まさかこんな形になろうとは、というお話。
一時はJALが世界最大の保有機材数を誇っていたB747。近頃ではB777やA350といった双発機の台頭もあり、徐々に活躍の場が狭まっていて、そろそろ引退といったところで起こった新型コロナウィルス感染症の爆発的流行。
世界各国の航空会社もこの危機に対処すべく機材の絞り込み等々を進めた結果、あっという間に退役が進んでいった。今回はそんな747の思い出話でも。
今でこそJALの国内線といえば737等の小型機が中心になっているものの、10年ちょっと前の国内線といえば幹線以外の路線でも大型機がガンガン飛んでいた。個人的にも、羽田から鹿児島や関空を結ぶ路線なんかで搭乗した記憶がある。当時はまだ幼く、カメラなんかは持っていなかったのだが。また、当時は「ポケモンジェット」なんてものもあり、えらくカラフルな飛行機が日本国内を飛び回っていた。
そんな日本の国内線から最後の747が引退したのは2013年頃。引退直前、鹿児島にも飛来する機会があり、その際は運よく席が確保できて搭乗。余談だが、ANAの747は一時世界最多の座席数を誇っていたことがあるそう(569席)。
日本の航空会社からは引退した後も、海外の航空会社は引き続き運用しており、世界各地を旅行した際にはちらほらお世話になる機会があった。
ワンワールドでは最近までカンタスが羽田に747で就航していて、昼間は空港の隅の方で羽根を休めていたから、その光景を目にした方もいるはず。そのカンタスも予定を前倒しして2020年の7月に前期が退役してしまった。
カンタスが保有していたうちの数機はより長距離が飛べるER型なる機材で一度乗ってみたかったものだが、それも叶わないまま終わってしまったのが残念。まあ、乗ってしまえば違いはなにも分からないのだが。
このタイミングで747を引退させたのはカンタスだけではなく、JALが747を退役させたのち最大運用機数を誇っていた英国のBA(ブリティッシュ・エアウェイズ)や、同じく英国のVS(ヴァージンア・トランティック)も同様。BAに至っては、当初の計画通りであれば2024年に引退としていたところ、急遽昨年2020年のうちにすべての機材が退役してしまった。
そんな747の一番の特徴は先頭部の2階建。元々は貨物機として設計された名残だとか。会社によって上級クラスだったり普通席だったりしたが、選べるときには何度か搭乗したことがある。
乗ってみれば、窓が湾曲していてあまり眺望がいいとは言えなかったが、独特の雰囲気がある場所。座席と窓の間に物入れがあるのは割と便利だった。
そういえば、初めての海外旅行のときに搭乗したのも747だった。ロンドンまでの往復、座り続けるにも飽きてきて機内を散策したのが懐かしい。
航空会社にとって収益の柱とも言える国際線が壊滅的ないま、少しでも出血を抑えるという意味で高コストの機材の退役は十分理解できること。ただ、これまでの功労者が突然引退していくのは、何とも残念でならない。
今のところ、貨物機や最新鋭の-8型まで引退するわけでは無さそうで、世界中の空から747が完全に消える訳ではないものの、また気兼ねなく海外に繰り出せるようになった頃、航空業界はどうなっているんだろうか。
そんなことを思う今日この頃。