場所 : 栃木県栃木市
時期 : 2022年12月第3週
日本国内では春、秋、冬に熱気球のレースが計4戦実施されているのだが、そのうち最も首都圏から近いのがこの「渡良瀬遊水地」で開催される大会。大会名は「熱気球ホンダグランプリ」で、その名の通りホンダ自動車がスポンサー。
風や雨によって中止になるなど天候に左右されやすい競技ではあるが、3日間の大会会期中に最大で日に2回(早朝、午後)の競技飛行が開催される。
■地図情報
この大会の特徴は良くも悪くも比較的観客が少ないところ。全国的に有名な佐賀県の「バルーンフェスティバル」はJRの臨時駅が開設されるほどで会場はごった返しているが、こちらは競技開始直前に会場に到着してもある程度良いポジションで観戦することが可能。
(佐賀の「バルーンフェスティバル」についてはこちら)
この日は04:00過ぎに都内を出発し、05:30頃に会場へ到着。駐車場は奥の方であればすぐに停めることができ、少し車内で暖を取ってから06:00過ぎに場所取りへ出発。
この大会では藤岡渡良瀬運動公園が気球の出発地点になっていて、築堤の上から競技の様子を眺めることができる。日によってスケジュールは異なるが、競技飛行は6時台後半からで、開始時刻の20分ほど前になると徐々に気球を乗せた各チームの車が入場、風向きをチェックしたのち設営を開始し始める。この頃になると徐々に観客が増えてくるが、それでもいくらか隙間はあるので、直前にやってきても何も見えないということにはならなさそうな。
なお、12月の北関東、しかも何も遮るもののない土手の上なので、十分に防寒をしておかないと風邪を引くには申し分のない環境。この日は手袋をして更にカイロを持っていたが、それでも十分寒かった。
しばらくすると気球を膨らませるためのバーナーの炎があちこちで上がり始める。これはかなり離れているのだが、炎が上がるとどことなく熱を感じる。手前側、木の後ろに見えているのが気球の球皮で、地面に置いてある状態だとこれが膨らむとは思えない見た目をしている。
徐々に明るくなってくるとともに、会場の端では各種のアトラクションがスタート。手前には2017年に登場したヤクルト食品工業の公式キャラクター「ヤクルトマン」の気球が膨らみ始め、追って横にはホンダのASIMOバルーンが登場。
しばらく経って、この日は06:50に競技スタート。球皮の中に空気を送り込む送風機の音が会場中に響き渡り、あっという間に気球が膨らみ始めるのがこのタイミング。
一足先に「ヤクルトマン」の気球が離陸し、かなり狭いところに気球が密集しだすと、間もなく各機が離陸し始める。飛行機のように加速する訳ではないが、垂直方向の上昇速度は思いのほか速く、あっという間に上昇していく。
一方で水平方向の移動速度はそれほど早くはなく、ふわふわと浮かんでいるのが気球の特徴。佐賀の大会と比べるといくらか参加している気球の数は少ないが、いつ見てもなかなか壮観な光景。
全機離陸したのちの会場内は幾分のんびりとした雰囲気。ASIMOの気球は引き続き係留されており、どうやら飛んでいくことはない模様。このASIMO、2000年に開発がスタートされたのち、2018年に開発が終了、2022年に実演から引退したのだとか。いつの日か、ASIMOのようなロボットが世間で活躍するようになる未来が来るんだろうか。
会場内にはいくつかの屋台が出ているほか。事前に予約が必要になるものの、その場で上昇する気球の搭乗体験なども実施されているので、競技の観戦を終えたのち、気球から朝焼けを眺めるというのも素敵かもしれない。
個人的にはドバイを訪れた際に気球に搭乗したことがあり、飛行機とは違う速度感で宙に浮く感覚は今でもなかなか忘れられない記憶として残っている。
早朝のレースであれば観戦を終えてなお07:00過ぎなので、渋滞に巻き込まれなければ09:00頃には都心へ戻ることも可能。年末の忙しい時期ではあるが、少し早起きして気球を眺めてみるというのも良いかも知れない。
ちなみに、会場近くには埼玉、群馬、栃木の県境が1ヶ所に集まる「三県境」というポイントもある。絶景という訳ではないが、併せて見に行ってみるというのも選択肢。
というお話。