はホームひとつ線路ひとつの行き止まりなので、行き違いができる駅としては同駅が最後。

JR宗谷本線 南稚内駅 特急宗谷

JR南稚内駅/ 海側に街が広がっている

南稚内を出発すると列車は徐行しながら高架橋を上り、国道40号線と交差。地上に下りると12:45過ぎに5分ほどの遅れで終着の稚内駅に到着。日差しからして猛暑のようにも見えるが、気温は21℃ほどで東京で言えば春先くらいで、半袖では少し肌寒いほど。

JR宗谷本線 稚内駅 特急宗谷

JR稚内駅/ 1面1線の行き止まり駅

列車は15分弱の休憩ののち、13:01に「サロベツ4号」として旭川に向かい、16:49に旭川に到着。ようやく若干の休憩を経て、旭川20:06発の「サロベツ3号」として稚内に向かい、23:47に稚内に帰ってきて一日を終える。翌日は稚内起点で稚内-旭川を1往復したのち上り「宗谷」で札幌に帰るといった塩梅で、日当たり1,000km近い距離を走ることになる。

前日に乗車した「おおぞら」ともども、ただでさえ長距離走行であるところに加え、冬場には雪との戦いがあるなど、北海道の鉄道車両はかなり過酷な状況。

JR宗谷本線 稚内駅 特急宗谷 261系

JR稚内駅/ 15分ほどで折り返し旭川へ向かう

道内最東端の根室のように市街地内で線路が蛇行しているということもないから、この稚内駅が日本最北端の駅ということに。

余談ながら、札幌からの距離396kmというのは東京から新潟までの距離よりも長く、東海道新幹線では東京から岐阜羽島北陸新幹線では東京から富山、東北新幹線では東京から古川までの距離と概ね同程度。

JR宗谷本線 稚内駅ホーム

JR稚内駅/ 札幌から約400km走ってきた

同じ始発・終着駅つながりということで、約3,100km離れた鹿児島県の枕崎市とは平成24年(2012年)に友好都市になったのだそう。なお、純粋なJR最南端の駅は件の枕崎駅ではなく、指宿市にある西大山駅。また、モノレールを含む日本鉄道最南端となると、沖縄の那覇都市モノレールにある赤嶺駅

(「JR日本最南端」の駅についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

JR宗谷本線 稚内駅ホーム

JR稚内駅/ 枕崎駅までは約3,100km

この日は最終の都市間バス「わっかない号」で札幌に戻る予定で、それまでの間にいくらかの時間がある。定番は「宗谷岬」だが、今回はちょっと違った場所を訪れてみることに。

そんな訳で、とりあえずバス乗り場へ向かった。