日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】津軽鉄道線•第12列車(津軽中里/芦野公園)


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便名 : 津軽鉄道線•第12列車(普通列車)
日付 : 2023/04/xx
区間 : 津軽中里(14:53)→芦野公園(15:04)
所要時間 : 00:11
乗車クラス : 普通車自由席(全席自由((最後尾1両は団体専用車両)))
運賃 : 360円(窓口現金決済)
運行 : 津軽鉄道

午前中に松前城を訪れ、新函館北斗駅に戻って新幹線に乗り、本州の奥津軽いまべつ駅までやってきた。ここで乗合タクシーに乗継ぎ、やってきたのが今回の起点となる津軽中里駅

(「愛乗タクシー」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

ここから乗車する津軽鉄道線津軽半島津軽五所川原駅から津軽中里駅までの全長20kmほどの路線。沿線の農協や会社が株主となっているそうだが、現在の筆頭株主はややもするとライバルとなりうる青森三菱ふそう自動車販売だというから面白い。

(路線公式サイトはこちら)

tsutetsu.com

津軽中里駅津軽鉄道線の末端側の終着駅で、思いの外大きな駅舎。ぱっと見は駅というよりもスーパーマーケットの店舗のようにも見える。

津軽鉄道 津軽中里駅 駅舎外観

津軽中里駅/ 比較的大きな駅舎

駅舎内には4月中旬ではあるもののまだストーブが設置されていた。今年2023年は春先から異様な暖かさだったせいでストーブは必要ないような気候だったが、年によってはこの時期になっても必要ということがあるだろうか。

ちなみに左手壁面に貼付されている「さくらまつり」が今回のお目当てで、降車予定の芦野公園駅に隣接する五所川原市立芦野公園で開催されているお祭り。同園は作家の太宰治がかつてよく遊んだ場所としても知られているんだとか。

津軽鉄道 津軽中里駅 駅舎内

津軽中里駅/ 右手には食堂が併設されている

列車は日に10往復強とそれほど便数が多いわけではない。ただ、前述の「さくらまつり」の時期には「さくら臨時ダイヤ」として定期列車の増結などが実施されている。特徴的なのは、一部の列車で冬季に「ストーブ列車」として使用される客車を用いられるところ。冬季にはストーブ列車料金を要するが、今回の臨時ダイヤでは追加料金なく利用することができる。

(のちに客車列車に乗車した記録がこちら)

biketourist.hatenablog.com

窓口で乗車券を購入すると、出てきたのは所謂「硬券」と言われる乗車券。ここ数年のうちでは秩父鉄道と今回の津軽鉄道でしか目にしたことがない。

津軽鉄道 津軽中里駅 駅舎内

津軽中里駅/ この時期は「さくら臨時ダイヤ」で運行

今回乗車する「第12列車」は気動車の3両編成。前述の太宰治氏の故郷ということもあり、先頭車には「走れメロス」のヘッドマークが掲げられている。なお、「団体」と表示されているが、団体専用となっているのは後方の1両のみで、先頭と中間車両については一般旅客用。

津軽鉄道 普通列車の車両

津軽中里駅/ 最後尾車両はホームはみ出して停車

同路線は日本最北の私鉄で、津軽五所川原駅から一直線に北へ向かう同路線としてはこの津軽中里駅が最北の駅。余談だが、この看板の写真をよくよく見ると2両目に気動車が連結された幾分妙な編成になっている。どういうことなのかと思ったが、この「ストーブ列車」、定期列車として運行されているようで、追加料金なく利用できる車両として気動車が併結されているんだとか。

津軽鉄道 津軽中里駅ホームと駅名標

津軽中里駅/ 妙な編成の「ストーブ列車」

出発までしばらく時間があったこともあり、乗務員さんはまだ不在。運転席は半室構造で、助手席側には太宰治氏の作品なんかが車内文庫として並んでいた。

津軽鉄道 普通列車の車内と運転席

普通列車の車内/ 助手席側には本が並んでいる

運転席直後のガラスには「運転中の機関士には話し掛けないで下さい」の文字。機関車ならばともかく、「運転士」ではなく「機関士」という呼び方をしているのも現代では珍しい。

津軽鉄道 普通列車の車内と運転席

普通列車の車内/ 珍しい「機関士」の文言

津軽中里駅から途中下車する芦野公園を経て、津軽五所川原駅までは約20kmの区間に11駅。単純計算で約2km弱に1駅と駅間は比較的短い路線。

津軽鉄道 普通列車の車内と運転席

普通列車の車内/ 距離の割に駅数は多め

車内は入口付近にロングシート、中央にボックスシートの配置。深夜帯の列車ならまだしも、複数車両つながった日中の列車に乗り込んで、車内見る限り誰もいないというのもなかなか珍しい。

津軽鉄道 普通列車の車内

普通列車の車内/ 人気のない車内というのも珍しい

先ほど駅舎内で見かけたポスターは車内にも掲出されている。同線は冬に「ストーブ列車」、春に芦野公園の桜、夏に立佞武多(五所川原)と、割と観光資源には恵まれている印象。

津軽鉄道 普通列車の車内と運転席

普通列車の車内/ この光景を見にやって来た

ただ、他の地方鉄道と同様、なかなか経営状況は予断を許さない状況のようで、車内には危機感を煽るポスターが掲出されていた。元々各社ともそれほど経営状況がよくないところに、COVID-19は追い討ちをかけてしまったような感がある。

津軽鉄道 普通列車の車内と運転席

普通列車の車内/ 危機感を煽るポスター

14:53に津軽中里駅を出発すると、深郷田(ふこうだ)、大沢内、川倉と停車して10分ほどで芦野公園駅に到着。2023年は異様に桜の開花が早く半ば予想できていたことではあるが、桜は多くが葉桜になっているか、散り切ってしまっているような状況。

ホーム上はかなり多くの列車を待つ乗客で混雑していたが、列車が出発して数分もするとホーム上には誰もいなくなった。

津軽鉄道 芦野公園駅 ホーム全景

芦野公園駅/ 大分散ってしまったが、それでも綺麗

芦野公園駅での持ち時間は約1時間。せっかくなので駅周辺を少し散策してみることに。ちなみに列車が到着して10分もしないうちに反対方向から客車列車が走ってくるので、これを待ち受けるというのも良いかもしれない。

というお話。