便名 : 仙台•山形線29004便
日付 : 2024/12/xx
区間 : 山交ビル(16:35)→赤塚駅北口(22:57)
所要時間 : 06:22
乗車クラス : 普通席(座席指定制)
運賃 : 6,000円(事前クレジット決済)
運行 : 茨城交通
高速バスというのは時々新たな需要を開拓すべく、一見するとあまり需要のなさそうな路線が開設されることがあるが、その代表格とも言えるのが今回乗車する、山形と茨城県•水戸を結ぶ路線。元々は水戸から仙台を結ぶ路線だったが、2023年に山形まで延伸した。
(事業者公式サイトはこちら)
今回は仙台に用事があり、一旦高速バスに乗って山形までやって来た。バスは山形を出て仙台に立ち寄ってから水戸へ向かうルートなので待っていればバスはやってきたのだが、せっかく乗車するのであれば始発から、という妙なこだわりゆえ。
始発の山交バスターミナルはJR山形駅から徒歩5分ほどの場所で、昔ながらの地方の百貨店といった建物の一角にバス乗り場が開設されている。
同バス停からは近距離の路線バスと中長距離の高速バスが発着している。高速バスはメインの仙台へ向かう路線が絶え間なく発着しているほか、東京、新潟、酒田へ向かう路線が開設されている。
(以前乗車した酒田へ向かう路線はこちら)
今回乗車する路線はバスターミナルの窓口前、4番乗り場からの出発。今回乗車する路線は日に1往復、他の路線も新潟行きが2往復、酒田方面が7往復なので、この乗り場に関してはそれほど発着は多くなさそう。
しばらくすると、待機場に銀色車体の茨城交通のバスが到着。片道の所要時間は6時間近い長距離路線だが、日帰りで往復の運行なんだろうか。
通常は3列独立シートと聞いていたが、この日乗り場へやって来たのはよく見る2列+2列で横4列の車両。特に説明もなかったが、代走かなんかだろうか。どうにも私は3列の便を予約した時に4列の車両がやって来るケースが多い。ともあれ、乗車時に目的地到着時に引き渡す清算済証を受け取って乗車。ちなみに現地払いの場合は降車時に支払う運用のよう。
(以前の例がこちら)
私の他に1名の乗客を乗せ、定刻通り16:35にバスは山交ビルを出発すると、右折左折を繰り返しながら進路を変えて山形蔵王インターチェンジへ。どうやらビル前の道路を右折できないらしく、同じようなところをぐるぐる廻っているように見えた。
山交ビルから仙台駅西口までの所要時間は85分で、山形自動車道、東北自動車道経由で向かえば割と余裕があるようにも思われたが、仙台宮城インターチェンジと市街地とを結ぶ仙台西道路が渋滞していて、途中で時間調整をすることもなく出発時刻5分ほど前に仙台駅のはずれにある仙台駅前40番バス停に到着。九州に縁がある人間としては「宮交」というと宮崎交通の印象が強いが、ここでいう「宮交」は宮城交通のこと。
■地図情報
この40番バス停は「宮交仙台高速バスセンター」前にあり、バスが到着した旨のアナウンスを受けて乗客が待合室から出てきた。とはいっても行列にはならず、山形からの乗客を含めて合計3名で仙台駅を出発することに。繁忙期の状況がわからないが、この日の乗車率は10%を下回っていて、バスの大きさを考えると少し乗客の数が寂しい。
18:00に仙台駅西口を出発したバスは国道286号線、広瀬河畔通を経由して長町インターチェンジへ向かい、仙台南部道路、常磐自動車道経由で水戸方面へ向かう。最初の停留所、福島県の相馬バスターミナルまでは半分弱が対面通行だが、道路の流れはそれなりに良好で割と元気の良い走り。
約1時間ほど、定刻よりも少し早めに辿り着いた相馬バスターミナルは相馬インターチェンジに隣接していて、小規模な待合スペースと駐車場が設置されている小規模ながら立派な施設。どうやらバス停名称が統一されていないようで、会社によっては「南相馬バスターミナル」や「相馬インターバスターミナル」などと呼ばれているようだが、いずれも同じ場所で乗り場には標柱が林立している。
今回乗車した路線はこのバス停が乗降ともに可能だが、他の路線との兼ね合いで仙台駅から乗車した場合は降車できない運用。山形駅から乗車した1名がここで降車していった。ちなみに路線バスも走っているが、鉄道駅までの路線はなさそう。
相馬バスターミナルで10分ほど時間調整をして19:11に出発すると、10分も走らないうちに休憩箇所の南相馬鹿島サービスエリアに到着して約10分の休憩。上下集約型でそれなりの規模がある施設ゆえ、お手洗いは割と近くにあるものの物販施設は少し離れていて、休憩時間中に往復するとなると少し時間がタイト。
片道3分ほどかけて物販施設まで辿り着くと、営業時間は朝8時から夜20時まででまもなく閉店といった雰囲気。往路がここを通過するのは08:30頃、復路はこの時点で19:20頃なので、この路線が利用する時間帯はぎりぎりではあるが往路ともに営業している。
閉店が近い時間帯ということもあって施設内の人はそれほど多くなかったが、入口目の前にあるご当地の伝統芸能「相馬野馬追」の騎馬武者がディスプレイされていて、なかなかの存在感。この「相馬野馬追」は毎年5月末に開催され、東京から臨時列車が運行されるほどのお祭り。
次の停留所、北茨城インターチェンジ以降は全て降車停留所なので時刻表通りに運行する必要がなくなり、降車がなければ全て本線上を通過していく。例えば日立駅なんかは高速道路を降りてからそれなりに距離があるから、ここをスキップすると所要時間が大幅に短くなり、日立南太田インターチェンジを下りて一般道最初の停留所の新田中内(しんたなこうち)バス停を通過したのは定刻よりも1時間ほど早かった。
水戸市に近づいてくると徐々に信号の数が増えて赤信号の停車待ち時間もそれなりに取られたが、それでも定刻から大幅に早い状況には変化なく、21:55に勝田駅西口に到着してもう1名の乗客が降りていった。そういえば、駅構内の留置線にはE501系のイベント列車「SAKIGAKE」が停まっていた。近頃出た報道によれば遠くないうちに通常のE501系は数を減らしていくようだが、この車両の行く末やいかに。
他に乗客のいなくなったバスは東へ進み、水戸駅北口のバス停はロータリーに入らず通過。国道50号線を走っていくと、22:00頃に終点の赤塚駅北口に到着した。赤塚駅周辺はロータリーにコンビニエンスストアがないなど一見して何もなさそうな駅に見えるが、朝夕は常磐線の特急列車も停車するし、東京駅行き「みと号」や東京ディズニーランド行きといった高速バスも設定されている、思いの外利便性の高い駅。
この日は土浦駅のホテルに宿泊する予定だったが、ぎりぎり22:01の上野行き最終列車には間に合わず。22:45の我孫子(あびこ)行きに乗れば終電までに都内へ辿り着くことはできたが、バスがどの程度早着するか読めず、安全策を取ってしまった。それにしてもこの時間帯は珍しい行先の列車が多い。
予想に反して乗客が多いということもなく、結局この路線の需要がどこにあるのかが掴めなかったが、冬季、蔵王の樹氷なんかを見に行く旅行客なんかが多いんだろうか。この乗務員不足の世の中で敢えて延伸したのだがら、長続きしてくれればいいのだが。
というお話。