便名 : JR吾妻線・525M(普通列車)
日付 : 2022/08/xx
区間 : 高崎(08:53)→大前(10:41)
所要時間 : 01:48
乗車クラス : 普通車自由席
運行 : JR東日本
とある夏の日、青春18きっぷが余ってちょっと郊外へ。やってきたのは早朝の上野駅。
乗車したのは同駅を06:26に出発する前橋行きの普通列車。上野駅の時点でも6時台前半とまだ十分に早朝だが、この列車の始発は熱海で、現地を04:30に出発したらしい。
上野から高崎までは普通列車で約1時間50分。それほど混雑する時間帯でもなかったが、ゆっくり座っていきたいということでグリーン車に乗車した。眺望を取る場合は2階だが、車体形状ゆえ揺れることもあって個人的には1階のほうが好み。なお、1階だろうと2階だろうと荷物棚はないから、荷物を置く場合は車端部の平屋部分がおすすめ。
道中殆どの時間を寝て過ごし、起きたのは高崎ひとつ手前の倉賀野駅。駅名標の東京側が二股に分かれているが、これは今乗って来た高崎線と八高線が同駅の熊谷方(厳密に言えば新町駅までの中間地点)で合流することによる。
高崎駅には08:15頃到着し、次に乗車する吾妻線の普通列車までは約40分の待ち合わせ。吾妻線は終点の一駅手前、万座・鹿沢口まではある程度の本数が確保されているが、今回乗車する大前までの列車となると日に4本しかなく、今回乗車する08:53発の列車に乗り遅れると15時台まで列車がない。
SLの数多く走る群馬県らしく、コンコース内には蒸気機関車の動輪を模したディスプレイが置かれている。蒸気機関車の動輪と言うと遠目から見ればそれほど大きく見えないが、間近に見ると結構な大きさでびっくりする。
ホームに降りると、階段の目の前には発車案内の電光掲示板がある。これは時間の表示がなく、「種別」と「のりば」表示されない高崎駅でしか見かけないタイプ。かつては各方面に特急列車が走っていたはずだが、その当時から使われていたんだろうか。
そうこうしているうちに前橋方面から列車が到着し、折り返し08:53発の大前行きに表示が変わった。列車は4両編成で、高崎近郊は比較的利用者が多いこともあり、出発時点ではちらほら空席があるという程度には座席が埋まっていた。
列車は高崎を出発して新前橋まで上越線・両毛線と、渋川まで上越線と線路を共用している区間を進む。高崎から新前橋までは数年前までもう少し本数が多かったはずだが、COVID-19による乗客の減少もあり、高崎まで来ずに新前橋で折り返す列車が増加したことで便数が減り、少し不便になってしまった区間。
吾妻線内に入ると吾妻川に沿って蛇行しながら進むとともに駅間が短くなり、地方の中小私鉄に乗っているような感覚をを覚えるように。途中駅にはホームの真横に駐輪場が開設されている駅もあり、なかなかローカルな雰囲気。
そんな中、岩島駅を出発するとしばらくトンネルの中を走行。以前はこの辺りも渓谷沿いを走っていたようだが、「八ッ場ダム」の建設に伴い線路が付け替えられたのだそう。ちなみにかつて有名だった、日本最短の鉄道トンネルは旧線の岩島-川原湯温泉駅間にあったんだとか。
川原湯温泉駅は真新しいガードレールが見えるものの、あまり人気は無さそうな雰囲気。あとになって思い出してみると、駅前に家が1軒建っていたような気もする。
川原湯温泉駅の次が長野原草津口駅。駅名の通り草津温泉のアクセス駅で、ここで乗客の大半が下車していった。ただ、列車内からホームを眺める限り、特に観光地といった雰囲気はあまり感じず。尤もここから草津温泉まではバスで約25分かかるようなので、それも当然と言えば当然か。
長野原草津口駅を出発すると車窓には一瞬廃線跡が見えるが、これは1970年代初頭に廃止された太子(おおし)支線。もうすでに50年近く経過しているにも関わらず、割と分かりやすく遺構が残っているというのも珍しいような。
群馬大津駅を出発すると次が羽根尾駅。元貨物駅だったそうで、駅構内はだだっ広いという言葉が似合う。同駅が最後の行き違い可能駅で、ここから先の区間では列車の行き違いをすることはできない。
長野原草津口駅から約15分で万座・鹿沢口駅に到着。JRの駅では珍しく、駅名に「・」が入っている同駅は割と立派な高架橋の上にあり、後に線路を増設すれば行き違いができるような構造になっている。
今回は一旦終点の大前駅まで乗り通し、1駅歩いて万座・鹿沢口駅まで戻ってくる計画を立てている。両駅間は約3km足らずで、歩くことも比較的容易な距離。
それにしても、時期が時期ということに加え地方のそれほど乗客の多くない路線ということを考慮しても、この列車は車内広告の少なさが目立つ*1。個人的には、割と車内の広告の数とその内容は景気の動向を如実に表しているような気がする。
そうこうしているうちに列車は終点の大前駅に到着。同駅はホームのみで改札の類がないから、Suica等は使用できない。そもそも吾妻線全線でもSuicaが利用できるのは渋川、中之条、長野原草津口と万座・鹿沢口の4駅しかない訳だが。
ホームはちょうど4両分しかないものの、線路はもう少し先まで延びている。というのも、かつての繁忙期はホームよりも全長の長い特急列車なんかが折り返し作業のためにここまで来ていたことがあったらしい。
本数がえらく少ないこともあり、かなり荒廃した駅をイメージしていたのだが、思いの外駅周辺は整備されていて、踏切なんかは真新しくさえ見えた。地図を見ると嬬恋(つまごい)村の役場が近くにあるから、村の中では割と栄えている地域なのかもしれない。
■ 駅周辺の地図情報
ホームの中央部分には申し訳程度の待合室が設置されている。時刻表を見ると、この駅は到着する本数よりも出発する本数のほうが多い。どうやら始発の1本はどこかから回送列車でやって来るらしい。学生の通学用だろうか。
ホーム上には数人の乗客がいたが、見るに乗って来た列車でそのまま折り返す旅行客の模様。前述の通り、私はここから徒歩で万座・鹿沢口駅へ戻ることに。
昨今取り沙汰されている「輸送密度1,000人」を達成しようとすれば、1列車当たり100人は乗車しなければならず、それには遠く及ばなさそうな同路線の終端区間。何か改善の糸口があればいいのにとは思うが、現状はなかなか難しそうな印象を受けてしまった。
というお話。