日本の迷い方

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【乗車記】福井鉄道福武線•急行62列車(田原町/たけふ新)


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便名 : 福井鉄道福武線•急行62列車
日付 : 2024/04/xx
区間 : 田原町(17:23)→たけふ新(18:13)
所要時間 : 00:50
乗車クラス : 普通車自由席
運賃 : 450円(現金決済)
運行 : 福井鉄道

諸々用事を終えて福井駅前のコートヤード•バイ•マリオット福井をチェックアウト。19時発の名古屋行き高速バスまではまだ少し時間があり、未乗区間の乗り潰しを進めることに。

(前日からの宿泊先はこちら)

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余談だが、JR福井駅前の観光案内所は屋上が展望デッキになっていて、隣接するえちぜん鉄道福井駅の様子が見えるようになっている。新幹線の開業直後、この駅の様子が「鉄道模型のよう」と話題になっていたが、実際訪れてみると確かにそんなようにも見える。

福井駅の展望デッキからえちぜん鉄道福井駅

福井駅/ 鉄道模型のような車両

今回乗車する福井鉄道福武(ふくぶ)線の始発、田原町駅までは件のえちぜん鉄道で向かう。福井駅からは三国芦原線勝山永平寺線が出ているが、今回乗車するのは三国芦原線のほう。この路線、かつては京福電気鉄道の路線だったのだが、2000年代初頭に連続して発生した衝突事故の末、第3セクター方式で現在のえちぜん鉄道が設立されて今日に至っている。

車両はかつてJR東海飯田線で走っていた車両を改造の上使用している。側面の窓割りを見ると若干面影が残っているが、正面は近い時期に移籍してきた元愛知環状鉄道の車両を揃える形でだいぶ手が加えられているため、ぱっと見ではJR(国鉄)の車両だったとは思えない仕上がり。

えちぜん鉄道福井駅と三国線の列車

福井駅/ 田原町までは三国芦原線に乗車

2つの路線はそれぞれ全長が30kmに満たない距離ではあるものの20以上の駅があり、単純計算では約1kmに1駅といった感じ。「越前開発」や「太郎丸エンゼルランド」といった、あまり見慣れない駅名の駅は一体何があるのか興味深い。ちなみに越前開発駅はかつてホームの狭さが有名だったらしい。現在は拡幅されたようだが。

えちぜん鉄道三国線の路線図

えちぜん鉄道の路線図/ 距離の割に駅が多い

前述の通り、列車は元々JR(国鉄)出身ということで、扇風機には「JNR」のロゴが残ったままになっていた。そもそも車内に扇風機のある車両というのがだいぶ減ってはいるが、JRの車両でも殆ど見かけることは無いような。

えちぜん鉄道三国線の扇風機(国鉄マークつき)

えちぜん鉄道/ 国鉄マークつきの扇風機

ともあれ10分ほどで田原町駅に到着すると、ちょうど乗換先の福井鉄道の列車も到着したところ。LRT形の車両がやってくるとばかり思っていたが、そこにいたのはかつて名鉄岐阜市内線なんかで活躍していた少し腰高の車両だった。

駅構内には自動券売機があり、ここで乗車券を購入してから乗車。自動改札はないので、食堂の食券のような非磁気の乗車券が出てきた。なお、今回は硬貨が多くなりすぎたので現金で購入したが、クレジットカードや一部のQRコード決済なんかも利用できる模様。一方で、交通系ICカードについては準備工事の形跡はみられたがまだ稼働はしていない様子。現時点では2025年3月頃に利用開始となる計画だとか。

福井鉄道福武線の車両 元名鉄

田原町駅/ かつては岐阜市内で活躍していた車両

ホームから床面までは少し高さがあるため、ドアが開くと自動で展開するステップが車両に内蔵されている。かつては更に大柄な普通の鉄道車両が走っていたそうで、当時の姿を一度見てみたかったような。

福井鉄道福武線の車両 元名鉄

田原町駅/ホームは路面電車の高さに直されている

車両の座席は駅のベンチのようなFRPのフレームに座布団がついたような、少し変わったデザイン。思ったほど乗り心地は悪くなく、1時間ほどの乗車時間であれば特に問題はなかった。

福井鉄道福武線の車両 元名鉄

福井鉄道福武線/ Suicaは2025年春からの予定

列車は田原町駅を出ると軌道区間は各停留所に停車し、商工会議所前電停の先にある「鉄軌道分界点」の先は急行運転。割と保線状況は良好のようで、最高速度は65km/hまで出せるにも関わらず、揺れもなく快適。

ところでこの路線で特徴的なのは、駅前後にあるトンネル状の小さなスノーシェルター。雪から分岐器を保護する役目を果たしているんだとか。個人的には福井県がどれほど雪が降るのか、まだあまりイメージを持てていないのだが、金沢、富山の市街地と比べるとこのスノーシェルターや街中の消雪パイプといった除雪、融雪関連の設備が多いような印象がある。

福井鉄道福武線の車両 駅とスノーシェード

浅水駅/ 意外と列車頻度は高め

単線ではあるものの思いの外列車の運行頻度は高く、急行停車駅の幾つかと、そのほか時々通過駅でも行き違いのために停車する、というような感じ。

福井鉄道福武線の車両 駅とスノーシェード

神明駅/ ポイントごとにスノーシェードがある

この列車、前述の椅子の他に連結部なども特徴的。かつて千代田線で走っていた車両もこんなキノコ型の連結部だった記憶があるが、地下鉄を走る関係上、火災防止だか何だかで埋められてしまっていたから、どこか懐かしさを感じる。

福井鉄道福武線 急行列車の車内

福井鉄道福武線の車内/ 独特な内装の多い車両

終点の1つ前、字の並びの割に難読駅名の北府(きたご)駅に到着すると、同駅の留置線には除雪用の大きな雪かきをつけた車両や、奥の方には引退した車両が保存されている様子が見えた。どうやらここが車庫になっている模様。

同駅を出発すると大きく左に右にカーブして、約600mで終点のたけふ新駅に到着。同駅は2010年に「武生新」から「越前武生」に改称したものの、今回2024年に開業した北陸新幹線の「越前たけふ」駅と駅名が重複し、元々存在した福井鉄道の方が「たけふ新」に再改称するという珍しい経歴をもつ駅。

隣には新型でLRT型車体のF1000形車両が普通列車として出発を待っていた。なお、たけふ新駅は駅員配置駅で、乗車券は運転士ではなく改札の駅員さんに手渡す運用。2つの車両を横並びにしてみると、横幅が新型車両の方が広く、また、高さも若干高いように見える。それでいて床が低いわけだから、その分室内の天井が高いということになるだろうか。ちなみに、先日別の機会に乗車した宇都宮のライトラインの車両はこの車両がベースになっているとか。

(宇都宮の「ライトライン」についてはこちら)

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福井鉄道福武線 たけふ新駅と車両

たけふ新駅/ 新型車両の方が若干大柄

たけふ新駅到着後は、再びハピラインふくいに乗換えて福井駅に戻り、そこから高速バスに乗車する予定なのだが、列車の出発までは30分ちょっとの時間があった。先ほど北府駅に停車したときに見えた旧型車両を眺めに歩いて一駅戻ることに。

線路沿いの道を約10分歩くと北府駅前に到着。駅前にはちょっとした広場とパークアンドライドの駐車場があり、その一角にはかつて同線で活躍していた200形車両が展示されていた。この車両は1962年に登場し、2016年まで活躍していたんだとか。返す返すも現役で活躍していた頃の様子を一度見てみたかった。

福井鉄道福武線 北府駅の保存車両

北府駅/ ここ数年のうちに整備された広場

留置線を見ていると、悠々と構内を歩く猫に出会った。なんの警戒もせずにのんびり歩く姿を見るに、どうやらかなり慣れている様子。ちなみに右手に見える車両は元名古屋地下鉄の車両だそうで、定期運行はされていないものの廃車にはなっていない模様。

福井鉄道福武線 留置線と猫

北府駅/ 悠々自適な猫が構内を闊歩していた

片道10分ほどかかるとなると30分後の列車まではあまり時間に余裕がないわけで、北府駅には5分ほどの滞在時間で撤収。たけふ新駅までは10分ほどで戻ってきたが、そこからハピラインふくいの武生駅までは近いように見えて案外400m弱の距離が離れていた。

■地図情報

福井鉄道福武線 たけふ新駅の駅舎外観

たけふ新駅/ 武生駅までは約400m

何とか駅には出発時刻の3分ほど前に到着したが、列車は階段を渡った中線からの出発。階段を上って下りてホームに着くと、ちょうど列車が到着したところ。この列車に乗って19時前に福井駅に到着し、高速バスに乗換えて名古屋へ向かった。

(高速バスについてはこちら)

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というお話。