西武流山線からの脱却、というお話。
9月のとある日、柏を訪れたついでに流山おおたかの森にある温浴施設に立ち寄ったのち、都心に戻る途中で流鉄流山線の流山駅にやって来た。ちなみに流山おおたかの森駅から流山駅までは東武バスセントラルの路線バス「南流02」系統に乗り、流山市役所入口のバス停から10分ほど歩くことでアクセスすることができる。
(流山おおたかの森駅前の温浴施設はこちら)
www.ryusenjinoyu.com市役所脇の坂道を下って駅の方へ向かうと、車庫から飛び出すようにこの辺りでは見慣れないオレンジ色と緑色の帯の車両が停まっているが、これは2025年7月に同線にやって来た、元JR東海の211系車両。これまで静岡あたりの東海道線で活躍していたが、新型車両の導入に伴って千葉県まで譲渡されてきた。
同線で走る車両はここ3世代ほど西武鉄道の中古車だったから、突如としてJRの車両がやって来るというのは中々の衝撃。尤も、供給元の西武鉄道自身が他の大手私鉄から中古車の譲渡を受けているくらいだから、ちょうど良い出物がなかったのかもしれない。静岡からの輸送に際しては、車両側面の窓に流鉄のキャラクター「りゅうのしん」のイラストが掲げられていた。
今回、2025年7月に譲渡されて来たのは2両編成が4本の計8両。これまで走っていた車両とは全く異なるから譲渡されてすぐに運用開始とはならず、少なくとも2026年度以降になるんだとか。
車庫の脇の道をしばらく歩いていくと、流山駅の駅舎が現れる。この時間帯の列車は1時間あたり3本程度の運転で、片道の所要時間10分強の馬橋と流山の間を2本の列車が行ったり来たりしている。相変わらず交通系ICカードは使用できず、券売機で切符を購入して駅構内へ。
(以前乗車した際の記録はこちら)
未稼働の車両が8両いるものの、流山駅の構内はまだ幾分余力がある状況。かつては3両編成の車両もいたところ、現在はすべて2両編成に統一されているから、一時的に編成数が増えたとしてもトータルの車両数としてはまだ問題なさそうな水準。現役の車両が未稼働の車両の奥に押し込まれているから、稼働する際には入換が面倒くさそうではあるが。
211系車両はまだ車両前面のJRマークが残っているなど、まだ何ら改造は施されていない模様。種別が「通勤快速」となっているのは遊び心だろうか。
最も手前に停まっている車両は前面のオレンジ色の帯が褪色してしまっている。これまで同線では編成ごとに異なる塗装を施し、愛称を冠してきていたが、この車両はどうなるんだろうか。「青空」号として帯を青く塗れば、かつて馬橋駅で隣の線路を走っていた常磐線の415系のように見えるかもしれない。
日中、流山駅は改札口前の1番線のみを使用していて、2番線では5000系「あかぎ」号がパンタグラフを下げて留置中。こちらの車両は検査期限が到来するとかで、新車両の登場に先立って2025年9月に引退した。
先代車両との代替わりでつい最近登場したような気がしていたが、同線での営業開始は2012年だそうで、13年間活躍していたことになる。鉄道車両の税法上の減価償却が13年間だから、ちょうど償却が完了したタイミングでお役御免という感じだろうか。
ちなみにヘッドマークは馬橋方、流山方の両方に設置されていて、それぞれ異なる絵柄のものになっていた。遠くから見れば割と綺麗な車両だが、よくよく見ると塗装が浮き上がっている箇所もあり、それなりにお疲れの模様。
つくばエクスプレス開業、その後COVID-19による大打撃を受けつつも、衝撃の次世代車両を導入した流鉄流山線。趣味的にはしばらく目が離せない状況が続きそう。
というお話。