便名 : 0003便
日付 : 2022/05/xx
区間 : 城崎温泉駅(12:00)→大阪(15:18)
乗車クラス : グリーンルーム
運行 : 全但バス
高速バスで城崎温泉駅から大阪へ向かう。
今回利用するのは全但バスの城崎温泉-大阪線。この路線には2012年以降、通常の高速バスより設備をグレードアップした「LuxRea(ラグリア)」というグレードの車両を導入しているが、2021年12月からは更に完全個室の「グリーンルーム」を導入している。今回はその「グリーンルーム」で大阪へ向かう。
(「LuxRea」についてはこちら)
さて、出発地のJR城崎温泉駅にやって来ると、駅前にはちょっとした広場がある。ちょっと引いて眺めてみると、カニが駅を眺めている?ような構図になっている。
駅前の一角には全但バスの車庫があるが、この便のバスはどこかそれとは別の車庫からやって来るようで、11:30過ぎにJR城崎温泉駅前へ到着。やってきた車両前面と側面に「LuxRea」の文字が刻まれている。
到着してもすぐに乗車改札がされる訳ではなく、出発10分前から乗車開始。このときバス停にはバスを待つ人の列が形成されていて、このバスが大盛況…かと思いきや、大半は別のバスを待っていたようで乗り込んだのは私一人だった。
車内は前方と後方運転席側に通常座席、後方出入口側に今回乗車する「グリーンルーム」が設置されている。また、最後部1列分を使用して大型の化粧室が設置されている。天井まで仕切り壁が伸びている関係で大型バスではあるもののそれほど広く見えない不思議な雰囲気。
グリーンルームは1便につき2部屋設置されていて、今回はそのうち前方のL1座席を利用する。ちなみに利用料金は運賃に+1,000円のみで、占有面積を考えると破格。
以前「はかた号」のプレミアムシートを利用したことがあるが、部屋の構造としてはそれと似ている。ただ、こちらのバスには座席背面に荷物を置けるスペースがあるのがちょっと違うか。
座席に着席すると正面には液晶画面とテーブル、ドリンクホルダーが2つある。入口の扉は閉じることができるが、鍵はついていない。また、割と滑りが良いので、車がブレーキをかけたタイミングでドアが開いてしまうということが2度ほどあった。
座席正面のテーブルを開くと、中にはラミネート加工された説明書きがいくつか入っている。
上記パンフレットにも記載のある通り、このバスには4箇所にカメラが設置されていて、座席正面の液晶に任意のカメラの画像を映すことができる。全部のカメラを映すとこんな感じ。このうち特定の一つだけを映すこともでき、今回は前面展望を映しておいた。
座席脇にはコンセントと正面の照明のコントロールパネル。今回は真昼の便ということもあり、室内灯は点灯しなくても問題ない明るさ。
ところで、バス乗車時にいくつかツールの入った手提げ袋を手渡された。中を開けてみると、中には消毒液とスマートフォン端末、ARグラスが入っていた。ARグラスというものを使ったことがなかったが、中に入っていた携帯電話端末にARグラスのコードを接続すると、但馬地方の観光案内が始まった。
ただ、揺れの多いバス車内ではずっと鑑賞していると酔いそうな予感がしたから、これは長時間は使わずにすぐに袋に仕舞った。もう少し落ち着いたところで見る方がよいかもしれない。
出発してしばらくしたところで昼食を摂ることに。この日の昼食はJR駅構内で購入した駅弁。そういえば紐を引くと加熱するタイプのお弁当は久しぶりに食べるかもしれない。
この手の弁当は勢いよく紐を引かないといけないのだが、仕損じて静かに引き抜いてしまって加熱が不完全になってしまった。その結果、どこか生ぬるい状態で加熱が終わってしまったのがちょっと残念。思い起こすと前も同じような失敗をしたことがあったような…。
弁当はすき焼きとかにめしが半分ずつ入っている。ただ、加熱装置部分があるから、普通のお弁当よりは容量が少な目。がっつり食べたいというときは他のお弁当を選んだ方が良いかもしれない。
こちらがかにめし部分。カニの入った駅弁というのはちらほら見かけるが、カニの爪まで入っている駅弁というのはなかなか珍しい。
バスは城崎温泉を出発して豊岡市街地まで県道3号線、豊岡市からしばらく国道312号線を進み、和田山インターチェンジから北近畿豊岡自動車道のルート。2021年11月にコウノトリ但馬空港近くに但馬空港インターチェンジが開業しているが、2022年5月現在では全線高速道路ではなく、一部一般道経由で走行している。
城崎温泉から約1時間走った和田山インターチェンジから高速道路に入ったのち、青垣インターチェンジで一旦高速道路を降り、インターチェンジ近くにある道の駅あおがきで10分ほど休憩。少しうとうとしていたらちょうど停車中だった。
休憩も外には出ず、再度うとうとしているうちにバスは中国道を走破、高速道路を降りて一般道を走行中。程なくすると千里ニュータウンを通過し、進行方向右手には地下鉄御堂筋線が並走し始めた。尤も右側は壁で視界を遮られているので、カメラ経由の情報だが。後方座席からでも前面展望ができるというのは何とも不思議な感じがする。
地下鉄が並走し始めてから10分もしないうちに新大阪駅を通過、淀川を渡る頃には正面に大阪の街並みが見えてきた。
淀川を渡りきったところで新御堂筋を離れ、右左折を何度か繰り返すと正面には大阪駅前のヨドバシカメラが見えてくる。
このバスはJRのバスターミナルには入らず、阪急の高速バス乗り場が終点。ヨドバシカメラ手前の交差点を左折すると、終点の阪急三番街バスターミナルに到着。定刻よりも10分ほど遅れたが、高速バスにしてみれば定時みたいなもの。降車する際にドアを開けると思いのほか乗客が増えていてびっくりした。途中バス停からの需要が割と旺盛なのかもしれない。
プラス1,000円で利用できる個室は3時間ちょっとの所要時間にしては十分すぎる設備。敢えて言うならばフルリクライニングするとレッグレストでは少々物足りなく、ちょっと脚の座りが悪い気はしたが十分許容範囲といった感じ。何か工夫するとすれば、足置き代わりにできる何かを持っていくとより快適に過ごせるかもしれない。
城崎温泉に訪れるのはグループ客が多いだろうから、個室を利用する乗客がどれ程いるか分からないが、このバスを利用する際には選択して損はないと思う。城崎温泉はなかなか雰囲気のよい街だったので、また機会を設けて訪れたい。
というお話。