便名 : ゆら~り眺めて清流列車1号
日付 : 2022/08/xx
区間 : 美濃太田(09:56)→北濃(12:04)
所要時間 : 02:08
乗車クラス : 普通車自由席(全席自由)
運行 : 長良川鉄道
多治見駅からJR太多線で美濃太田までやって来た。ここから長良川鉄道に乗車し、終点の北濃(ほくのう)駅を目指し、バスと徒歩を組み合わせて福井県の九頭竜湖駅に抜け、最終的には福井方面へ向かう予定。
(ここまでの移動はこちら)
長良川鉄道越美南線(えつみなんせん)は岐阜県内で路線が完結する第三セクターで、美濃加茂(みのかも)市にある美濃太田駅と郡上(ぐじょう)市の北濃駅を結ぶ路線で、路線総延長は第三セクターにしては長い72.1kmの距離がある。当初は北濃駅の先にも鉄道路線の計画があり、県境を越えて福井県の九頭竜湖駅に向かい、現在のJR越美北線と接続して福井方面へ鉄路で直通するはずだったが、途中で断念されて今の形となっている。
さて、始発となる美濃太田駅の改札口はJRとは別で、JRの改札を背にして左前にある階段を降りたところの長良川鉄道ホームからの出発。階段の途中には観光列車「ながら」の幟が掲げられているが、どこか既視感のあるデザインの通り、こちらの車両は水戸岡鋭二氏によるリニューアルがなされている。
列車は既にホームに据え付けられていて車内には多くの乗客が既に乗り込んでいる。ホームに停まっていたのは「チャギントンラッピング列車」。個人的にはほとんど馴染みがないが、岡山や鹿児島の路面電車でも同様の車両を見たことがある。近頃の子供に人気なんだろうか。
ともあれ、ここから約2時間の長旅になるのだが、座席は既にほぼすべて埋まっていて着席は断念。それにしても、車両の多くの窓はステッカーが貼られており、そのままではあまり外の様子を眺めることができない様子。車窓を楽しむコンセプトの列車に登板するのはちょっと考えた方がいいかもしれない。
ところでこの長良川鉄道、ローカル線の列車ではあるが最近流行りの「Visaのタッチ決済」が使用可能。利用方法は路線バスなんかと同様で、乗車時に乗車口側の端末にタッチし、降車時に降車側の端末にタッチすると決済完了という流れ。カードブランドの制限こそあるものの、現金で支払いするのと比べると面倒くささが軽減されるからありがたい。
列車は美濃太田駅を出発すると途中35の駅に停車しながら約2時間の所要時間で北濃駅に向かう。駅数を見るとわかる通り駅間距離はかなり短く、約2-3分ごとに1駅といった感じ。それゆえそれほどスピードが出るでもなく、のんびりとしたスピードで走る。
(参考までに、公式サイト路線図はこちらから)
ただでさえ駅が多くスピードが上がらないこの路線だが、「ゆら~り眺めて清流列車」のタイトルがついているこの列車は主に橋梁通過時に一段と徐行するようになっている。ただ、この日に関しては前述の通り窓にラッピングがかかっている関係で、外を眺めるには窓を開けるか、ラッピングされていない出入り口の窓から眺める必要があった。参考までに、左右いずれも景色はよかったが、北濃方向に向かって左側の車窓の方が個人的には好みだったような。
しばらくすると八坂駅に到着。ここには「日本まん真ん中の駅」の看板が掲げられている。どうやら看板が掲げられた時点での人口重心がこの辺りだったらしい。ちなみに「人口重心」というのは、国民がすべて等しい体重だとした場合、それを支えることができる重心のことを指すんだとか。
列車が美濃太田から日本海方向へ北上していくにつれて、徐々に沿線の田んぼが黄色く色づき始め、とある駅の近くではちょうど稲刈りを始めたところに遭遇。まだ8月(当時)ではあるものの、徐々に秋の訪れを感じさせるようになってきた。
美濃太田駅から1時間30分ほどで郡上八幡駅に到着。ここまでは数人が座席から溢れるくらいの混雑だったが、古い町並みが有名な郡上八幡の街へ出掛けるであろう乗客が大挙して降車し、数分の停車の後、残った乗客は数人。
ちなみに前述のラッピングはこんな感じ。調べてみると、2008年からイギリス・BBCで放映され始め、2009年から日本国内でも放映されているんだとか。「機関車トーマス」といい、こういった鉄道を題材としたアニメーションはイギリス発が多い印象がある。
郡上八幡駅から30分ほど走ると美濃白鳥(みのしろとり)駅に到着。ずいぶん山奥深くに入ってきたような気がするが、ここでも線路に沿って東海北陸自動車道が並走している。これだけ道路が整備されれば地方の鉄道は苦しくなるよなという感じ。
この列車は特に行き違い待ちなどしなかったが、美濃白鳥駅が最後の行き違い可能駅で、ここを出ると約10分で終点の北濃駅に到着。ホームの少し先まで線路が続いているが、草木の生え方を見るに列車はあまり走っていなさそう。
ホーム脇には転車台が設置されている。明治35年製造の、元々岐阜駅に設置されていたものを昭和9年に移設したそうで、現在日本で2番目に古い転車台なんだとか。実用されていないものの、書類上は現役の設備らしい。
出口近くの端末にVisaカードをタッチし、美濃太田駅からの運賃1,720円を支払い出場。ちなみに北濃駅の駅舎には個人経営の食堂が併設されており、ここで食事を摂ることも可能。
北濃駅では30分弱の待ち合わせでコミュニティバスに乗換え、郡上市の石徹白地区にある「下在所」バス停に向かう。そこから先は約8kmを歩き、福井県の「前坂家族旅行村」バス停からバスに乗ってJR越美北線の九頭竜湖駅へ移動する予定。
せっかく低速走行の列車なら、トロッコ列車でも走らせればいいのにとも思ったが、20年ほど昔の2000年代初頭まで実際に運行されていたらしい*1。この列車の取り組みも決して悪くないのだが、特に案内もなく徐行だけというのは少し勿体ない。いずれにしても、窓がしっかり見える車両を使用した方がいいよね、というのが個人的な所見。
というお話。