便名 : JR只見線•423D(普通列車)
日付 : 2023/06/xx
区間 : 会津若松(06:08)→小出(10:41)
所要時間 : 04:33
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : 6,600円(東京まで•クレジットカード決済)
運行 : JR東日本
2011年の豪雨災害によって甚大な被害を受け、10年以上の間不通となっていた、新潟県の小出駅と福島県の会津若松駅とを結ぶJR只見線。
2022年10月に再開したのち、一度利用してみようと思っていたがなかなか機会がなく、6月に無理やり1日時間を作って全線を乗り通すことに。尤も、3月に一度会津地方を訪れる機会はあったのだが、雪崩の恐れがあるとかでしばらく運転を見合わせていた期間にあたり、その際には利用することができなかった、という事情もある。
さて、こちらの路線、全線を走破する列車は日に3本と極めて本数が少ないため、行き当たりばったりで利用するというのは殆ど困難。今回の朝06:08発の列車に乗車するためには勿論前泊が必須で、前日中に東京から高速バスに乗って会津若松駅に到着、駅近くの東横INNに宿泊。翌朝は5時30分過ぎにホテルを出て、出発の20分ほど前に改札を通過した。
(会津若松までの移動はこちら)
改札内には会津地方らしく、大きな「赤べこ」がディスプレイされている。「赤べこ」は同地方の郷土玩具で、「子供が丈夫で元気に成長できますように」という願いが込められているとか。私のような古い人間からすると日本テレビのマスコットキャラクター「なんだろう」が似ているように感じてしまうが、気のせいだろうか。
今回乗車する只見線は改札口から最も遠い4•5番乗り場からの出発。今回乗車する普通列車は4番乗り場からの出発で、隣の5番乗り場は途中西若松駅から分岐して会津田島駅方面に向かう、会津鉄道が利用している。
そんな会津鉄道の始発列車はJR只見線から会津鉄道、野岩鉄道、東武鉄道と4社直通して鬼怒川温泉駅まで運行される快速「AIZUマウントエクスプレス」。この列車に乗車すると、終点の鬼怒川温泉駅では1分乗継ぎで浅草行き「きぬ116号」に接続しているので、午前中のうちに浅草駅へ到達することができる(11:15着)。
(会津鉄道についてはこちら)
日中は所要時間が5時間を超えるから少し使い勝手が悪いが、この始発に関しては新幹線経由と1時間程度しか所要時間が変わらない。尤も、運賃は東武経由と新幹線経由で1,000円程度しか変わらないので、安く抑えるのであれば高速バスを、速く移動するのであれば新幹線を利用するのが良いだろうか。なお、首都圏側から会津地方を往復する場合には東武の企画乗車券を利用すると安価に移動できる場合がある。
(東武鉄道の企画乗車券についてはこちら)
出発20分前をちょっと切ったくらいの時点でホームにはすでに列車が停車中で、ホーム上に乗客の姿はなかった。空いているのかと思えば、車内はちょうど全ての座席が埋まる程度の乗車率。ともすると、確実に座席を確保するとなると、もう少し早く着いておく必要がありそう。
この列車に使用されるE120系車両はトータル8両しか製造されていない割に珍しい車両で、現在は全車両が只見線で運用されている模様。基本的な構造は以前水郡線や久留里線などで乗車したE130系と同様で、同車両から中間の扉を取り払い、残った扉を片開きに変更したという感じ。JR東日本の新型車両でよく見るガチガチの遊びのない座席ゆえ、長時間の乗車は中々大変。
(水郡線についてはこちら)
(久留里線についてはこちら)
出発時刻が近くなると続々と乗客が増え、最終的には地方のローカル線とは思えないくらいの混雑に。これが片道1時間程度の路線なら何とかなるが、4時間以上の乗車時間なのだからなかなかしんどい。かといってもう1両増結するほどかといえば、何とか乗り切れている以上、そこまででもないというのが悩ましい。
会津若松駅を出て最初の停車駅は七日町。「なのかまち」なのかと思いきや、「なぬかまち」と読むのだそう。駅舎は改装中?のようだが、駅舎よりもホーム側に駐輪場がある不思議な構造。自転車で同駅を利用する場合は自転車を押して、駅舎を通り抜けて出て行くことになるんだろうか。
2つ目の停車駅、西若松駅で折り返しが前述の「AIZUマウントエクスプレス」になると思われる会津鉄道の車両と行き違い。どうやらこの車両は当駅で夜間留置され、当駅始発として仕事を始めるようで、行き違いというよりはこれから始業という雰囲気。
西若松駅を出発するとすぐに阿賀川を横断して少し西に進み、会津高田駅を出たところで右に90度カーブし会津坂下駅に向けて北上する。ちなみに2022年の豪雨災害では喜多方市内で磐越西線の鉄橋が崩落して長期間不通になったが、その崩落が起きたのはこちらの阿賀川の支流である濁川。
会津若松駅出発から約35分で会津坂下(あいづばんげ)駅に到着。前述の通り、線路は一旦南下してから北上するようなルートになっているが、道路は一直線に向かうルートがあって会津若松駅から20分ちょっとで到達することができる。
それにしても、七日町駅にしても同駅にしても、文字の並び自体はそれほど難しいものではないのだが、知らずに漢字からこの読みを想像するのはほとんど困難。逆方向も同様で、なんの前情報もなしに読みから漢字を当てろと言われると、残念ながら私には難しそう。
会津坂下駅を06:47に出発し、数駅先の会津坂本駅付近から只見駅までの間はしばらく只見川と並行して進む。沿線随一の絶景地として知られる「第一只見川橋梁」もこの区間の中、会津桧原駅から会津西方駅の間にある。
ともあれ列車は07:29に会津宮下駅に到着し、ここでは9分ほどの停車時間。この列車は先の会津坂下駅で5分、当駅で9分、会津川口駅で10分、只見駅で23分と数駅ごとにそれなりに停車時間の長い駅が設定されている。
海外旅行客が多いからだろうか、この辺りの駅名標はJR東日本の標準的なスタイルの表示の下に大きく英語で駅名が記載されている独自のスタイルが用いられている。
列車は08:05に会津川口駅に到着。この路線の駅名には「会津」とつく駅名が14もあるのが特徴的。見ると各駅とも他地方にもありそうな駅名が多いから、致し方ないのだろう。
この会津川口駅から先、只見駅までの区間が2011年の豪雨災害によって寸断されてしまった区間。通常なら廃線になってもおかしくないほどの被害を受けたようだが、並行する国道が年の半年ほどを豪雪によって通行止めになっていることもあり、地元自治体が負担をして鉄道を残すことになったのだとか。
列車は会津若松駅出発から約2時間30分で只見駅に到着。一頃は乗車率が100%を超えるほどの混雑を見せていたが、ここで乗客の1/3ほどが下車し、列車内がようやく少し落ち着いた。
ここまでの福島県内沿線各駅には10年以上の不通期間を経て再開したことと、自治体が負担をしていることもあって、沿線各駅には再開を祝う横断幕や幟旗などが随所に見られた。少なくとも開業から1年弱が経過した2023年初夏の時点では、青春18きっぷの期間外であっても列車の座席が全て埋まる程度の混雑はしていたから、再び災害に見舞われなければしばらくは大丈夫だろうか。
只見駅を出発すると次の大白川駅は新潟県で、間に福島県と新潟県の県境がある。ここまで比較的短い間隔で駅が配置されていたが、この1駅に関しては距離が約21km、所要時間約30分を無停車で走り続ける。これは首都圏で言えば上野から浦和までと殆ど等しい距離。北海道だとしばしばある駅間距離だが、本州だと少し珍しい。
線路は只見湖、田子倉湖の北側の山をトンネルで突っ切って行くため、しばらくは真っ暗な中を進むが、たまに外に出たタイミングでは向こう側に国道のスノーシェードと思しき構造物が見えていた。
大白川駅から小出駅手前までは破間川沿いを進んでいくと、米どころの新潟県らしく徐々に沿線に田んぼが増えてきた。最後に谷川岳を源流にして長岡市まで流れる魚野川を渡ると、10:41に終点の小出駅に到着。
小出駅では屋根のない只見線専用ホームの5番線に到着。今回乗車してきた車両は1両編成だったが、次の13:12発となる会津若松行きは向かいのホームに2両編成で停車中。まだ出発まで2時間以上あることから、エンジンもかかっていない状況。
ちなみに今回のように始発駅付近に前泊しなくとも、小出駅先廻りの場合には13:12発、16:12発の列車、会津若松駅先廻りの場合は13:05発、17:00発の列車に乗れば東京発日帰りで乗り潰すことが可能。
前述の通り小出駅は上越線と只見線のホームが分かれていて、両ホーム間は跨線橋を通じての乗換え。同駅には新幹線は停まらないので、新幹線への乗換えは上り(越後湯沢方面)で2駅進んだ浦佐駅で行うことになる。
なお、新潟方面へ向かう場合や浦佐駅に停まらない上り列車に乗車する場合は下り(新潟方面)に乗り、約35分で到着する長岡駅で乗換えた方が早いケースもあるかもしれない。
参考までに、小出駅から出発する只見線の普通列車は日に5本しかなく、尚且つそのうち2本は大白川駅までの区間列車(うち1本は土休日運休)。
只見線の朝5時台の始発列車に接続する上越線の列車はないので、これに乗車する場合には駅周辺のホテルに宿泊する必要がある。一応、首都圏発ならば朝04:01に関越自動車道の小出インター脇にあるバス停へ到着する高速バスに乗り、約3km歩いて小出駅までアクセスするルートもあるにはあるが、夜行明けで3kmの散歩は少しハードかもしれない。
上越線のホームへ向かう跨線橋は、かつて同路線で走っていた車両に似たカラーリング。紙製ウエスの「キムワイプ」のボックスにデザインが似ていると話題になっていたような。
小出駅での乗継ぎはあまり良好ではなく、只見線の列車が到着した10:41の3分前、10:38に出発したばかり。次の列車は11:10とそれほど間隔が空いていないとはいえ、3分くらい何とかならなかったんだろうか。
やってきた列車に乗り、約10分乗車し11:20に浦佐駅に到着。接続する東京行きのとき318号は11:59発で、ここでも約40分の待ち時間。1本前の普通列車に乗車できてさえいれば新幹線も1本前の列車に間に合うだけに何とも勿体無い。
浦佐駅は在来線側に自動改札機がなく、切符を手渡しするタイプの改札口。新幹線のコンコースとの仕切り部分はいかにも仮設という佇まいの柵で塞がれている部分があるが、以前はここに自動改札機が置かれていたこともあるんだろうか。
あまり何があるでもない浦佐駅で40分潰し、直近の新幹線で東京へ戻った。なお、新幹線の平均乗車人員が600名程度しかない浦佐駅に停車するような列車ゆえ、本庄早稲田、熊谷の両駅以外は各駅停車のタイプで、浦佐駅を11:59に出ると東京へは13:30頃の到着になる。
乗車当時は観光シーズンから外れていたにもかかわらず割と乗車率は高く、座席が確保できないと4時間超の乗車はかなりしんどい状況。せっかくなら車両の増結をして磐越西線の快速「あいづ」号のように一部の座席を指定席にするなどすればいいのに、と思ってしまった。そのうち乗客が落ち着いていくという見立てなんだろうか。
というお話。