日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】JR芸備線•443D(新見/備後落合)


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便名 : JR芸備線•443D(普通列車)
日付 : 2022/07/xx
区間 : 新見(13:02)→備後落合(14:28)
所要時間 : 01:26
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : -(企画乗車券利用)
運行 : JR西日本

津山から姫新線に乗って新見(にいみ)駅までやって来た。同駅で1時間ちょっとの待ち合わせののち、行く末の気になるJR芸備線に乗換えて備後落合駅へ向かう。

(ここまでの移動はこちら)

biketourist.hatenablog.com

新見駅も先の津山駅に負けず劣らずレトロな建物。3路線が合流し、特急列車も停車する駅とあって、駅舎はかなり大きい。

JR新見駅 駅舎外観

JR新見駅/ 乗務員の宿泊施設等もあるらしい

1時間の待ち合わせの間に駅周辺を少し散策してみると、駅から歩いて数分のところに大阪梅田行きの高速バス乗り場があった。COVID-19以前はそれほど大きな町には見えない新見から日に4往復のバスが設定されていたようだが、需要が回復しなかったようで、その後2023年10月に路線休止になってしまったらしい。

JR新見駅前 高速バスのバス停

JR新見駅前/ その後高速バスは廃止されてしまった

新見駅から国道180号線までの間には岡山県を南北に流れる高梁(たかはし)川が流れている。この日は流れが穏やかで、水鏡が辺りの風景を映していた。

JR新見駅前 高梁川

JR新見駅前/ 岡山県最大の流域面積を誇る高梁川

川の対岸、国道側から新見駅方向を見るとこのような風景。鉄道模型ジオラマなんかでありそうな情景にも見える。

JR新見駅前 高梁川

JR新見駅前/ お昼時ではあったが人通りは少ない

さて、駅近くのレストランで食事をし、駅に戻ってくるとすでに列車は停車中。「青春18きっぷ」の期間でもないからガラガラなのかと思ったが思いの外乗客は多く、座席の1/3くらいは埋まっていた。

近頃よく「輸送密度1,000人/日」というワードが出てくるが、ともすると日に3往復しかないこの路線では列車1運行あたり約166人の乗車が必要。これは全ての列車が全区間満員で運行されても達するかどうか微妙なラインの数字で、それが毎日続くという仮定はさすがにしづらい。

JR新見駅 芸備線443D

JR新見駅/ 姫新線芸備線が同じホームから出発

ちなみに輸送密度の計算式は「年間輸送人キロ÷営業キロ÷365日」だそう。つまり、必ずしも同時に全員乗車している必要はないのだが、とはいえ全長16m強しかない1両編成の列車に166人も乗車することは物理的にできるのだろうか。

ともあれ、向こうのホームに13:13発の伯備線岡山行き普通列車が停車しているのを横目に出発。2023年に入って岡山地区では新車が導入され始めたから、次回訪れた際には全く景色が広がっているかもしれない。

JR新見駅 芸備線443D

JR新見駅/ 10名弱の乗客で出発

新見を出てしばらく伯備線を進み、最初の停車駅が布原駅。同駅は伯備線の列車も通るにも関わらず、停車するのは今回乗車した芸備線普通列車5.5往復のみ。川沿いにあってあまり利用者の多くなさそうな駅ではあるが、それにしても停車する列車が少ない。そういえば台湾で似たような景色の駅を見たことがあるような。

JR布原駅 芸備線443D

JR布原駅/ 芸備線の列車しか停車しない駅

出発から10分ほどで分岐駅の備中神代駅に到着。少し信号待ちの停車があったのち扉が閉まり、芸備線の単独区間に入った。新見駅近くを散策していた際にはまだぎりぎり曇り空だったのだが、この頃には比較的強い雨が降るように。

芸備線443D 車窓

JR備中神代駅/ 同駅で伯備線から分かれる

新見駅出発から40分ほどで東城駅に到着。この駅の辺りは路線の中では相対的に大規模な建物が多く、路線の中では賑わっている町の雰囲気。同駅前からは広島駅行きの高速バス、福山駅行きの路線バスが運行されているようで、新見と備後落合にしか出られない鉄道というのはいささか利便性が悪いのかもしれない。

(広島バスセンター公式による路線案内はこちら)

www.h-buscenter.com

芸備線443D 車窓

JR東城駅/ 沿線では比較的栄えている町

その東城から終点の備後落合までの区間は2023年時点のJR西日本で最も乗客の少ない区間。輸送密度は「9人」だそうで、荒っぽい計算をすると1日3往復の列車には平均して1.5人しか乗客がいないということになるだろうか。

ただ、沿線住民が路線を大事にしているというのも事実のようで、例えば途中の内名駅のホームにある待合スペースには季節の花が活けられているのが見えた。もう1ステップ進んで活用されるようになるといいのだが、往復で利用しようとすると朝7時に出て14時に帰ってくるとか、15時に出て19時に帰ってくるといった使い方しかできず、なかなか活用しづらいダイヤになっているというのも事実。

芸備線443D 車窓

JR内名駅/ 待合室には花が生けられていた

終点の備後落合駅の1つ手前、道後山駅もこの本数とは思えないくらいに立派な駅舎。ホーム側には芸備線の存続を願う横断幕が掲げられていた。

芸備線443D 車窓

JR道後山駅/ えらく立派な駅舎のある道後山駅

道後山駅を出ると少し駅間が開いて、約15分で終点の備後落合駅。線路そのものは除草もされていて割と綺麗だったが、雨のせいもあるだろうか、木々が線路脇から垂れ下がっていて、これにぶつかりながら進んでいく。尤も、速度は自転車より少し速いくらいなので、当たったところでそれほど問題はなさそうではあった。

芸備線443D 車窓

芸備線443D/ 木が雨の重みで垂れ下がっている

そうこうしているうちに終点の備後落合駅に到着。本数が少ない割に同駅での接続は工夫されていて、写真に見えていない1番線から出発する木次線も含めて3方面からの列車が全て近しいタイミングで到着し、また出発していくようになっている。駅には別の列車でやってきたと思しき乗客が数人列車を待っていた。

以前別の機会にここから「奥出雲おろち」号に乗車したことがあるが、同列車は車両の老朽化によって2023年11月に運転を終了してしまった。観光列車を失ったいま、木次線の末端区間の行く末も気になるところ。芸備線も状況としては似たようなものといえ、駅そのものがなくなってしまう可能性もないとはいえない。

(かつて走っていた「奥出雲おろち」号についてはこちら)

biketourist.hatenablog.com

芸備線443D 備後落合駅

JR備後落合駅/ 各線への乗換えは待ち時間数分

備後落合駅からは別の列車に乗換えつつ引き続き芸備線で、一旦三次駅を目指す。

というお話。