便名 : 北斗15号
日付 : 2022/06/xx
区間 : 函館(15:01)→長万部(16:28)
所要時間 : 01:27
乗車クラス : 普通車自由席
運行 : JR北海道
2022年中に何度か発売されていた「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」。12,000円でJR北海道の特急・急行を含む在来線が6日間乗り放題という破格の条件で、一度くらい利用してみようかということで初夏の北海道へやって来た。
この切符、発売が利用前日までで、前日に飛行機で北海道入り。函館駅前にある近頃の常宿、フォーポイントバイシェラトンに一泊したのち、いよいよ翌日利用開始。
(前日の飛行機移動についてはこちら)
初日の移動は午後からで、午前中は電話会議に出席したり函館市内を散策したりしながら過ごした。そういえば、以前記事に投稿した「すき焼き 阿さ利本店」を訪れたのがこの日。
(「すき焼き 阿さ利」についてはこちら)
本題から逸れるが、個人的に鹿児島に縁があることもあり、どうも海と山のある路面電車の走っている街に親近感を覚える。今回訪れた函館もそのひとつで、他には松山なんかも何となく空気の合う感じがする。
さて、14時頃ホテルをチェックアウトして函館駅へ向かい改札を通過。乗車するのは15:01に函館駅を発車する特急「北斗15号」。この列車、かつてJR北海道が速達性を重視していた頃には「スーパー北斗15号」として函館-札幌間の最速達記録を有しており、途中東室蘭のみ1駅停車、所要時間3時間で両駅間を結んでいた。
ただこれも今や昔で、JR北海道の先のトンネル内火災をはじめとした種々のトラブル、これによって生じた経営状況の悪化よって最高速度が低下し、現在では3時間46分運転、途中停車駅は14にも上っている。今回はこの列車の追加になった停車駅、長万部まで利用する。
函館駅は行き止まり式の構造で、各ホームへは階段を利用せずにアクセスできる構造。北国らしく、ホームと通路の境には扉が設置されている。今回乗車する列車は改札口から最も遠いところにある7番線からの出発。
列車が停車する部分まではそれなりの距離があるうえ、ホームそのものも結構な長さ。それゆえ、改札口から列車までは2-3分は見ておいたほうが安心。余談ながら、ホームの柱に設置されている「ようこそ函館へ」のホーロー看板はなかなか良い雰囲気ではあるものの、設置する向きが逆なような。
今回乗車する「北斗15号」は札幌駅を10:57に出発し、函館駅に14:41に到着する「北斗10号」の折り返し。この日は何だかんだで遅延していたようで、14:45過ぎにやって来た。それにしても、たった1往復で650km近くを走るのだから、北海道の列車はなかなか過酷。運用によってはもう片道走って1.5往復することもあるんだとか。
函館駅の海側には函館近辺で活躍する電車・気動車が所属する函館運輸所があり、ここには出番を待つ車両が停車している。この日、手前側には引退に向けて徐々に数を減らしつつあった281系車両が停車中。この車両が当時現役だったかどうかは定かではないが、その後2022年9月末を以て定期運用から離脱、10月の臨時列車の登板を以て完全に引退したのだとか。
乗車する列車は同列車で多数派となった261系の7両編成。北斗号といえばかつてはもう少し長かったような気がするが、ここ数年のCOVID-19の影響で、短いものでは5両編成とずいぶん短くなってしまった。
今回の乗車券は4回まで指定席を利用することができるが、今回はそれほど長距離の利用でないため自由席を選択。ただ、乗車してみると何かしらのツアー客がいたようで車内はたちまち満席に。
自由席ではあるものの、乗車した6号車の座席は指定席車両用の「グレードアップ座席」が設置されている車両に当たった。同座席は稼働枕がついているのが特徴で、座席が若干硬めではあるものの乗り心地は割に良好。なお、函館から札幌に向けては大沼、駒ヶ岳、噴火湾と主要な景勝地の殆どが進行方向右側にあり、右側(D席側)に着席。窓は2席で1枚の配置なので、この車両の場合は札幌行きは偶数番、函館行きは奇数番が眺望的な当たり座席。
列車は定刻通り函館駅を出発し、5分もしないうちに次の五稜郭駅に到着。ちなみに「五稜郭」とついているものの、同駅から五稜郭公園までは約2.5km、徒歩30分ほどの距離がある。それゆえ、五稜郭公園へ向かう場合は函館市電「五稜郭公園前」電停から徒歩か、バスでのアクセスがおすすめ。
五稜郭駅で木古内方面の道南いさりび鉄道と分岐し、列車は北上。桔梗、大中山と通過して七飯駅で再度停車するが、同駅は通過駅なのでドアは開かない。しばらく停車していると、向かいのホームを新函館北斗から函館へ向かう快速列車が通過していった。特急が停車して快速列車を待つというのも何だか珍しい光景。
七飯駅を出てしばらくすると、進行方向右手に高架線が見えてきた。これは「藤城線」と言って急勾配を避けるために建設された別線で、かつて下りの特急列車はこちらを走っていた。ただ、こちらの路線を通ると新幹線と接続する新函館北斗駅を経由できないため、現在はこれを走る特急列車はない*1。
函館から19分で新函館北斗に到着。早速数人の乗客が降車していったが、東京駅を10:44に出発する「はやぶさ19号」から乗換えてくる乗客のほうが多く、より一段と車内が混雑するように。ちなみにこの北斗15号が札幌駅に到着するのは18:47で、東京駅からは08:03の所要時間。さすがに現時点では実用性が高いルートとはちょっと言いがたい。
新函館北斗を出発するとしばらく山間部を走り、左手に小沼が見えてくると大沼駅に差し掛かる。分岐の多い函館近辺の函館本線、同駅からは大沼公園廻りと砂原廻りに分かれるのだが、特急列車は距離の短い大沼公園廻りのルートに進む。
「千の風になって」誕生の石碑のある大沼公園駅を出発すると、進行方向にほんの数秒だけ見えるのが大沼。車窓としては小沼のほうが見えている時間が長い。
駅近くに「ラッキーピエロ」のある赤井川駅を過ぎると、辺りの進行方向右手には駒ヶ岳が見えてくる。ただ、列車は森の中を分け入るように走っているから、大沼同様それほどシャッターチャンスは多くないうえ、カーブが多いことから列車が揺れなかなか写真が撮りづらい。
徐々にカーブが減ってきたと思うと、間もなく「いかめし」で有名な森駅に到着。この辺りから列車は噴火湾沿いを進んでいく。それにしてもこの辺りは堤防が低く、少し波が高ければ線路に波がかぶってしまいそうな高さ。
森駅を発車した後は今回下車した長万部駅を越えて新千歳空港の近く、苫小牧付近までずっと海沿い。「近く」と言っても苫小牧から空港行きの乗換駅、南千歳までは約27kmほど、山手線3/4周ほど離れているのだが。
石倉駅を過ぎた頃から気持ち内陸に入り、海沿いではあるものの少し距離が離れた。函館と札幌を結ぶ高速バス「はこだて号」も停車する八雲駅の先で国道5号線をアンダークロスし、かつて国鉄瀬棚線が分岐していた国縫(くんぬい)駅を通過すると間もなく乗換えの長万部駅に到着。この辺りは約3年前、2019年の夏に自転車で走ったのがまだ記憶に新しい。
(余談ながら、自転車旅行の記録はこちら)
到着した長万部駅は構内に車庫が併設されていて、この辺りでは比較的規模の大きな駅。現状2031年春予定の北海道新幹線開業時には新幹線の駅が開設される一方で、平行在来線が廃止になるような検討も現在進められている。それゆえ今後、在来線の鉄路が残されるや否やも気になるところ。勿論便利になるに越したことはないが、新幹線と引き換えに在来線が廃止されるとすれば、これは「便利になった」と評価できるんだろうか。
同駅では約10分の待ち合わせで、小樽行き普通列車に乗換え。「北斗15号」は同駅から函館本線を離れて苫小牧の少し先、沼ノ端駅まで室蘭本線、そこから札幌近くの白石駅まで千歳線を走った後に函館本線に合流、終点の札幌駅に向かう。
乗換先についてはまた別の記事で。