日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】都市間高速バスわっかない号10便(稚内フェリーターミナル/札幌駅前)


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便名 : わっかない号10便
日付 : 2022/06/xx
区間 : 稚内フェリーターミナル(16:40)→札幌駅前(22:30)
所要時間 : 05:50
乗車クラス : 普通席(座席定員制)
運賃 : 6,200円(窓口現金決済)
運行 : 宗谷バス北都交通

「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」を利用して道内を右往左往している旅程。稚内では宗谷岬の近くにある「白い道」を訪れ、札幌に戻る。

(「白い道」についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

往路はJR特急「宗谷」で稚内までやって来たが、往復ともに同じ経路では芸がない。ともすると復路は都市間バスか飛行機ということになるが、今回はのんびり都市間バスに乗車してみることに。路線の半分ほどが一般道だからか、「高速バス」ではなく「都市間バス」と呼ばれているのがこの路線の特徴。所要時間は5時間50分と結構な長時間バスに揺られることになる。

この区間稚内から札幌までの運賃は割引を前提としない場合、バスが6,200円、JRが11,090円と結構な価格差。それもあってか、JRの「えきねっとトクだ値」は当日まで割引運賃を発売していて、これを利用すると、7,200円といくらか勝負のできる価格帯になる。

(運行事業者サイトはこちら)

www.soyabus.co.jp

(往路についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

さて、バスの出発地はJR稚内駅前ではなく、約1kmほど離れたところにある、利尻島礼文島へ向かうフェリーが発着するフェリーターミナル。このターミナルの片隅には「札幌行」というバス停が立っている。

そういえば、今回バスの乗車を決めたのが当日で乗車券を窓口で当日購入したのだが、稚内駅前の窓口は「現金もしくはPayPay」のみ。何とか持ち合わせで足りた*1ものの、クレジットカードが利用できない窓口というのも中々久しぶりだった。その後、2023年4月から予約サイト「発車オーライネット」でWEB予約ができるようになったらしい。これでまた少し利便性が向上することになる。

(「発車オーライネット」はこちら)

secure.j-bus.co.jp

稚内フェリーターミナル 高速わっかない号 バス停

稚内FT/ バスは利尻・礼文行フェリー乗り場発着

出発の30分ほど前に到着すると、バスはすでに駐車場の奥の方へ停車中。路線自体は北都交通宗谷バスの共同運行だが、停まっている車両を見るに、どうやらこの便は札幌側事業者の北都交通の車両で運行するらしい。ぱっと見ではそれなりに新しそうな車両。

稚内フェリーターミナル バス駐車場 高速わっかない号

稚内FT/ 奥に停まっているのが「わっかない号」

出発5分ほど前にバスが着車し、乗車改札を開始。この路線、前述のWeb予約化により2023年7月時点では座席指定制に移行しているようだが、当時はまだ全席自由の運用で、乗客は思い思いの場所に散っていった。この自由席の運用、北海道、特に道北と道東の路線に多い印象がある。

座席は3列独立シートで最前列3席を封鎖、最前列中央にはオーディオシステム用のイヤホンが買い物かごに入れて置いてあった。余談だが、本州では3列独立シートと固定窓がセットになっているケースが多いなかで、この車両は開閉可能なT字窓と固定窓が混在している少し変わった窓配置。雪のなかでなにかあった時のためだろうか。

北都交通 高速わっかない号 車内

わっかない号車内/ バスは3列独立シート

座席の構造としてはこのようなかたち。最近設置されていない車両も多いマルチステレオが設置されており、前方の液晶画面で放映しているテレビ番組の音声が視聴できるようになっていた。

北都交通 高速わっかない号 車内

わっかない号車内/ 最近では珍しいオーディオサービス

16:40に稚内フェリーターミナルを出発し、数分でJR稚内駅の駅舎に併設されている「稚内駅前ターミナル」に到着。ここで10名程度が乗車した。

ここから札幌まで、JRでは400km弱の道のりだが、日本海側を進むバスは335kmで約60kmほど短い。一方で、所要時間はJRの名寄以南が高速化されている効果を活かしているため、JRの方が40分ほど短いという状況。

北都交通 高速わっかない号 車内

稚内駅前ターミナル/ ここから札幌までは約340km

稚内市街地では他に北都観光前、大黒3丁目、潮見5丁目に停車。最後の潮見5丁目はバスの転回所の一角にある待合室で、ここで乗客が乗り込むとあとは降車停留所のみ。元々宗谷バス東急グループに属していたそうで、市内の路線バスは東急のそれと同じようなカラーリングをしている。

北都交通 高速わっかない号 車窓

潮見5丁目/ 稚内側最終の停留所

稚内市街地を出ると暫く内陸の国道40号線を走り、その後豊富バイパス、幌富バイパスの順で南へ進んでいく。そこから先の区間は現時点では高規格道路がなく、道道121号線と国道232号線経由で日本海側へ抜けていく。今後南下する高規格道路ができれば、また経路も変わってくるかもしれない。

ちなみにこの道道121号線と国道232号線を含む幌延町から増毛町までの区間には「萌える天北オロロンルート」なる愛称が付されているらしい。何のこっちゃ分からない名前ではあるが、車窓には物凄い数の牧草ロールが並んでいて、なかなか圧巻。

北都交通 高速わっかない号 車窓

稚内-羽幌間/ 多数の牧草ロールが転がっている

時おり道路脇にはかなり近いところに乳牛が放し飼いにされている。ずいぶん距離が近いから、写真にしてみるとまるで模型の人形のようにすら見える。

北都交通 高速わっかない号 車窓

稚内-羽幌間/ 人形のような牛が放牧されている

バスの休憩は道中通じて2箇所で、約2時間ごとに1回というかたち。1か所目が「道の駅 ほっとはぼろ」。「道の駅」というが、「サンセットプラザ」という宿泊施設の一角といった感じ。

北都交通 高速わっかない号 サンセットはぼろ

サンセットはぼろ/ 1回目の休憩

ざっと店内を見る限り、販売しているのは土産物が中心で、あまりバスの車内ですぐに食べられそうなものは見当たらなかった。次の休憩地についても状況としては同様なので、6時間のうちに空腹になりそうな場合は予め稚内で購入しておいた方がよいかもしれない。冬場などで交通事情がよくない場合はなおさら。

北都交通 高速わっかない号 サンセットはぼろ

サンセットはぼろ/ ホテルのロビーに道の駅がある

バスは19:00過ぎに休憩を終えて出発すると国道239号線に合流し、30分ほど走って「道の駅 おびら鰊番屋」に到着。ここで札幌からやって来る下りのわっかない号と乗務員さんが交代し、北都交通の乗務員さんが乗り込んできた。本州でも乗務員交代をして運行するケースはしばしばあるが、休憩なくバスを乗継ぐというのは北海道特有の文化なような。

(別日に乗車した他の路線も同様の運用だった)

biketourist.hatenablog.com

北都交通 高速わっかない号 道の駅 おびら鰊番屋

道の駅 おびら鰊番屋/ ここで運転手交換

乗務員交代後バスは再び国道239号線に戻り、その後留萌市街地郊外から深川留萌自動車道に入った。ここから深川ジャンクションまで進み、その後道央自動車道で札幌インターチェンジを目指す。

その道中、21:00頃に砂川サービスエリアに立ち寄り、10分ほど休憩。休憩後ののち再び道央自動車道を南下し、札幌インターチェンジから苗穂駅前、大通バスセンターを経由し、定刻よりも若干早い22:25JR札幌駅前の丘珠・新千歳空港行きバス乗り場に到着した。

なお、夜行便に関しては夏季と冬季で所要時間に30分の差が設けられているが、昼行便については特段の差はないので、天候の安定している初夏で概ね定刻となるとダイヤは割に余裕がないように思われる。それゆえ、冬季の積雪下であればそれなりに遅延するのかもしれない。

北都交通 高速わっかない号 札幌バスセンター

大通バスセンター/ 初夏頃でぎりぎり定刻通り

数日に渡って北海道を右往左往してきたが、翌日が最終日。この日は空港にアクセスしやすい新札幌駅周辺のホテルを手配していたので、札幌駅近辺で食事をしてから新札幌へ移動した。

今回はJRの乗車券を持っていた以上都市間バスに乗る必然性はまるでなかったのだが、通常運賃は倍ほど違ううえ所要時間が1時間と変わらないとあれば、普段は高速バスで十分かもしれない。尤も、稚内から札幌は東京から富山に相当する距離な訳で、JRの運賃が高いというよりは、バスが安すぎるような気もする。

というお話。

*1:昨今のキャッシュレス社会とあって、現金を殆ど持ち合わせなくなってしまったのだ。