日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【搭乗記】NH1894(八丈島/東京羽田)


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便名:ANA1894
日付:2020/01/xx
区間:八丈島(HAC)13:55→東京羽田(HND)14:50
区間マイル:177

32Gという機材をご存じだろうか。

www.ana.co.jp

その機材は2019年の夏、突如ANAのホームページに現れた。機種はA320で、座席が180席。見るとWi-Fiは装備されておらず、「他の機材より座席間隔が狭い」という注釈までついている。

よくよく調べていくと、先日吸収合併により消滅したバニラエアの飛行機を最小限の改造でANAが利用することにしたもので、ざっと見たところでは、八丈島のほか、岩国、徳島、秋田路線なんかに就航している。当初噂になっていた、ANA単独路線狙い打ちというのはさすがにやめたようだ。

この機材が投入されるから前後の便よりも価格が安くなる、ということはないらしく、LCC品質でANA料金という価格設定。やむを得ないときはともかく、当該便を積極的に利用する理由がまるで見当たらない。

近年、ANAの機材選定が酷く、機材不足なのは傍目から見てもわかるが、だとしても、どういうつもりで改修もせず、そのままの内装で就航させたのだろうか。国際線の新プロダクトでエコノミーが横9列から10列に変わったことしかり、上級クラスはともかく、普通席に関しては乗客への配慮がJALに大きく劣っている気がする。

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天気が今一つ

ともあれ、当日は空港巡りがてら、羽田から朝一の飛行機で八丈島へ初訪問。といっても滞在時間は5時間あまりで、昼の便(2便と呼ばれているようだ)で羽田に戻る日程。

訪問を直前に決めた(前日)関係で、レンタカーの手配も間に合わず、徒歩+バスで島を散策。到着したときは曇天で、なんのインフォメーションもなかったものの、昼前から小雨が降りだし、空港に戻ってきてみれば条件付き運航に変わっていた。

視程はさほど悪くなく、風もほとんど吹いていないから、恐らく大丈夫と思っていたけれど、飛行機以外で移動できない離島で条件付きというのは、やっぱり内心はひやひやもの(数年前に利尻島で欠航になり、島流しに遭いかけたことがある)。

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電光掲示板はなし

少し早めに手荷物検査場を通過したところ、よくある地方空港といった感じで、制限区域内には売店もなく、時間を持て余した(お手洗いしかなかった)。出発15分前くらいから搭乗が始まり、比較的早い段階で搭乗。

搭乗前、この便はWi-Fiの設備がない機材だ、というのを放送していたけれど、なにも知らない乗客にとっては足元が狭いほうがよほど大事な情報な気がする。

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あちこちにバニラの面影が

通路を後方へ進んでいくと目につくのがギャレーの黄色いカート。そのほか、カーペットは紫で座席は黒と、荷物棚に鎮座するブランケットの青が浮くほど、ANAらしさは一切感じない内装。それにしても、他の機種と比較して、1席当たりのシートピッチの差は数cmのはずなのに、前から見ても随分座席が詰まって見える。

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30F

シートピッチは詰まっている一方で、座席の厚みは最近のレガシーキャリア機材より厚め。さすがに厳しいと思ったか、バニラでは以後の導入機材で座席を他社の薄いものに変えたとか。

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足が組めるほどの余裕はない

座ってみると、座席そのものはそんなに座り心地の悪いものではない。

とはいえ、この便では隣に人がいなかったからまだ良いものの、隣席に乗客が来た場合には完全に身動きがとれず、かなり苦しい。少なくとも、隣席に人がいようがいまいが足を組めるほどのスペースもない。それどころか前席の肘掛けを上げられたとき、張り出した肘掛けに膝がぶつかる程度の間隔。

その上、元々LCC機材だったから、Wi-Fiはともかくとして、オーディオ設備もない。一昔前はWi-Fiにしてもオーディオにしても、ないことを特に何も思わなかったけれど、ここ数年ではどちらも当然の設備になった感がある。設備がないことがサービス格差と感じるようになったあたり、時代の流れを感じる。

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半分くらいの搭乗率

普段よりさして大きい機材が飛ぶ路線ではないこともあり、これだけの席数では乗客もまばら。概ね定時に、満席にはほど遠い搭乗率で出発。

液晶もついていないから、件の歌舞伎ビデオはなく、安全装備はデモンストレーション。八丈島くらいのごく短距離ならすぐ着くからよいけれど、オーディオ設備もないとなれば、携帯に何か落としておかないと、寝るくらいしかない。

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滑走路端でUターン

この頃になると結構雨が強くなってきて窓を濡らすようになった。離陸と同時に雲に入り込んだのが眠気を誘って、起きたときには羽田に着陸する直前。下手に起きていて身動きとれず苦しむよりは、寝てしまう方が快適だと思う。

到着はJAL側の34Lで、空港内を走り回り、降機は最近お馴染みのボーディングステーション。地方路線ばかり利用している影響もあるだろうが、ここ最近、ANAの便でまともにターミナルに到着する便に乗った記憶がない。どうせならまだ見ぬサテライトに発着する便に乗ってみたいのだが。

バスでターミナルまで送還されてこの旅程は終わり。その途中、VIPターミナル前を通過したのだけれど、これが羽田で一番利用難易度の高い施設。普通に生きているうちは、利用する機会が恐らくないだろう。

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ステーション内部

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ステーション外部

今回の32G、一部報道によれば約1年使用することになっているとか。

この便に搭乗して、「短距離ならLCCも悪くない」とはなることはあるかもしれない。一方で、「また乗りたい」とはまるで思えないわけで、ANAを評価する要素が見当たらない。レガシーキャリアだと思って乗った機材がこれだとすれば、何を思うやら。

また乗ろうとは思わないこの機材、行く末を興味深く見守ってみようと思う。