便名 : 便名なし
日付 : 2024/12/xx
区間 : 県庁市役所前(14:10)→山形駅前(15:27)
所要時間 : 01:17
乗車クラス : 普通席(座席定員制)
運賃 : 1,000円(交通系ICカード決済)
運行 : 山交バス
日本国内には多頻度の高速バス路線というのが多数存在するが、便数の割に他地方からの知名度が高くないように思われるのが今回乗車した仙台と山形を結ぶ高速バス。
(事業者公式サイトはこちら)
少し話を続けると、現在日本で最も便数の多い高速バスは東京駅と成田空港とを結ぶ「エアポートバス東京•成田」。COVID-19前は日に140往復近く、今でも日に100往復以上が運行されているので別格の存在。
(「エアポートバス東京•成田」についてはこちら)
その他にも九州では便数の多い路線が多く、天神と小倉を結ぶ「ひきの号」「なかたに号」「いとうづ号」の3兄弟、福岡と熊本を結ぶ「ひのくに号」なんかは上述の路線に引けを取らない便数が運行されている。
(「ひのくに号」についてはこちら)
さて、この日は始発停留所の県庁市役所前から徒歩15分ほどのところにあるウェスティンホテル仙台に宿泊していて、午前中いっぱい宿で過ごしてからここまでやって来た。バス停と地下鉄の駅名が揃っていないが、地下鉄で言うと勾当台公園駅に程近いところにあり、停留所名の通り、バス停の背後には県庁だか市役所だかの建物が並んでいる。
(今回の宿泊ではないが、宿泊先はこちら)
バスは終日高頻度で運行されているが、ダイヤとしては朝方の山形発と夕方の仙台発の本数が多め。所要時間は1時間程度で運賃も1,000円なので、東京の感覚からすると余裕で通勤圏内といった感じ。朝の山形発ピーク時間帯は最短4分間隔(山形駅前06:53発から07:09発まで)で運行されているので、実際に通勤で利用している方も多いのかもしれない。
運行会社は宮城側の宮城交通と山形側の山交バスの2社で、今回乗車したのは山交バスの運行便。山交バスだが営業所は仙台にもあるらしく、ちょっとややこしい。
基本的にどちらの運行便であっても提供されるサービスは同じだが、宮城県エリアの交通系ICカード「icsca」については山交バス運行便では利用することができないとか、後述の山形市内相互間利用の際、山交バス運行便でしか定期券が利用できないなど、若干の差異がある模様。ただし2024年12月現在では*1一般的な交通系ICカード(Suica,PASMOなど)はいずれの会社も利用可能。
14:10に始発の県庁市役所前を出ると国道286号線を南へ進み、青葉通を超えた先で左折して仙台駅前の22番バス乗り場へ向かう。仙台駅西口の高速バス乗り場は少し変わっていて、多くの路線は駅舎を出てすぐ見えるところにあるロータリーには入ってこず、広瀬通にある宮交のバスセンター(40番乗り場)か、青葉通上にあるバス乗り場を発着する。
今回乗車したのは14時過ぎの中途半端な時間帯の便だったが、県庁市役所前で10名弱、次の仙台駅では20名近くが乗車し、ここで車内の半数強の座席が埋まった。さすが需要が旺盛な路線。
仙台側の乗車停留所は3ヶ所あり、最後が広瀬通一番町。場所的には始発停留所の県庁市役所前から徒歩10分弱の場所なので、座席にこだわりがなければここから乗車するのが所要時間としては短くて済みそう。ここでも10名以上の乗車があり、日中のこの便ですら殆どの窓側座席は埋まっていたので、ピーク時間帯だと積み残しが出てしまいそうだが。
なお、バスの走る広瀬通の両サイド、県庁側を走る定禅寺通と駅側を走る青葉通では、例年12月上旬から月内にかけて「SENDAI 光のページェント」なるイルミネーションが実施されている。期間中は最大300万人近い来客があるそうで、日本国内でも有数のイルミネーションイベント。意外と電球色一色のイルミネーションというのは国内では珍しいかもしれない。
そんなイベントゆえどうやら高速バスの需要も高まるようで、到着地側の山交バスセンターにはこの時期の夜間の仙台発便は混雑する旨の注意喚起がなされていた。なお、バスの経路はイルミネーションの箇所を外れているので、残念ながら車内から鑑賞することは難しそう。
さて、バスは広瀬通一番町を出発すると仙台西道路の長いトンネルを経て、仙台宮城インターチェンジから高速道路へ入る。その先は東北自動車道を南下したのち、村田ジャンクションから山形自動車道で山形蔵王インターチェンジといった経路で山形市街を目指す。
東北といっても積雪の少ない仙台市街から山形自動車道に入ってしばらくの間までは雪の気配を微塵も感じさせなかったが、歩みを進めるにつれ、徐々に遠方に見えてくる雲がこれは明らかに雪雲だろうという厚さに変わっていった。そして便数の多さゆえ、かなりの頻度で対向の仙台行きのバスとすれ違う。
地図を見ると、印象よりも宮城-山形の県境は山形市街寄りにあるようで、高速道路を下りるぎりぎりまで宮城県といった感じ。その県境は標高906mの笹谷峠の途中にあるが、このあたりは雪深いのか、この時期からすでに並行する一般道の国道286号線が通行止めになっている模様。尤も、この道は所謂「酷道」のようで、一般的な国道とは少し違いそうではある。
ちなみに今回乗車した仙台-山形の路線は高速道路を経由するが、さくらんぼ東根駅や新庄方面に向かう「特急48ライナー」は国道48号線経由。時期の違いもあるとはいえ、山形自動車道よりも国道48号線の方がいくらか北を走っているせいか、かなり雪深いエリアを走っていた記憶がある。
(「特急48ライナー」についてはこちら)
バスは順調に走り、仙台駅を出て約55分で山形市街最初の停留所となる山形県庁前に到着。運賃表にえらく小さな金額の運賃が表示されてあれと思ったが、どうやら仙台発便に限り山形市内相互間の利用をすることもできるらしい。
山形駅が近くなると信号の数が増え、引っ掛かる数も増えていったが、定刻から大きく遅れることなく15:30前に終点の山形駅前に到着。なお、仙台発便は山交ビル前が建物前、山形駅前が駅前の交差点付近の公道上に降車用バス停があり、乗車バス停とは場所が異なるので注意が必要。
東京から山形までは新幹線でも2時間30分程度ではあるが意外と航空便も頑張っていて、日に2往復の羽田便は80%近い搭乗率を維持できている模様。東京の他にも大阪•名古屋•札幌と主要な都市の多くはカバーされている。
そんな空港までの連絡バスは高速道路を経由するにも関わらずマイクロバスが活躍しているのが特徴的。ちなみに以前、飛行機到着便の遅延でそのバスの折り返しが間に合わず、急遽タクシー輸送になったことがある。
(山形空港の連絡バスについてはこちら)
山形駅前でバスを降り、用事を済ませて山交バスターミナルに戻ると、構内には折り返し仙台への出発を待つ宮城交通のバスが列をなしていた。空港なんかはともかく、ターミナル内でここまでの台数が休憩するというのは割と珍しいような。
仙台-山形間はJR(仙山線)でも80分程度と所要時間は大差ないが、高速バスの本数が圧倒的で日常の交通手段としては高速バスに軍配が上がる。旅行なんかでは両地点間相互の移動はあまりないかもしれないが、覚えておくと便利な路線。
というお話。