便名 : 快速はまゆり2号
日付 : 2023/06/xx
区間 : 釜石(07:41)→盛岡(10:01)
所要時間 : 02:20
乗車クラス : 普通車指定席
運賃 : 2,840円(クレジットカード決済)
運行 : JR東日本
東北地方、特に沿岸部の乗り潰しを終えて、東京へ戻る旅程。この日は午後に東京で用事があり、8時前に釜石駅を出るJR釜石線の快速「はまゆり」に乗って盛岡駅を目指す。
釜石は甲子川と山に挟まれたわずかな平地に駅と製鉄所があって、よくこんなに詰め込んだな、というような街。市街地は細長く、国道283号線に沿って、今回乗車する釜石線の洞泉駅あたりまで約10kmにわたって細長く続いている。
出発時刻の15分ほど前にホームに上がると、列車はすでにホームに据え付けられていて出発を待っているところ。釜石線の普通列車はワンマン運転のようだが、「はまゆり」は指定席が併結されていることもあってか、車掌さんが乗務している模様。
列車はJR東日本のローカル線でよく見かけるキハ110系車両だが、自由席車両は塗装が剥げ落ちて中々酷いコンディション。登場から30年を経過して老朽化は避けられず、一部は新型車両に更新されるようだが、この車両も対象になっているんだろうか。
乗車するのは3号車の指定席。便によって違うようだが、この日の編成は2号車も転換クロスシートの車両が組み込まれていたから、自由席、指定席の座席としてのグレードは一緒。元々は急行「陸中」として活躍していたそうで、「はまゆり」に指定席が連結されているのはその名残の模様。
座席は2列+2列の横4列で、座席間に肘掛けのないタイプ。平成初期に登場、更新された車両に多く導入された座席だそう。贅沢を言えば座面が少し低く、窓が少し高いのが若干気になるが、普通列車であれば十分な設備。
釜石駅を出発するとすぐに甲子(かつし)川を渡り、暫くの間釜石市と花巻市とを結ぶ国道283号線とともに並走する。海に近い駅周辺では川幅が比較的広いが、上流に向かうにつれ徐々に川幅は細くなっていく。
JR東日本のローカル線では「快速」とは名ばかりで殆ど各駅停車、といった路線も割と多いが、この列車は比較的停車駅が絞り込まれていて、釜石市街で小佐野、松倉と停車すると次の停車駅は約40分後の遠野駅。
釜石線の各駅にはエスペラント語の愛称が冠されていて、例えば松倉駅の愛称は「南十字星」。これは作家の宮沢賢治が内陸側の起点となる花巻市出身で、釜石線をモチーフとした作品を執筆していたことによるものだそう。
洞泉駅を通過して程なくすると、進行方向左手に赤い鉄橋が見えてくる。これは列車がのちに走る線路で、列車は遠回りをしながら徐々に高度を上げていく。このルートが記号のΩ(オメガ)と似ていることから、Ωループと呼ばれているとか。
列車は暫く山間部を走ったのち、岩手上郷駅の手前辺りで少しひらけた場所に出た。沿線には田んぼが広がっているが、この辺りは6月にしてまだ田植えをしてからそれほど経っていない模様。気候が全く異なるわけで、関東基準でものを考えるのも良くないが、関東では田植えというと5月頃のイメージがあるから少し不思議な感じがする。
列車は遠野駅を出発する辺りまでは順調に走っていたが、トンネルに入ったところで突然急停車。どうやら鹿とぶつかったらしく、携帯電話の電波も通じないようなところで点検作業が始まった。どれくらい掛かるものだろうかと思ったが、20分ほど経ったところで安全の確認が取れたようで運転が再開された。聞くとどうやらJR東日本管内の鹿と列車の衝突事故はこの釜石線と先日乗車した山田線とで約半数近くを占めるらしい。
(山田線についてはこちら)
列車は宮守駅、土沢駅と進んできたが、本来09:05発の土沢駅では暫く停車。どうやら概ね定刻で走っていた、同駅09:30発の対向列車を優先したようで、遅延は拡大して約25分遅れになった。
私はというと、この日釜石線を乗り潰してから東京に戻る予定で、一旦盛岡へ出てから東北新幹線で東京へ向かうことにしていた。ただ、遅延の影響で盛岡へ向かってしまうと予定していた新幹線に間に合わず、どうしたものか思案している間に新花巻駅へ到着。
所持していた新幹線の乗車券は「ダイナミックパッケージ」で手配した「やまびこ」で、盛岡駅を出ると再びこの新花巻駅へ戻ってくる。そのため、新花巻駅でこの「はまゆり」を捨てて同駅から新幹線に乗車するでもよかったが、中途半端に未乗区間が残ると後々面倒だというのもあって、そのまま終点まで乗車することに。
本来新花巻駅と花巻駅の間で交換する予定の列車を手前の駅でやり過ごしたため、10分ほど遅延を回復し、約15分遅れの09:40前に花巻駅に到着、ここからは進行方向を変えて盛岡駅へ向かう。定刻通りであれば花巻駅の停車時間は約8分で、すぐに出発すれば若干ながら遅れが回復できそうなものだが、列車は中々出発しない。
そうこうしているうちに、隣のホームから定刻09:46発の盛岡行き普通列車が出発して行った。こちらは花巻から盛岡まで途中1駅停車、所要時間28分なのに対し、普通列車は8駅停車の39分。その列車の後ろをついていくから速度は上がらず、一旦は15分遅れまで回復したものの最終的には25分遅れに戻って終点の盛岡駅に到着。いずれにしても新幹線は間に合わなかったから大して影響はないのだが、もう少しやりようがあったような。
当初の予定では、盛岡駅では7分の待ち合わせで東京行きの「やまびこ52号」に乗継ぐ予定だったが、この時点で既に列車は出発済。
ダイナミックパッケージの商品説明には「乗り遅れ時の救済措置として後続列車の自由席に乗車可能な場合がある」旨の記載があり、これが適用できるか窓口へ確認しに行ったところ、無手数料で次の列車の指定席へ振替えてもらうことができた。JRの在来線が遅延したことが原因とはいえ、直営の旅行商品だと融通を利かせてくれることもあるのがありがたい。
ともあれ、これで東北沿岸部の在来線の殆どを乗り潰し、東京へ帰ってきた。