便名 : JR宇都宮線/烏山線•325M(普通列車)
日付 : 2022/12/xx
区間 : 宇都宮(07:11)→烏山(08:02)
所要時間 : 00:49
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : 590円(現金決済)
運行 : JR東日本
大宮駅から新幹線に乗ってやってきたのが宇都宮駅。ここからは未乗のJR烏山線に乗って終点の烏山駅を目指す。
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烏山線は東北本線で宇都宮から2つ目、宝積寺(ほうしゃくじ)駅から分岐するローカル線。列車は1時間に1本あるやなしやという感じで、夕方以降の数本を除いて宇都宮駅まで直通している。
ところでこの路線、首都圏のJR線では珍しくSuicaが利用できない。それゆえ、宇都宮駅では新幹線で到着後一旦改札口を出て、久しぶりにJR線の切符を購入した。運賃は終点の烏山駅までで590円とそれなりのお値段。どうやら約30kmほど離れているらしい。
ホームに降りると列車は既に停車中。あまり見慣れない見た目をしている緑色の列車はEV-E301という形式の車両2両編成で、この路線のみで運用されている。ドアは半自動扱いになっていて、ボタンを押してドアを開けるシステム。
車体には「ACCUM」の文字。「蓄電池」を意味する「Accumlator」からこの愛称になっているのだそう。ちなみに同じ愛称ではあるものの全く違う見た目の車両が秋田県の男鹿線でも活躍している。
列車は3つドアでオールロングシート。ドア配置こそ異なるが、窓は首都圏を走る通勤型の電車と共通だろうか。座席が硬いのはJR東日本のここ最近の車両と同様。
場所が場所だけに殆ど誰にも見られていないが車内連結面側の上部には液晶があって、この列車の構造を紹介する映像が流れている。この車両、電化区間では蓄電し、架線のない区間では蓄電された電力で走るという構造になっているので、通常の電車が走れないような場所をも走ることができる特徴がある。その結果、かつては同線で走っていたディーゼルエンジン駆動の気動車を一掃して今に至っている。
電化されているのはオレンジ帯の東北本線部分と、終点の烏山駅構内。列車は宝積寺から烏山駅までを蓄電池で走り、烏山駅に着くと充電して復路を走るような仕組み。
縁起の良さそうな「宝積寺」駅があるからだろうか、烏山線の路線図には七福神が描かれている。宝積寺から先の烏山線単独駅、下野花岡から烏山までがちょうど7駅ということもあり、各駅には1駅ずつ七福神が関連付けられている模様。
そういえば、この列車の車内にはほとんど「中吊り広告」の類が掲出されていなかった中で、唯一出ていたのがJR東日本によるSuicaの自社広告。にも関わらず、烏山線ではSuicaが使用できないという妙なことになっていた。
列車は定刻通り宇都宮駅を出発して最初の2駅間は東北本線を走るのだが、どういう訳かこの列車は思いの外騒がしく、しばらく掃除機のような音を響かせながら走っていた。その後宝積寺を出ると少し静かになったから、蓄電池のせいだったのだろうか。
宇都宮から宝積寺まではそれなりにキビキビ走っていたが、そこから先、烏山線に入ると最高速度は65km/hだそうで、かなりのんびりとした足取りに変わった。約5分に1駅のペースで走っていくと、出発から50分ほどで終点の烏山駅に到着。先頭車両の上には架線が敷設されていて、停車してしばらくすると充電が始まった。
降り立った烏山駅は駅舎が思いの外新しく、調べてみると2014年に供用開始されたそう。「ACCUM」の充電設備と同タイミングで整備されたのかもしれない。そんな同駅に関連づけられている七福神は「毘沙門天」。悪魔、魔物、災害などを防ぐ神様なんだとか。
新駅舎は屋根が地面まで伸びている変わった意匠。余談ながら、この烏山線、1968年の国鉄赤字路線の存廃議論の際に一旦廃止されかけたという経緯があるのだそう。ただし、当時首都圏近郊の各路線と比較した際に、他線区との比較で相対的に収支が悪くなかったという理由で廃止を逃れている。
ただ、JR東日本発足から30年以上経過した今日では、旅客数が発足時と比較して約6割減少しているそうで、現在は「運営方法について検討を進めている」状況。日中時間帯の工事運休や、18時時点で運転を見合わせている場合には以後終日運休*1など、過去になかった取り組みを始めているとはいうが、いずれにしても当時とは異なった状況で再び存廃が問われ始めている。
08:02に到着した列車は約20分充電し、08:26発の宇都宮行きとして折り返す。携帯電話なんかは充電を繰り返すとバッテリがダメになってしまうが、電車の場合、蓄電池が劣化して走りきれないようなことは起きないんだろうか。流石に片道30kmすら走りきれないということはないだろうが。
今回は同駅で単純に折り返すことはせず、「乗換案内」アプリを調べていたら出てきた、駅前から出発する那須烏山市のコミュニティバスに乗換える。以前はこのようなコミュニティバスの情報は手に入らなかったが、近頃は公共交通機関の情報が手に入りやすくなって、随分計画が立てやすくなった。
というお話。