日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】ひだ7号(高山/富山)


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便名 : ひだ7号
日付 : 2022/12/xx
区間 : 高山(13:16)→富山(14:47)
所要時間 : 01:31
乗車クラス : グリーン車指定席
運行 : JR東海/JR西日本

新宿から高速バスで約6時間かけて飛騨高山までやって来た。ここからはJRに乗換え、日本海側、まずは富山を目指して移動する。

(ここまでの移動はこちら)

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JR高山駅の改札は本州では珍しい列車別。自動改札導入以前は全国総じてこの運用だったのだろうと思うが、少なくともJRに関しては北海道以外では滅多に見かけなくなった。なお、同駅では特急列車自由席用の待機列が写真右手に設定されているので、希望の座席がある場合は早めに並んでおくことをおすすめ。

JR高山駅 改札口

(@JR高山駅) 昔ながらの改札口

暫くして改札が開き、ホームへ移動。岐阜側にはホームに隣接して留置線が敷設されており、ここに新型車両が停車していたので少し見物。外見がどことなく近鉄の特急列車っぽいこの新型車両、比較的早いペースで置換えが進んでいて、まもなくの2023年3月のダイヤ改正以降の定期列車は基本的に新型車両による運転になるとか。

新型車両は側面窓こそ現行車両と同サイズだが、見ての通り前面展望はそれほど重視されておらず、「ひだ号」の定期列車で前面展望が楽しめるのは2023年3月中旬のダイヤ改正までのあと1か月ほど。なお、高山方面にこだわらなければ、現行車両は紀伊半島方面に向かう「南紀」号でもう少しだけ活躍する予定のはず。

JR高山駅 HC85系

(@JR高山駅) 2023/3に全定期列車が置換え予定

JR東海駅名標は一貫していわゆる「国鉄書体」。今となってはかえって古く見えないような気すらしてくる。ちなみに「飛騨一ノ宮」が岐阜方面で、乗車する列車はほずえ(上枝)方面へ進んでいく。字の並びは簡単なのに読み方が少し難しい。

JR高山駅 駅名標

(@JR高山駅) 平仮名が独特の字体

ところで、高山線普通列車は転換クロスシートタイプとロングシートタイプの2種類がある。1編成中に混在しているケースは稀かと思われ、それほど役に立つ情報ではない気もするが、車体表面に凹凸(コルゲート)がある車両は転換クロスシートで、これがないものがロングシートなのだそう。

JR高山駅 車庫

(@JR高山駅) 右手前の車両は転換クロス、その奥はロングシート

さて、列車は高山へ7両編成で到着し、ここから先は3両で終点の富山へ向かう。頭上の号車札には「10号車」と記載があるのは時期によっては増結されるからだろうか。この日は間の5,6,7号車が欠番になっていて、連結されていなかった。

JR高山駅 ホーム 乗車口

(@JR高山駅) 10号車があるからといって10両編成ではない

ほどなくして列車が到着。今回乗車するひだ号のグリーン車は2種類の座席があり、一方が1両の半室がグリーン車になっていて2列-2列の横4列、他方が1両丸ごとグリーン車で、1列+2列の横3列仕様のタイプ。今回は先頭車両1両丸ごとの後者のほう。座り心地が互角なら、占有面積が大きい方が嬉しい。

ひだ号 キハ85系 グリーン車 座席

ひだ7号/ この車両は1列+2列の横3列配置

2022年まで列車名に「ワイドビュー」の名称が付されていた通り、この列車は前面、側面ともに窓が大きく視界がひらけている。今回、出発1時間前に乗車券を購入したから最前列とはいかなかったが、前から2列目の座席を確保することができた。個人的な経験として、運転席直後(A席)よりも中央(B席)もしくは助手席側(C席)の方が視界は良好の印象。

(同様の構造の中央本線特急「しなの」号はこちら)

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ひだ号 キハ85系 グリーン車

ひだ7号/ 背もたれは高いが前方を眺めることは可能

座席は通路よりも1段高いハイデッキ構造。昨今バリアフリー化が進んできたこともあって、このような構造の列車も減ったような印象がある。足置きがあるのはグリーン車らしいところで、他の列車と同様に靴のまま使用できる面と素足の面が用意されている。

ひだ号 キハ85系 グリーン車

ひだ7号/ 約20cmほど座席がかさ上げされている

高速バスでは軽食のみしか摂っておらず、この頃には少しお腹も空いてきた。そこで、駅改札横にある駅弁屋「金亀館」で「飛騨牛しぐれ寿司」弁当を購入。

JR高山駅弁

JR高山駅弁の「飛騨牛しぐれ寿司」弁当

分量的にはそれほど多いものではなかったが、お肉は思いの外沢山載っかっていてそれなりの満足感があった。余談だが、これまでで一番の牛肉駅弁は今のところ九州にあるJR武雄温泉駅の「カイロ堂」。厳密に言えば駅弁ではなく出来立てのお重として戴いたから、若干ルール違反か。

(「カイロ堂」についてはこちら)

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JR高山駅 飛騨牛しぐれ寿司

JR高山駅弁の「飛騨牛しぐれ寿司」弁当

食事をしているうちに列車は高山駅を出発。ちょうど列車に乗車したあたりで雨が降りだし、前面ガラスには水滴がつき始めた。

高山駅を出て1駅目、前述の上枝(ほずえ)駅で早速対向列車と行き違い。やって来たのは以前映画「君の名は」に登場したことで有名になった、飛騨古川駅始発で同駅を13:11に出発した名古屋行きのひだ12号。高山以北は本数がそれほど多くないはずだが、これ以降も含め比較的多くの列車とすれ違った印象がある。

JR飛騨古川駅 ひだ号 前面展望

ひだ7号/ 上枝駅でひだ12号と交換

北へ進んでいくにつれて雨が強くなり、ワイパーの速度も速くなった。どうやら県境付近はかなり雪が積もるようで、分岐器付近にはスノーシェードが設置されていた。

ひだ号 グリーン車 前面展望

ひだ7号/ 打保駅構内にはスノーシェードがあった

途中駅で一足先に新型車両に置換えられた「ひだ14号」と行き違い、杉原駅が岐阜県内最後の駅、次駅の猪谷(いのたに)駅からは富山県に入った。同駅はJR東海JR西日本の会社境界になっていて、同駅でJR西日本の乗務員さんと交代。同駅付近だけは雪が強く降っていて、車両に乗り込むのも交代するのも大変そうだった。

JR西日本に入ると若干線路の雰囲気が変わり*1越中八尾、速星(はやほし)と停車して終点の富山駅へ向かう。駅名標高山駅のそれとは打って変わってJR西日本仕様。関西でよく見かけるからか、ずいぶん遠くへ来たような感覚を覚える瞬間。

JR越中八尾駅 JR西日本

(@JR越中八尾駅)  会社が変わり、JR西日本タイプの駅名標

最後の停車駅、速星駅には貨物列車用の側線が多数あって比較的大規模。駅構内からは日産化学の工場につながる専用線が走っているんだとか。ちなみに日産化学と日産自動車はかつての「日産コンツェルン」が源流ではある点は共通するものの、現在日産自動車との資本関係はないのだそう。

ひだ号 グリーン車 前面展望

ひだ7号/ 速星駅はかなり大規模

途中の雪の影響だろうか、列車は4分ほど遅れて速星駅を出発。速星駅から富山駅までの所要時間は10分ほどで、遅れを回復することはなく14:50過ぎに終点富山駅へ到着。隣のホームにはあいの風とやま鉄道の泊行き普通列車が停車していて、遅れて到着したこの列車の乗客を迎え入れると同時に出発していった。

ひだ号 グリーン車 富山駅

ひだ号 グリーン車 富山駅

改めて外観を眺めると、よくあるJR東海の塗り分けのせいかさほど古さを感じさせないが登場は1988年だそうで、登場から35年と思いの外時が経過している。そういえば、新型車両に同様の装備がないから、先頭車両ライト上にある合掌造り模様の「ひだ」の絵幕が見られるのもあと少し。

この後は14:57発の新幹線で金沢へ移動する予定でいたが、列車が少し遅れたこともあり、元々10分しかない乗換え時間が更に短くなった。油断してのんびり写真を撮っていたら思いの外時間が少なくなり、ホームに到着するとすでに列車が到着した後だった。

*1:コメントが難しいが、連続して眺めていると、何だかんだでJR東海はローカル線にもお金を掛けているんだな、というのが分かるのだ。