便名 : かもめ84号
日付 : 2022/11/xx
区間 : 長崎(13:18)→武雄温泉(13:44)
所要時間 : 00:26
乗車クラス : 普通車指定席
運行 : JR九州
長崎空港から空港リムジンバスで長崎駅までやって来た。
(ここまでの移動はこちら)
先の記事でも触れた通り、現在長崎駅前は再開発の真っ只中。かつて在来線の地平ホームがあったところには大きなロータリーと新しい商業施設を建設中で、この施設の上層階には2023年の秋頃「長崎マリオットホテル」が開業予定。
そういえば、駅前のデッキには新幹線の開業を願う看板が残っていた。左下に「平成34年開業予定」という記述がある辺り比較的昔からあるもののようで、長崎県としてはようやく悲願叶ったということになるだろうか。そろそろ「祝開業」だとか、他のデザインに変えてもよいかもしれない。
大通りからしばらく仮設の通路を進むと駅舎に到着。在来線と垂直に新幹線が交差する上、ホームがかなり高いところにある鹿児島中央駅と違って、駅舎入口から上を見上げると割と近いところに乗車予定の新幹線が停車している様子が見える。
この日チケットは事前に携帯電話から「ネットきっぷ」を予約しており、駅の自動券売機で発券。せっかくネット予約ができるのであれば交通系ICカードと紐付けてタッチで乗車するだとか、チケットを発券せずとも乗車できるといいのだが。リレー方式では九州新幹線同様のEX-ICは難しいとしても、現在JR東日本が検討しているというQRコード式の乗車券なんかが導入されて徐々に変わっていくことを期待。ともあれ、無事チケットを入手し改札口を通過した。
2022年9月の部分開業時点では新幹線は長崎-武雄温泉間のみで、武雄温泉駅でリレー特急に乗換える形式。以前の九州新幹線(鹿児島)の部分開業の際と同様に、長崎駅の電光掲示板と新幹線には乗換後のリレー特急の行先が表示されている。
エスカレーターでホームに上るとまだ列車は清掃中。割とダイヤに余裕があるからか、清掃作業も東海道新幹線なんかと比べるとのんびりしている。なお、2022年の開業当初は「かもめ」の単一種別だが、行先表示の「かもめ」の背景色が東海道新幹線と同様に区別されていて、赤が「ひかり」、青が「こだま(=各駅停車)」という感じ。
新幹線のデザインはJR九州といえばの水戸岡鋭治氏のデザインで、車両外観にはロゴがたくさん。「かもめ」の文字は当時のJR九州社長が揮毫(きごう)したのだそう。この会社は何かと社長が筆を取ることが多い印象があるが、せっかくなら書道家だとか、プロに任せるほうが良いような*1。
長崎駅は天井が高くかなり開放的な雰囲気。ホームは4線あるが、2022年9月の開業時点では車両が6両編成4本しかおらず、通常は3本使用して1本が予備になっている模様*2。したがって、当面はホームがすべて新幹線で埋まるということはなさそう。
駅ホームの駅名標には大きな「かもめ楽団」のポスターが掲示されているが、これは西九州新幹線開業を祝して2022年夏から初秋にかけて実施された取組み。各駅ごとに500名弱が募集され、「Happy Birthday」の曲を演奏したんだとか。
ホームは将来的に8両編成を想定しているんだろうか、新幹線の駅にしては珍しく車両前後に比較的余裕がある。ここから新幹線を前方から眺めてみると、前頭部に黒いロゴがついているのが見える。先頭の目立つところにエンブレムを設置するのがここ10年ほどのJR九州の流行りにも見えるが、個人的にはシンプルなデザインに惹かれる今日この頃。将来的にデザイナーが引退すると、同社の車両はどうなっていくんだろうか。
進行方向に小高い山が見える通り、出発してすぐに列車はトンネルに入っていく。博多に向かって進行方向左手に一瞬大村湾が見える瞬間はあるが、武雄温泉までの所要時間25分程度のうち、体感的には8割近くがトンネルのような印象。
ちなみに前述の再開発中の駅前広場がこちら。舗装されている部分もまだ整備途上という感じで、次回訪れた時にはまた違った様子になっているかもしれない。
そうこうしているうちに乗車できるようになったが、この時ちょうど先頭車付近にいたので自由席を見物していくことに。ちなみに編成は博多寄り3両が自由席、長崎寄り3両が指定席で、グリーン車は連結されていない。
自由席の座席は黄色一色で、短距離だからだろうか、座席の枕カバーが省略されている。天辺にマジックテープが貼られているから元々は設置するつもりだったように見えるが、実際のところはどうなんだろうか。
※追記 2022年12月に別の機会で同路線を利用した際に枕カバーが設置されているのを確認。そんなに突貫で開業した訳でもなかったような気がするが、開業時には準備が間に合わなかったんだろうか。
開業から間もない路線らしく、車内には記念乗車と見られる人が多数。私自身も含め、方々で記念写真を収める様子が見られた。ちなみに乗客の数は目測ながら半分も乗っていないかなという感じ。
一通り見回って指定席車両へ移動。自由席車両は2列+3列の横5列配置だが、指定席は2列+2列の横4列配置。自由席は東海道・山陽系統の車両と同じに見えるが、指定席は九州新幹線と同じものだろうか。新幹線の開業によって長崎に来られなくなってしまった「36ぷらす3」とも類似しているように見える。率直に言えば、見た目のインパクトを除けば自由席の座席の方が出来はいいかもしれない。
(「36ぷらす3」についてはこちら)
列車は定刻通り13:18に長崎駅を出発。この列車は武雄温泉までの途中駅は諫早(いさはや)のみ停車する速達タイプ。トンネルをひた走って諫早駅に着き、しばらくすると左手に大村湾が見えたと思えばあっという間に再びトンネルに突入と殆ど車窓には期待できない感じ。なお、それほど速度は出ていないのか、車窓の流れ方は全力疾走という感じではなく、割と流して走っているような雰囲気がある。
長崎駅出発から20分くらいのところで武雄温泉駅到着のアナウンス。デッキに出るとショーケースがあって、ここには大村市のキャラクター「おむらんちゃん」と特産品なんかが展示されている。
そんなこんなで13:44に武雄温泉駅に到着。3分の待ち合わせで同駅始発の「リレーかもめ84号」に乗換える。ここまでは指定席で移動してきたが、乗換先の「リレーかもめ」には具合のいい座席*3が見つからず自由席に移動する。新幹線からの乗継ぎ以外にも多数乗車するせいだろうか、新幹線の指定席の数とリレー列車の指定席の数が一致していない印象。
なお、3分と言うと割とタイトにも見えるが、実際にはイメージしているよりは時間があり、今回のような編成の後ろから先頭方面に移動するような乗換えでも間に合った。
新幹線の開業によって所要時間は短縮された一方で、ものぐさな私としては対面とはいえ乗換えがちょっとめんどくさい。よほど急ぐでもなければ、乗換えのない高速バスでもいいかな、というのは今回利用して思ったところ。JR九州の在来線は博多から離れるほど保線がいまひとつで乗り心地が悪かったから、少なくともこの点は改善されているのだが。