便名 : スマイルライナー0003便(ソメイユプロフォン•モニター運行)
日付 : 2025/08/xx
区間 : 桟橋•高知駅前観光本社(19:15)→TDL•バスターミナル•ウエスト(07:40)
所要時間 : 12:25
乗車クラス : 上段シート
運賃 : 12,000円(事前クレジットカード決済)
運行 : 高知駅前観光
令和6年(2024年)11月に国土交通省から「フルフラット座席を備える高速バスの安全性に関するガイドライン」なるものが発表された。これによると、座席が前向き、転落防止、衝撃吸収の対応を図った上で、2点式シートベルトが設置されていれば、今までできなかった、座席のフルフラット化が認められるようになった。
(国土交通省の発表はこちら)
これに沿う形で開発されたのが、今回乗車する高知-東京間の夜行バスに搭載された「Sommeil Profond(ソメイユプロフォン)」という座席。割と保守的な日本の高速バス業界において、割と画期的なプロダクト。
(事業者公式サイトはこちら)
この日は日中高知県内、宿毛の方に用事があり、レンタカーで県内を横断。300km以上の距離を往復したのち、JR高知駅近くのスーパー銭湯に立ち寄った。汗を流してから駅前のレンタカー店に車を返却し、とさでんの路面電車に乗ってやってきたのが「桟橋通五丁目」電停。今回乗車するバスの始発「桟橋」バス停はこの電停から歩いて10分弱のところにある。

始発停留所は「桟橋通五丁目」電停を背に左方向へ進み、その後右折した先にある。8月に入ると日に日に日没が早くなってきていて、19時近くなるとだいぶ暗くなっている。

右折する交差点の近くには、高知県内に展開しているローカルチェーン店「くいしんぼ如月」の店舗がある。このお店は宮崎県のものとは少し違う「チキン南蛮」のお弁当が有名。割とホームページがふざけているが、出てくる商品は至って真面目。
(同店ホームページはこちら)

暫く歩いていくと、進行方向右手に高知駅前観光の本社兼車庫が現れた。同地に本社が移転してきたのは2020年と比較的最近になってからのようだが、以前の本社も「駅前」だった訳ではなさそう。どこの駅のことを言っているんだろうか。

この「桟橋」バス停こと高知駅前観光本社から発着するのは今回乗車する東京行きのみで、車庫の外周から見る限りは特段バス停のようなものが見当たらなかった。
恐る恐る敷地内に入ると、事務所ビルの脇に1台停車してトランクを開けているバスがあり、どうやらこれが今回乗車する「スマイルライナー(「ソメイユプロフォン」モニター運行)」らしい。外見上は同社の他のバスと同じで、「回送車」表示になっていたから、若干どこへ向かえばいいのか難儀した。

今回の座席はB1上段で、中央最前列の上段。乗り込む際は予約した名前を告げて乗車改札を行う。車両は土足厳禁になっていて、乗降口のステップで靴を脱いで車内へ。靴は下段の座席の下に置いておくスペースが用意されている。

極限まで座席のスペースを広げている関係で通路はかなり狭めになっていて、後方座席の乗客は斜めもしくはカニ歩きで自席へ向かっていく。車両後方出入口側にある化粧室は基本的に緊急用で、基本的にはSA/PAの休憩の際に施設の化粧室を利用して欲しい旨の放送があった。

フルフラット座席は各列8名で、合計定員は24名。通常の3列独立シートの夜行高速バスの定員が28名程度だから、1列+1列で横2列仕様の海部観光「マイフローラ」なんかと比べれば、それほど極端には乗車人数は減少していない。一応「座席」ということで座席車として運行することも可能なようだが、今回の路線ではベッドマットが敷いてあり、運行中に転換することは想定していなさそう。

フルフラットという条件を除けば、客室内が壁で仕切られている車両は昼行•夜行合わせていくつかあるが、上半身部分が布で仕切られているだけのこの車両の構造でもそれなりに個室感はある。ちなみに仕切り布は下が留められている訳ではないので、所々で物を落としている音がした。
(昼行だが、例えばこの路線)
biketourist.hatenablog.comモニター運行で発覚した問題点については順次潰し込みがされているが、とはいえ座席廻りに余裕があるではないから、基本的には荷物はトランクへ収納する事になる。今回はボディバッグを持っていたから、フレームに吊るしておくことで収納スペースを確保した。

ちなみにA列、C列頭上の荷物棚はこんな大きさ。小さめのリュックサック程度であればぎりぎり格納できるかな、といったサイズ感。このスペースを複数人で共有することになる。

枕元の小物入れはペットボトルで言えば500mlのもの2本分くらいの大きさ。例えば飲み物を入れておくだけでも、座席の上に転がしておくよりは幾らかましになる。ちなみに2025年8月現在では各座席への電源の設置はされていないので、モバイルバッテリーなんかを利用する場合にはここへ入れて利用する事になるだろうか。

座席の横幅は通常の3列独立シートの座席とほぼ同水準で、その両側にフレームが付いているような形状なので、寝返りを打つというのは余程小柄でない限りは難しそう。ちなみに2点式のシートベルトはあまり長さに余裕がなく、一度装着するとなかなか身動きが取れない。
ここまでの写真をご覧の通り、座席は限られたスペースに敷き詰めるように配置されているから、シートへ座るというよりは潜り込むと言った感じで身体が堅いと難儀するレベル。荷棚のあるA列、C列と比較すれば、中央B列は荷棚がないぶん頭上スペースに若干の余裕があるから、身体が堅いのであればここを指定した方がよいかもしれない。

バスは数名の乗客を乗せて始発の桟橋バス停を定刻通り19:15に出発。「とさでん交通」の車庫の脇を抜け、次の乗車停留所は日本三大がっかり名所として名高い?「はりまや橋」近くにあるバスターミナル。

街の中心部にあって割と大規模なバスターミナルだが、主に観光バス用のようでこの時間帯はそれほど発着便は多くなさそう。出発時刻までまだ時間があったが早々に乗車は完了、出発時刻まで扉を閉めた状態で待機して、定刻を迎えると出発。

「はりまや橋」の次、高知市内最終停留所の高知駅前バスターミナルを出発するのは20:00ちょうど。とさでん交通の路面電車で「桟橋通五丁目」から「高知駅前」までは約20分のところを45分かけて走るわけで、余程全区間乗車したいとか、早く横になりたいでもなければ、高知駅前から乗車するでもよいかもしれない。

高知駅を出発すると次の乗車停留所は徳島駅前。同区間の所要時間は約2時間あるため、高知駅出発時に前方のカーテンが閉じられた。ただ、車内灯は消灯されないので、Google Mapなんかで今どこを走っているのかを眺めているうちに気づくと寝てしまったらしい。

この日はイベントの関係で徳島駅周辺で交通規制が実施されているとのことで、バスは途中上板サービスエリア(SA)で交通規制が解除されるのを待ち、徳島駅へ到着。本来22:00発のバスだが到着したのは22:40頃とこの時点で約40分の遅れ。この日はほぼ満席で、全員が席に入りこむまでに通常のバスよりも時間を要するから、10分ほど駅前に停車してから出発。

徳島市内は23時近くになっても渋滞が激しく、バスは裏通りを迂回しながら徳島インターチェンジ(IC)へ向かう。カーテンが閉まっていて詳細は分からなかったが、どこかで一度行き止まりの道路に迷い込んだようで、後退しているような動きをしたかもしれない。
徳島道から鳴門海峡を渡り、淡路島に入ってすぐのところにある淡路島南パーキングエリア(PA)でこの日最後の休憩。ここで通常であれば徳島駅出発から30分ほどのところ、迂回によって時間が余計に掛かっている旨、これによって翌朝の各バス停到着時刻が遅延する可能性がある旨のアナウンスがあった。

淡路島南PAでの休憩時間は20分弱。この日は遅延していることによって物販店舗はすでに閉店していたから、単に身だしなみを整えるための時間としては十分な時間。それにしても、最初に停車した上板SAよりもこちらの淡路島南PAの方が建物が立派で、何があるとSAになるか、PAになるかがいまいちよく分からない。
ちなみにこの路線では車外へ出る際に人数管理用のカードが配布され、バスに戻った際に回収される運用。代わりに出発時の人数確認を省略している模様。出発直前に運転士さんが計数機を使って人数を数えるという高速バスでよく見られる光景は少なくともこの日は目にする機会がなかった。
休憩後、淡路島南を出発して5分もしないうちに車内灯が消灯。当初は時計やサイン類が点灯していて異様に眩しかったのだが、しばらくすると消灯したようでようやく落ち着いて寝られるようになった。ただ、フルフラットは寝やすいからか、所々でいびきをかく音が聞こえてくるので、気になる場合は耳栓等を持っておいても良いかもしれない。

淡路島から翌朝の休憩場所、足柄SAまでは熟睡していたようで特段記憶がないものの、淡路島南から4時間弱走ったところにある長篠設楽原PAで途中運転士交代のために停車していた模様。カーテンが閉まっているととんでもない速度で走っているように感じるが、基本的には90km/hから100km/h程度で巡航、平均速度にすると80km/h程度で走っていることになる。
ほぼ1時間遅れで徳島駅を出発したのちは道中特に渋滞もなかったようだが、ダイヤにそれほど余裕があるでもないから遅延はそのまま。加えてこの日は運の悪いことに先の区間で深夜に自動車の横転事故があり、東名高速道路は数時間に亘ってほぼ停滞状態。2時間ほど遅延する可能性があるとのアナウンスがあった。
足柄SAでの休憩後カーテンが閉じられたのち、そのまま渋滞に突入するのかと思いきや、バスはずいぶん小刻みに右左折を繰り返しているように思われ、Google Mapを見てみるとどうやらスマートICから東名高速道路を下りて一般道を走行している。どうやら富士五湖道路経由で中央道へ迂回することを選択した模様。
再び微睡んでいると、「間もなくバスタ新宿」の放送が入り、07:40頃にバスタ新宿3階の降車用バス停に到着。ここで半分弱がバスを降りていった。そしてここから先は前方のカーテンが開放され、外の景色が見られるように。

バスタ新宿からJR東京駅前の「バスターミナル東京八重洲」までの区間は全線一般道。朝の時間帯で交通量が多く、約30分で東京駅前までやってきた。ちなみに目の前に見える大きな屋根の建物がJR東京駅。丸の内側と八重洲側では駅の雰囲気が大きく異なっている。

そうこうしているうちにバスはスロープを下り、地下2階にある「バスターミナル東京八重洲」に到着。将来的には規模が拡大されて更に発着便数も増えるというが、現在は房総半島方面へ向かう京成グループ系の高速バスと、JR系以外の夜行高速バスが発着している。
(同バス停から出発する高速バスは例えばこちら)

バスターミナル東京八重洲を出発すると次は最終停留所の東京ディズニーランド。それほど距離は離れていないものの、宝町入口から首都高速に入り、都心環状線から湾岸線のルートで葛西出口を目指す。

首都高速を比較的のんびり走っていると、右車線を成田空港へ向かう東京空港交通のバスが追い抜いていった。首都高速を含む高速道路の走り方は、比較的会社によって個性が出やすい印象がある。同社は比較的保守的な印象だが、中にはやたらと速い会社を見かけることも。

辰己ジャンクション(JCT)で湾岸線と合流する頃には、件のバスは大分前方遠いところまで進んでいて、あっという間に姿が見えなくなった。このとき時間は朝9時前だが、この時間帯すでに湾岸線は多くの車、特にトラックが行き交っている。

湾岸線を走っていくと、すぐに葛西JCTを通過。羽田空港から常磐自動車道経由で柏やつくば、東北自動車道経由の宇都宮などの路線はここから中央環状線で郊外に向けて走っていく。
(各方面への空港連絡バスについてはこちら)

葛西JCTを通過したすぐ先にある、葛西出口で首都高速を流出。出口すぐのところにある旧江戸川が都県境になっていて、川を渡った先が千葉県浦安市。国道357号線から左折で市道に入り、さらに左折すると正面に東京ディズニーランドの駐車場入口がある。
ゲートは自家用車とバスで共通だがレーンが分かれていて、バス用のレーンを通過。バス停は立体駐車場を通過した先にあって、バスが通過するのがなかなかシュールな光景。

ともあれ、バスタ新宿(JR新宿駅)から1時間、バスターミナル東京八重洲(JR東京駅)から30分で終点の東京ディズニーランド•バスターミナル•ウエストに到着。あれほど渋滞に巻き込まれて迂回したにも関わらず、定刻から1時間ちょっとの遅れで済んだのはかなり上出来。
ちなみに同じ時間帯に鉄道利用で新宿駅から舞浜駅まで向かうと約45分と鉄道の方が早いから、一刻でも早く辿り着きたいのであれば乗換えたほうがよいものの、朝ラッシュの時間帯に慣れない東京駅で京葉線へ乗換えるハードルの高さを考えると、この程度の所要時間であれば乗り通したほうがトータルでは楽そう。

ちなみに東京ディズニーランドには高速バス乗り場が2箇所(イースト/ウエスト)開設されている。文字面だととてもわかりづらいが、JR舞浜駅近くで、京葉線の車内からも見えるところにあるのが「イースト」で、羽田、成田両空港や首都圏各地などの近距離路線が発着する。今回到着した「ウエスト」は中長距離の主に夜行路線が発着するターミナル。いずれにしても、下手な地方都市のバスターミナルよりもバス路線は充実している。
(「イースト」発着路線は例えばこちら)

バスを降りてすぐのところには少し変わった形をした建物が工事中。これは現在リニューアル中の「スペースマウンテン」で、2024年7月にクローズしてちょうど1年ほど経過したところ。再OPENは2027年頃を予定しているそうだが、それにしてもバスターミナルぎりぎりのところまでアトラクションが設置されていて中々の迫力。

なお、この座席の設置されたバスには固有の愛称がついておらず、乗車したときには「スマイルライナー•モニター運行」だったのだが、その後「FLATON(フラットン)」に決まったらしい(ソメイユプロフォンというのは座席の名前)。高知らしさは感じないが、名前から商品の内容はわかりやすい。
13時間というのは「はかた号」に肉薄する乗車時間だが、斜めではなく完全に横になれるというのは存外に楽で、到着したときも夜行バス特有のぐったり感が殆どなかった。惜しむらくはシートの横幅が狭いところと、座席への出入りのしづらさ。これが改善されれば、かなり隙のない高速バスになれるような気がする。
というお話。