日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【搭乗記】JAL/JL2809(札幌千歳/青森)


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便名 : JAL/JL2809
日付 : 2022/07/xx
機材 : E170(E70/M01)
区間 : 札幌千歳(CTS)19:05→青森(AOJ)19:55
所要時間 : 00:50
区間マイル : 153
搭乗クラス : 普通席
運航 : J-AIR

1週間北海道に滞在して「HOKKAIDO LOVE! 6日間パス」で道内各地を訪れたのち、帰京するために南千歳駅から快速「エアポート」で新千歳空港へ移動する。

ところでこの南千歳駅は1980年に「千歳空港」という駅名で開業しており、その後1992年に現在の新千歳空港ターミナルが開業、ターミナル地下に新駅が開業したのを機に南千歳駅に改称されている。当時の施設の多くは撤去されてしまっているが、乗降客数の割に大きな駅舎の端々には利用客の多かった時代の面影が残っている。

JR千歳線 南千歳駅 改札口

南千歳駅/ かつてはここが「千歳空港駅」だった

さて、乗車する新千歳空港行きは南千歳駅2番乗り場からの出発。以前は新千歳空港行きが3番線、札幌方面行きが2番線の右側通行になっていて、函館、帯広・釧路方面との乗継がしやすい工夫がされていたが、どうやら2020年頃変更があったようで、2023年現在では左側通行に戻っている*1

駅の南側にはトンネルの入口があり、新千歳空港へはここから地下を通ってアクセスするが、冬場の雪対策で入口(坑口)はスノーシェード状になっているのが特徴。一般的な仕様にすると線路が雪に埋もれてしまうのかもしれない。

JR千歳線 南千歳駅南側

南千歳駅/ 中央左が石勝線、中央右が空港行き

南千歳駅からは約3分で新千歳空港駅に到着。ちなみに改札口へ向かう階段・エスカレーターは2号車と4号車(指定席「uシート」車両)付近にある。値上がりが続いている「uシート」の地味な利点の一つがこれ。

出発階に向かうと、当時は七夕が近かったこともあってJALのチェックインカウンター近くに願い事を吊るす笹が用意されていた。ちなみに仙台などでは旧暦の7月7日に合わせて8月に七夕祭りをすることがあるが、これは7月のお話。

新千歳空港 JALカウンター前 七夕

新千歳空港/ 当時はちょうどディスプレイが始まった頃

食事を済ませて制限区域に入ると、この日搭乗する青森空港行きは12番搭乗口からの出発。東京や大阪といった大都市以外の地方空港路線は比較的ターミナルの端から出発することが多い中で、この便は比較的中央に近い駐機場を使用している。

(例えば以前搭乗した花巻空港行きはターミナル端からの出発)

biketourist.hatenablog.com

どうやらJALの新千歳発東北行きの路線は夕夜間に札幌起点で1往復、というダイヤ設定が多く、この便も青森空港20:30発の2810便として折り返してくるような運用。前述の花巻は2023年8月時点では最終便が少し早い16時台の出発だが、その他の秋田、仙台なんかも青森と同じような時刻設定になっている。

新千歳空港 12番搭乗口前 電光掲示板

新千歳空港/ 機体は青森を往復して戻ってくる

搭乗して隣の駐機場を見ると、国際線仕様のB777-200ERが駐機中だった。記事を投稿した2023年のお盆時期は台風直後の臨時便なんかで活躍していたが、近頃は東京羽田-名古屋中部の往復といった限定的な運用についているのみで、年内に引退が予定されているという噂。

同機材の初号機登場は2002年で、いずれにしてもA350に代替されてそう遠くないうちに引退を迎える計画になっていたと思われるが、引退を急ぐほどの状況ではなかったはず、という意味ではJALグループの中では最もCOVID-19の影響を受けた機材かもしれない。

(参考までに過去同機材の搭乗記)

biketourist.hatenablog.com

JAL2809便 駐機場

新千歳空港/ 2023年9月頃の引退が予定されているB777-200ER

ともあれ定刻通り出発し、滑走路北側(19R)から南方向へ離陸滑走。夏至からまだそれほど日が経っていないこともあり、北海道は19時を過ぎてもまだ明るさを保っている。ちなみに、以前にもどこかで記したが、雪の多い地域は滑走路表面の標識が白色ではなくオレンジ色に塗装されているのが特徴。

JAL2809便 新千歳空港滑走路 19R

新千歳空港/ オレンジ色の塗装は雪国の特徴

この日は雨はそれほど降らなかったもののあまり天候が良くなく、上昇中程なくして雲の中へ入った。普段ならばこの頃苫小牧市街が見えるはずだが、どこが水平線だかわからないほど真っ白。

JAL2809便 苫小牧上空

苫小牧上空/ 一面の雲で覆われている

感覚的には(ジェット機の路線としては)近く思える新千歳から青森の航路だが、意外と?大阪伊丹から松山までと同程度の150マイル以上の距離がある。それゆえ、離陸して低い高度で水平飛行という訳でもなくある程度の高度まで上昇するから、雲頂を超えて雲の上に出た。地上は既に暗くなっていたが、上空にはまだ日差しが残っている。

JAL2809便 太平洋上

太平洋上/ 距離は短いが雲の上まで上昇した

ただ、それほど日差しは長く続かず、5分も経たないうちに暗くなり、最終的には真っ暗に。機内インターネットの提供がない機材でこれだけ雲が厚いと全く地上の様子が分からないが、おそらくこの頃函館市近辺を通過したのではないかと思われる。ベルトサインは一瞬消灯されたが殆ど間を置かずに再点灯、降下を開始して着陸体制に入った。

JAL2809便 太平洋上

太平洋上/ 水平飛行はほとんどなかった

降下を始めるとしばらく雲の中のような状況が続き、その後突然衝撃があって着陸。出発時点では特段の注意喚起はされていなかったのだが、どうやらこの日は相当天候が悪く、青森空港周辺は濃い霧に包まれていたようで、着陸して駐機場へ向かう道中すら何も見えない状態だった。

何度か飛行機に乗ると、しばしば「視界不良のため引き返す場合があります」といったインフォメーションが出ていることがあるが、このような状態を見ると納得するとともに、そりゃそうだよね、という感想になる。むしろ良く着陸できたなと思ってしまった。

ちなみに青森空港では「やませ」による濃霧が定期的に発生するようで、高精度の精密進入用設備(CAT-3b)が整備されているとか。国内では他に成田国際空港、釧路空港、熊本空港に設置されている同設備は、滑走路視距離の観点では200m以上あれば着陸進入できるのだそう。

(青森県による詳細説明サイトはこちら)

www.pref.aomori.lg.jp

機はそのまま駐機場に入ったが、隣の駐機場にいる、次に搭乗するB737の姿もはっきり見えないほどの状況。そうそうあることではないのかもしれないが、こんな状況でも飛行機を飛ばすパイロットの技術には改めて驚かされる。

JAL2809便 青森空港 駐機場

青森空港/ 隣の飛行機の姿がぼんやりと見えている

青森空港では乗継ぎ先の東京羽田行きが定刻から30分後の20:25発であまり時間がないが、そもそも同空港で飛行機を乗継ぐことはあまり想定されていない*2ようで、到着経路からショートカットして搭乗待合室へ向かうルートは用意されていなかった。とりあえず地上係員さんに一言告げてから一旦到着出口を出、改めて保安検査場を通って搭乗待合室へ戻ることに。

JAL2809便 青森空港 手荷物回転台

青森空港/ 手荷物回転台にある紙飛行機?のオブジェ

これまで「視界不良」というのがイメージがつきづらかったが、今回目の当たりにして納得がいったという意味で、学びの多かった移動。いずれにせよ、とりあえず無事に着いてよかったということになるだろうか。

というお話。

*1:エレベーターが竣工したことに加え、「エアポート」が時間あたり6本運転に変更されたことが影響しているかもしれない。

*2:JALダイナミックパッケージで取った旅程なので、一応公式に認められているルートではある、はず。