便名 : 奥出雲おろち号
日付 : 2021/11/xx
区間 : 備後落合(12:57)→木次(15:57)
乗車クラス : 普通車指定席(全車指定)
運行 : JR西日本
広島駅から3時間30分かけて備後落合駅に到着。ここもまだ広島県庄原市で広島県内なのだが、えらく遠くに来たような印象を覚える。
(ここまでの移動はこちら)
気が向いたら別途記事にするが、備後落合駅は小高い丘の上にあって駅前は車が数台停車できる程度のスペースしかない。訪れたのはちょうど木々が色づき始めた頃で、日射しも相まってなかなか素敵な雰囲気。
ひととおり駅周辺の散策を終えた12時40分ちょっと前に、木次方面から乗車する「奥出雲おろち号」が到着。機関車1両、客車2両の3両編成で、木次側に機関車が連結されており、備後落合駅には客車を先頭にして到着。
特に車内清掃のようなものはなく、全ての乗客が降車するとすぐに乗車可能になり、早速乗車。
この「奥出雲おろち号」、客車はトロッコ車両と普通の客車の2両つなぎ。ただ、指定席はそれぞれの座席ごとではなく、客車2両の同一席番を一人で占有するような販売方法になっているのが特徴的。この影響で1運行で乗車できる人数がかなり絞られているうえ、バスツアー等で利用する乗客も多く、個人利用の場合は手配がなかなかの難易度。
今回、手配できたのが通路側席だったこともあり、トロッコ車両を避けて座席車に着席。ちなみに、指定席を確保するのに裏ルートなんてものは勿論なく、空席状況が照会できる「サイバーステーション」を小まめに確認した結果だと申し添えておく。
座席は簡易リクライニングで、直立か全開しかない昔ながらの座席。一見すると回転しないようにも見えるが、背もたれを思いきり前傾させると座席が回転する機構になっている。このタイプはあまりに久しぶりで、何度もペダルのありかを探してしまった。
備後落合から木次までは約60kmで車だとものの1時間くらいの距離だが、この列車はこれを3時間かけて進むから、出発するとかなりゆっくりしたスピードで走っていく。ちょうど紅葉が始まった頃というのもあって、沿線には多数のカメラマンの姿。同じ車を何度も見かけたから撮影しては先回りを繰り返してるんだろうか。
出発して30分で三井野原(みいのはら)駅で、ここから島根県。どうやらJR西日本のなかでは最も標高の高い駅でその標高は727m。駅前にはスキー場らしき設備が見える。
三井野原駅から次の出雲坂根駅までは約6kmで、1駅の間に大きく高度を下げながら進む。急坂に強い道路は赤いアーチ橋と大きなループ橋を含む「奥出雲おろちループ」で高度を下げていくのに対し、坂に弱い鉄道は「スイッチバック」という設備でここを下りていく。ここでは2回前後を入れ換える「三段式」という方法が採られており、全面展望スペースになっている客車からその様子をちょっとだけ見学。
そろそろと坂を下りきったところにあるのが出雲坂根駅。「延命水」が有名で、駅近くには水汲み場が設置されている。ここでは折り返し準備も含めて約20分の停車。駅前の広場にはちょっとした売店が設置されており、名物の焼き鳥(120円/1本)を購入。
停車中にちょっとだけ車内見学。トロッコ車両の座席は板張りで、冷暖房の設備はない。この日でも割と肌寒い瞬間はあったので、これ以上秋が深まっていくと走行中は寒いかもしれない。
トロッコ車両の座席は基本的にボックスで4人一組。グループ客向けの座席構成になっているから、一人で乗車する場合は控車のほうが快適かな、という感じ。
停車中に先ほど買ってきた焼き鳥で遅めの昼食。往路便は車内販売や駅での立ち売りなどが色々あるようで、今回も何かあれば買ってみようかと思っていたが、復路はほとんどそのようなものは見当たらず、結果として出雲市に着くまでの間に無予約で手に入る食糧はこれだけ。ただ、途中駅で蕎麦を持って待っている店員さんの姿が見えたので、予約をしておけば手に入るかもしれない。
(往路を中心として、乗車中に手に入る食事については以下サイト参照)
出雲坂根駅から40分ほどで亀嵩駅。駅舎で蕎麦屋が営業しており、列車到着時にも食事中のお客さんの姿が一瞬見えた。
亀嵩駅の次の出雲三成(いずもみなり)駅で2度目の長時間停車。駅舎にはお土産を購入できる売店が併設されている。この日は備後落合から乗車していたツアー客が下車し、ここから終点の木次までは少し空席が見られるように。といっても、満席でも常にどちらかの車両の座席は空いているわけで、元々そんなに混んでいる感じもしなかったが。
出発から3時間ちょうどで終点の木次(きすき)に到着。ここでは2分乗換えで宍道行きの列車が待っている。構内踏切を渡っての乗換えで割とタイトだが、最後の乗客が乗車するまで少し待ってからの発車。
そんな訳で今回は復路だけ乗車したが、フルで楽しむには往路かなという印象。もし食事に特にこだわりがないのであれば、復路でもいいかもしれない。なお、既報のとおり、この「奥出雲おろち号」、現時点では2023年度での運行終了が発表されていることから、もし乗車を狙っている場合はできるだけ早いうちにトライしてみた方がいいかもしれない。
というお話。