便名 : 上田電鉄別所線•29列車
日付 : 2024/02/xx
区間 : 上田(15:00)→別所温泉(15:27)
所要時間 : 00:27
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : 590円
運行 : 上田電鉄
群馬で用事を終えたのち、次の予定まで少し時間があった。何をしたものか考えた結果、少し北上して長野県上田市を走る上田電鉄を乗り潰すことに。
高崎駅を14:00に出発する北陸新幹線のあさま613号に乗ると、14:34に上田駅に到着。新幹線の改札を抜けてしなの鉄道の改札前を通過し、駅南側の温泉口へ向かう通路の途中に上田電鉄の改札口がある。
今回乗車する上田電鉄別所線は上田駅と別所温泉駅を結ぶ全長10kmちょっとの路線。親会社の上田交通株式会社はロゴが東急グループのそれの色違いになっている通り、東急が半数弱の持分を所有していて東急グループの血の強い企業。
かつては優等種別の運転もあったようだが現在は全て普通列車で、時間あたり1-2本程度の運行。路線距離の割に駅数が多く、駅間が最長でも1.5km程度とかなり短い間隔で駅が設置されている特徴がある。
片道の所要時間は約30分程度で、両端駅ではかなり余裕を持った折返し。今回乗車する15:00発の列車は別所温泉駅から14:30に到着するので、東京方面からの新幹線が14:34に上田駅へ到着してすぐ上田電鉄の乗り場に向かったとしても、列車はすでに乗車可能な状況。ちなみにホームは新幹線、しなの鉄道のホームに対し概ね45度の角度がついているので、改札口から乗り場までは若干距離が離れている。
車両はかつて東急で日比谷線へ直通していた1000型電車。上田電鉄でかつて活躍していた「丸窓電車」の窓の形を模したデザインの「まるまどりーむ」号が出発を待っていた。
外観としては丸窓が特徴的だが、内装は壁板が木目調になっている他は比較的オリジナルの雰囲気を残していて、肌触りの良い表地にガチガチに詰め物の入った硬めのロングシート座席も東急時代そのままという感じ。
車両へ乗り込むと、ドア上の広告には上田名物のお菓子「みすゞ飴本舗」の広告が掲出されていた。この「みすゞ飴」というのは果物の果汁に寒天とグラニュー糖、水飴を加えてゼリー上にしたもので、一般にイメージする「飴」よりはグミに近い。
(「みすゞ飴」についてはこちら)
列車はちょっと走って停車し、再び次駅へ出発という感じで、割とのんびりした雰囲気。ちなみに路線ほぼ中間地点の下之郷駅で別所温泉駅からの上り列車と行き違った。どうやらこの日はすれ違った編成と2編成体制で運行している模様。
同駅の脇には車庫が設置されており、その一角にはかつて同線で活躍した、東急の「青ガエル」の亜種、5200系車両が留置されていた。この車両、日本初のステンレス鋼で製造された形式なんだとか。
30分弱電車に揺られると、終点の別所温泉駅に到着。駅は上田盆地、特に塩田平と呼ばれる辺りの最奥部にあり、標高500m超えの山間部にある限られた平地に小ぢんまりと開設されている。現駅舎は1950年に供用開始されたそうだが、2008年に改装され現在は洋風のデザインに改められている。
駅周辺は「温泉」と名のつく駅名にしては割と閑静で、ぱっと見駅近辺には温泉施設がないから、待ち受けていた何台かの温泉旅館に向かう送迎車が出発していった後は郊外の住宅街にある終着駅のような雰囲気。同じ信州にある長野電鉄の終着で、温泉街という点も共通する湯田中駅とはまた少し違った雰囲気。
(湯田中駅についてはこちら)
この別所温泉は1400年の歴史を有し、信州最古の温泉と呼ばれることもあり、街には国宝や重要文化財が点在しているのだそう。余談ながら「日本」最古の温泉としては、愛媛の道後温泉が文献上残っている最古の温泉として挙げられているとか。
別所温泉駅の上田方には、先ほど乗ってきた「まるまどりーむ」号の元になった、5250形電車が静態保存されている。この日は扉が閉じられていたが、足場の組み方を見るに時折車内の様子も公開しているんだろうか。
この車両、別所温泉駅まで営業運転されたのち、自走でこの場所に入ってきたんだとか。リベットの多い車両まで近づいてみると、戸袋窓が特徴的な丸窓になっているのが見て取れた。
乗降扉に記されている「半自動ドア」とはどういう意味なのかと思って調べてみると、どうやら開けるのは手動で、閉じるのは自動という扱いになっていたらしい。それにしても、文字は割と綺麗に残っているが、どこかのタイミングで修繕されたんだろうか。
そんなこんなで別所温泉駅に到着、乗ってきた列車の折返しで上田駅に戻って次の目的地へ向かった。時間があればどこか外湯の一つくらい立ち寄ってみてもよかったのだが、それはまたの機会ということで。
というお話。