日本の迷い方

旅の知恵袋になりたい、という話

【乗車記】けごん7号(浅草/下今市)


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便名 : けごん7号
日付 : 2021/07/xx
区間 : 浅草(08:00)→下今市(09:39)
乗車クラス : 個室
運行 : 東武鉄道

2021年夏に発売されていた、「東武デジタルきっぷ」。別件で利用し1日目で元は取ったが、残り1日分、特に予定なく余ってしまった。せっかくなので何処かへ行こうと、日帰りで日光を訪れることに。

訪れたのは早朝の浅草駅。個人的には別に浅草から乗車する必要もなかったのだが、どうも東武で出掛けるときには浅草から乗車したくなってしまう。

東武浅草駅 外観

(@浅草駅前)リニューアル前のレトロな感じも好きだった

ビルのなかに無理矢理押し込んだような浅草駅だが、贅沢にも4線中2線は特急専用。まだこの時間はさほど本数が多くないからか、かなり早い時間に乗車する「スペーシア」が入線してきた。改札外のタリーズで飲み物を確保し、特急改札口を抜けて早速乗車。

東武浅草駅 特急のりば 中間改札

(@浅草駅)写真左手が中間改札

この日乗車したのは浅草側先頭車にあるコンパートメント(個室)。「しまかぜ」のような観光列車はともかく、定期列車で個室がある列車というのは今やかなり珍しい存在。そういえば最近スペーシアはデビュー時の塗装に戻されているが、この日は紫色の「雅」編成。

スペーシアけごん7号 雅編成

(@浅草駅)未だに見慣れない色合い

1号車には個室のみ全6室。割に稼働率が低いのかと思っていたが、乗車するに当たって検索してみると、比較的多くの列車で満室になっていてびっくりした。

スペーシアけごん7号 1号車 個室

(@1号車)厚手の絨毯でかなり静か

車内は至るところの金具が金色に塗装されていて豪華な雰囲気。というのも、登場はバブル期で銀座東武ホテルのデザイナーが車内をデザイン、かなり気合の入った投資がされているとか。

個室は4人用で、中央には大型のテーブル。

スペーシアけごん7号 1号車 個室

(@1号車個室)机にも金のモール

通路側を見ると個室のドアには窓がついているが、先頭車でそもそも人通りが少なく、時々車掌さんと他の個室利用者が通るくらいで外から覗かれるというようなことも殆どない。ちなみに座席上にはそれぞれ荷棚があり、小さなスーツケースくらいなら置くことができる。

スペーシアけごん7号 1号車 個室

(@1号車個室)下りは進行方向向かって右手が通路

足元にはコンセントとゴミ箱。今回は早朝で利用する機会がなかったが、携帯の電池が心もとなくなった復路なんかはコンセントの存在が助かるかもしれない。

スペーシアけごん7号 1号車 個室

(@1号車個室)通路側座席の脚あたり

列車は出発すると右に曲がりながらゆっくりと隅田川を渡り、とうきょうスカイツリーに停車。駅名は違うものの、都営浅草線・京成線の押上駅から東京ソラマチの中を抜けて徒歩10分ほどでアクセスすることができるから、千葉方面/品川・神奈川方面から日光方面へアクセスするときにはこの駅を利用するのも1つの選択肢。

10分ほどすると北千住で、この駅は中間駅にして珍しく特急専用ホームがある。また、ホーム上空には改札階と日比谷線が重なっており、地上駅なのに地下にいるような独特の雰囲気がある駅。ここでも個室は特に誰も乗車してくることもなく発車すると、北千住を出てしばらくは複々線区間を進む。

ところでこの「スペーシア」、前述の通りかなり豪勢な造りになっているが、それはインテリアに限った話ではなく、構造面、たとえば床の造りにも反映されており、かなり分厚い構造になっているのだとか。その甲斐あって走行音は殆ど車内に入って来ず、スピードが出ている割に速さを感じないのが何とも不思議な感覚。速度の把握には音から得る情報というのも大きかったのかもしれない。

北千住から20分ほどで春日部に到着。ここは「クレヨンしんちゃん」で有名な街で、駅のメロディもそれに乗じて同アニメの主題歌が使用されているほか、駅名標など所々にキャラクターが使用されている。

余談だが、発車メロディの曲、使用されている部分歌い出しの歌詞は「パニック パニック パニック みんながあわててる」だそうで、これほど発車メロディに似つかわしくない選曲も珍しいかもしれない。東武は私鉄の中でも割にお堅いのかと思っていたが、意外に?ユーモアに富んでいる。

春日部駅 駅名標

(@春日部駅)発車メロディは「オラはにんきもの」

春日部を過ぎてしばらくすると徐々に田畑が増え始め、栗橋を過ぎた辺りからは徐々に山が近づいてきた。

スペーシア けごん7号 鹿沼付近 車窓

(@鹿沼付近)ここから徐々に森を走る時間が増える

栃木を過ぎる頃から徐々に森のなかを走る時間が増え、しばらくすると今回の下車駅である下今市(しもいまいち)に到着。個人的には日光というとどことなく遠いイメージがあるが、2時間弱で来られるから思っているほど遠くない。

この列車は東武日光行きだが、今回はこの下今市で下車。人気の「ゆばむすび」が下今市駅近くの道の駅で販売されていると聞いて、徒歩で10分ほどの「道の駅日光 日光ニコニコ本陣」へ向かった。

そういえば、下今市の駅はSLが走るようになったのを機に、駅のサインがどことなく懐かしい国鉄書体に変更されている。東武はSLを複数車両導入しており、ここ最近の日光鬼怒川地域に対する力の入れ様は目を見張るものがある。

スペーシア けごん7号 下今市駅 駅名標

(@下今市駅)SL仕様で駅全体がレトロな雰囲気

今回利用したスペーシアの個室、1人2人で利用する場合は少し割高だが、人数が増えるほど手軽に利用することができ、4人で利用する場合には800円ほどの追加で済む。ちょっと奮発していつもと違う旅にしてみるのも良いかもしれない。

というお話。