便名 : 13便
日付 : 2022/01/xx
区間 : 鹿児島中央駅(14:30)→鹿児島中央駅(15:50)
乗車クラス : 普通席(全席自由)
運行 : 鹿児島市交通局
年末年始に自転車で鹿児島までやって来た際、3時間ほどの空き時間ができてしまった。とはいってものんびり観光をするほどの時間はなく、久しぶりに鹿児島市街地を周遊する「カゴシマシティビュー」に乗車することに。思い返すと幼い頃から数年ごとに乗車している。
(公式サイトはこちら)
始発地は鹿児島中央駅で、桜島側、駅東口ロータリーの「東4」乗り場からの出発。1運行あたり所要時間は約70分ほどで、市内一周観光をしてもとの場所に戻ってくる。なお、同様の経路で鹿児島交通も「まち巡りバス」として運行しているが、こちらは2022年8月現在全便が運休しているとのこと。この「まち巡りバス」は後から参入したうえ、鹿児島市電・市営バスの一日乗車券では利用できないからメジャーな移動手段になりきれていない印象があるが、参考情報として記載しておく。
(参考までに「まち巡りバス」についてはこちら)
余談だが、鹿児島のバスはすべての会社が全国規格の交通系ICカードを利用できない。鹿児島独自規格の「ラピカ」もしくは「いわさきICカード」を利用するか、現金で支払うことになる。なお、運賃は現金の場合1乗車あたり大人190円(小学生以下100円)で、鹿児島市交通局が発行する「一日乗車券」も利用可能。
この路線、数年ごとにちょこちょことルートが変わっているが、2022年1月時点のルートは鹿児島中央駅を出発したのち直進してナポリ通りを進み、2019年まで「西郷どん」の大河ドラマ館があった場所で左折、一瞬電車通りを走ってから高見馬場の交差点を右折*1、鹿児島随一の繁華街である天文館エリアへ進んでいくというもの。この「天文館」というエリアの名称*2は1779年に島津重豪(しげひで)が天文観測所「明時館(めいじかん)」を設置したことに由来するんだとか。なお、こういった情報は適宜バスのアナウンスで紹介される。
2022年1月現在、天文館のど真ん中では再開発が進行中。以前この場所には「タカプラ」という商業施設があったのだが、一旦更地化したのち「センテラス天文館」という商業施設が建設されていて、ほぼ外見は出来上がった状態だった。その後2022年4月に開業したというから、記事を投稿した2022年8月現在では賑やかに人々が行き交っているはず。
そんな天文館を越えると、バスは市電「朝日通」電停脇を左折し、西郷隆盛像の前を通過しながら城山を目指す。城山については以前紹介したことがあるが、ここは鹿児島市街地と桜島が一望できる鹿児島でも有数の景勝地。展望台に近いところには「城山」バス停があり、途中下車して30分後のバスに乗るようなスケジュールでも十分観光することができる。なお、道中には「西郷洞窟前」バス停があり、バス停近くには西郷隆盛が最後の5日間を過ごした洞窟がある。ここはバス停から近いうえ、城山から帰ってきたバスが8分後に再度立ち寄るので、この8分の間に観光することもできるかもしれない。
(「城山展望台」についてはこちら)
バスは城山からしばらくは来た道を折り返して坂を下り、国道10号線にぶつかると東へ進んでいく。途中、「城山入口」交差点近くにある石垣は鶴丸城跡で、ここにはところどころ西南戦争時の銃痕が残っているのがバスの中からでも確認できる。ここから一瞬国道10号線に入り、JR日豊本線をオーバークロスした後、大通りから外れてかなり細い坂道を上っていくと現れるのが「南洲公園」。ここには西郷隆盛ほか薩摩の有名人のお墓がある。
南洲公園を出発して「篤姫」の生まれた今和泉(いまいずみ)島津家の本邸跡前を通って大通りに戻り、トンネルを抜けると仙巌園(磯庭園)に辿り着く。ここは桜島を借景にした大名庭園。現在は敷地の一角に薩摩切子の工場も併設されていて、営業時間内であれば見学することもできる。
(「仙巌園」詳細についてはこちら)
今回は時間がなく立ち寄ることはできなかったが、バスの車内からも正面JR日豊本線の線路越しに桜島を望むことができる。
仙巌園前を出発するとJR日豊本線を踏切で横断し、しばらく海沿いの旧磯街道を走っていく。ただこの辺りは年中渋滞が起きているところで、現在道路の改良工事が実施されているからもしかすると将来は道路が少し海から離れてしまうのかもしれない。
ちなみにこの辺り、道路山側には「両棒餅」のお店が数軒建っている。「両棒餅」は「ぢゃんぼもち」と読み、お餅に二本の串が刺さっているというもの*3。とろみのついた餡の味はみたらし団子に近いもので、幼い頃は海水浴帰りに旧磯街道沿いのお店に立ち寄ったりしたものだが、専門店を訪れなくとも先に紹介した仙巌園のなかでも販売しているので、興味があればお試しあれ。なお、市街地の飲食店ではあまり見かけないような気がする。
道路が少しずつ内陸に入っていくと再び市街地に戻る。バスは途中、桜島行きのフェリー乗り場のある「かごしま水族館前(桜島桟橋)」にも立ち寄るから、ここから桜島へフェリーで渡ることも可能。ここから徒歩5分ほどでアクセスできる「かごしま水族館前」はシドニーのオペラハウスに似たデザインの建物で、脇の水路では不定期にイルカが運動している。このスペースは屋外で、タイミングが合えば入場料を払わずともその様子を眺めることができる。
(桜島フェリーについてはこちら)
桜島桟橋の隣接地には2020年まで商業施設「ドルフィンポート」があったが、営業終了から2年を経過した今では綺麗な更地になり、次の施設の建設を待っている状態。路面電車を延伸するやら、サッカースタジアムが建設するやらといった噂もあるが、どうなるんだろうか。個人的には眺望を損なうような背の高い建物を建てるのは勿体ないと思ってしまうが、これはたまにしか訪れない部外者の意見。
なお、このドルフィンポート跡地の海側には「ウォーターフロントパーク」なる公園があり、天気が良ければここからでも桜島を眺めることができる。天文館エリアからでも徒歩10分程度なので、バスで観光するほどの時間はないというときや、近辺のホテルに宿泊した際の朝のお散歩なんかにも良いかもしれない。
■ 地図情報
ともあれ、跡地の横を抜けると再び天文館で、鹿児島名物として有名な「白熊」の有名店「天文館むじゃき」の本店*4はこのバス停から徒歩5分ほど。天文館を出ると5分ほどで終着の鹿児島中央駅に到着。以前はあと15分ほど所要時間が短かったような気がするが、頻繁に渋滞で遅延していたから、少し余裕を持たせたんだろうか。
なお、本来は途中下車しながら観光するためのバスだと理解しているが、今回のように1周降りずに乗車するということも可能。バスの後方には窓の多い開放的なスペースもあるから、ここで外を眺めるというのも面白いかもしれない。道中はアップダウン・カーブ共に多いから、手すりなどにしっかり掴まっておくことを忘れずに。
車社会の鹿児島とはいえ街中でいちいち駐車場を探すのは面倒だから、公共交通機関で観光するのも悪くない。概ね30分に1本と便数も多く、市街地の主要な観光ポイントは網羅されているので、鹿児島観光の際は活用してみてはいかがだろうか。
というお話。