便名 : 伊豆箱根鉄道駿豆線•23列車(普通列車)
日付 : 2025/08/xx
区間 : 三島(08:09)→修善寺(08:46)
所要時間 : 00:37
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : 550円(クレジットカード•タッチ決済)
運行 : 伊豆箱根鉄道
東京を出て、群馬県で前泊する日程…なのだが、伊豆箱根鉄道の修善寺駅で販売している駅弁が美味しいと聞いて、群馬へ向かう前に立ち寄ってみることにした。
お目当てのお店は9時に営業開始すると聞き、東京駅を7時ちょっと前に出発するこだま号に乗車、新幹線に揺られること1時間弱で三島駅に到着。同駅が起点の伊豆箱根鉄道駿豆線に乗換えて修善寺へ向かう。
伊豆箱根鉄道は西武鉄道の子会社で、神奈川県の小田原駅を起点にする大雄山線と、今回乗車する駿豆(すんず)線の2路線を運営する会社。鉄道のほか、同社の子会社が伊豆半島や箱根エリアで路線バスなども運営している。
(別路線の大雄山線についてはこちら)
東京方面から修善寺駅までは日に数本、在来線特急の「踊り子」が直通しているが、一番早い列車でも東京駅発が09:00、三島駅を出発するのは10:40とまだ少し時間があるため、三島駅始発の普通列車に乗り込む。尤も、線内での待避はないから、先発した列車が終点まで先行するダイヤになっている。
三島駅ではJRと駅構内で繋がっているが、同線は交通系ICカードが使用できない。一方でどうやらクレジットカードのタッチ決済が利用できるらしく、一旦改札外に出て乗換えた。ちなみに以前利用した「羽田三島シャトル」の乗り場は駿豆線改札口の目の前。
(羽田三島シャトルについてはこちら)
停車していた車両は3両編成で、セミクロスシートの座席配置。運転席は京急の2000形、800形と同じ右手ワンハンドル式で、どことなく外観も似通った雰囲気を感じる車両。ちなみにこれは車両メーカーが東急電鉄の当時の新車に提案したデザインの流用なんだとか。
2025年現在の普通列車はワンマン運転で、車掌乗務時代は全線で所要時間が30分台前半だったところ、現在は30分台後半で三島と修善寺の間を結んでいる。
列車は3ドアで、側面だけを見るとJRの211系車両とほぼ同様。今回は乗車する機会がなかったが、この車両の製造と時を同じくして製造された7000形車両は三島駅からJR東海道本線への直通が計画されていた時期があるというから、もしかするとその他の車両もJRの仕様に寄せていたのかもしれない。
車体の外観は211系と類似しているが、車内は座席の仕切りがパイプのみになっているなど、どちらかといえばその前世代の113系寄り。よくよく見るとロングシート部の吊り革はずいぶんカラフルになっている。
座席はいわゆる「バケットシート」ではなく、腰周りのクッションも割と厚め。暖色系の座席表地というのはあまりJRでは見かけず、東武線の快速列車用車両だった6050系と似通った雰囲気。いずれにしても30分ちょっとの乗車時間であれば十分な設備。
今回、修善寺方の先頭車両に乗車したが、運転席直後の壁面には「サイクルトレイン」の案内ステッカーが掲示されていた。駿豆線では平日は日中時間帯、土休日は早朝から夕方までの上下線の列車に、1列車あたり6台までは輪行袋に自転車を格納することなく搭載することができるのだとか。
(「サイクルトレイン」についてはこちら)
駿豆線は全線で約20kmで、全13駅の路線。三島駅出発直後の数駅が1kmに満たない、比較的短い駅間距離で駅が開設されていて、最も間隔の開くところであっても3kmほど。途中の大場駅付近に車両工場があり、大雄山線を含む全車両の整備を同工場が担っている。ちなみに大雄山線と駿豆線は直接接続していないから、両路線間の回送はJR線を介して行われる。
三島駅の駿豆線ホームを出発すると、踊り子号や大雄山線車両の回送で使用されるJR線との連絡線と合流したのち、左にカーブして東海道本線と離れていく。線路はS字カーブを描いて、最初の三島広小路駅に到着。ここは三島駅から1kmちょっとで踊り子号は停車しないが、比較的乗降の多い駅。
列車は三島広小路、三島田町、三島二日町と停車し、大場(だいば)駅に到着。この時間帯は上下線ともに約10分に1本列車が運行されているから、単純計算で約5分に1度、概ね2-3駅進むごとに1度、対向列車とすれ違う機会がある。
やって来た車両は今乗車している車両とは製造された時期が異なるため大きく見た目が異なるものの、形式的には同じになっている。余談だが、2016年にテレビで放送された「逃げるは恥だが役に立つ」の作中に登場したのがこの車両。
大場駅を出ると、線形の良い直線区間上にある伊豆仁田、原木、韮山と停車して、次の踊り子号の停車駅である伊豆長岡駅に到着。「韮山反射炉」へは韮山駅ではなく伊豆長岡駅の方が近いようだが、それでも駅から約2km、徒歩30分ほどを要する模様。
列車は行き違いがあるため島式ホームの2番線に到着したが、対向列車がない場合は上下線関係なく改札口前の3番乗り場を発着するとか。ちなみに1番乗り場の向こうには、以前使用されていた貨物ホームがそのまま存置されている。ホーム上の看板は更新されているものと暫く放置されているものがあるようで、ものによっては随分傷んでいるものも。
伊豆長岡からは踊り子号も隔駅停車で、修善寺駅までは1駅通過、1駅停車を繰り返す。田京駅を通過すると、次は大仁(おおひと)駅に停車。同駅で修善寺方面に向かう列車は両側にホームがあるが、現在使用されているのは進行方向右側のホームのみ。
どうやらこの大仁駅、約100年前の修善寺延伸以前は終着駅だった時代があり、当時は2面3線だったのだそう(現在は1面2線)。ホーム上にはかつて蒸気機関車が運行されていた時代の名残りだろうか、洗面台が設置されている。ここから東京へ向かう途中には丹那トンネルがあるから、当時は車内に煙が入り込んでいたのかもしれない。
ともあれ、列車は定刻通りに終点の修善寺駅に到着。日中は2,3,4番線を中心に使用されるようだが、今回乗車した列車は修善寺駅到着後に回送になるからか、端の1番線に到着した。こちらの到着と入れ替わりで、3番乗り場からは西武鉄道から譲渡された車両で運行される08:49発の三島行きが出発。
先日別の機会で訪れた流鉄流山線では同型車両の後継車両への置換えが計画されているが、こちらはどうなるだろうか。三島駅で線路が接続されている路線でまとまった数の中古車が発生していた訳だが、導入されている様子は見られない。流鉄と違って西武鉄道との資本関係があるから、また次回も中古車が供給されてくるだろうか。
(流鉄流山線についてはこちら)
伊豆半島というと天城のわさびのイメージが強いが、どうやら伊豆市では椎茸も特産品になっているらしい。「やばい旨み」という若い言葉が使われているのも珍しい。
修善寺駅ではお目当ての駅弁を手に入れたのち、再び三島へ向けてとんぼ返り。単純往復は芸がないが、駅前を発着するバスは河津駅や伊東駅といった伊豆半島の東側に向かう路線が中心で、今回のルートとは合わなかった。とりあえず、目的のお店は開店の準備を進めているようで、休みではなく一安心。
というお話。